【初学者必見】民よ、教則どう見てる?
1. はじめに
こんにちは。カルぺディエム広尾所属で選手とスタッフをしている比家と申します。
この文章では、生粋のブラジリアン柔術教則動画ウォッチャーの僕が、タイトルの通りブラジリアン柔術の教則を見る際に気をつけていることや、オススメの教則を共有させていただこうと思います!
また、この内容は教則動画だけでなく、道場のクラスを受ける際も同じです。分かりやすいように「教則」と記しましたが、インストラクション全般を含めて説明させていただきます。
「教則やクラスで習ったテクニックがなかなかスパーで使えない😭」と毎晩涙で枕を濡らしているあなたに是非見てほしいです!!
2. なぜ使えないのか
あなたが教則やクラスで見たはずのテクニックがなぜスパーリングで使えないのか。もちろん色々な要因があると思います。相手がシンプルにデカかったり、相手の技術レベルが上すぎて、学んだテクニックをフィジカルや知識量の差で伏せがれてしまう場合は、教則やクラスの受け取り方どうこうで解決できる問題ではないかもです。ただ、だいたい同じか下のレベルの相手にもかからない技があった場合、それはすぐに修正できる可能性があります。
学んだ技をしっかりと吸収して、使用できるレベルになるためには、ただ見たり聞いたりするだけではダメです。特に歴が浅い方は、自分の現在取り込むことの出来る情報量を理解して、今覚える情報を選別しなければいけません。
教則・クラスを受けて、全ての技や考えを吸収しようとしているあなた。あなたが今やろうとしていることは、「赤ちゃんに二郎系ラーメンを食べさせている」ようなものです。赤ちゃんは胃が小さいから二郎系ラーメンを消化する能力がないですよね。まずは自分の消化できる容量に合った情報を選別することが大切です。まずは離乳食、必要栄養素をしっかりと摂ってください。
3. 情報の取捨選択
①コンセプターになりましょう
では情報の取捨選択をどう行っているかという話をしていきます。
僕が教則を見る際、まず意識するのは、大まかなコンセプトです。コンセプトとは「概念・考え」のような意味の言葉ですが、ここでは柔術における根本的な考え方を指します。
例えば、数々の名教則を生み出しているGordon Ryanの教則では、「Dilemma game」という言葉が多用されています。ジレンマゲームは、「2つのアタックを同時に意識しながらプレーして、相手が一方をディフェンスしたらもう一方のアタックが決まる状況を作る」という考え方です。
例えば、 デラヒーバで相手の背後に移動できた時、相手は①バックをディフェンスするため正対する か、②スイープされないようにバックステップしてベースを保つ
の2択の選択肢を持ちます。もちろん、リアクションは無数に存在するので、絶対とは言いきれませんがこのどっちかになることが多いです。
この時に①をしてきたら、前足に重心が乗るのでスイープ。②をしてきたら背中が露出するのでバックテイク。この相手にとっての矛盾を発生させるのがジレンマゲームという考え方です。
ジレンマゲームは、このように相手にジレンマを与えるように考えながら動くことで、有利な展開を作れるというコンセプトです。これは特定の展開だけではなく、柔術の全ての局面において有効な考え方です。
また、特定の展開のみで使えるコンセプトも重要です。先に例示したGordonの先生であり、全柔術家が一度は会いたいと思っているJohn Danaher大先生は、パスガードの教則で、よくコントロールの順序のコンセプトを説明しています。
パスガードの際は、「膝→腰→上半身 の順で制していく」というコンセプトです。細かく説明すると、相手のガード(膝のライン)をパスした後、相手の遠い足の足回しや二ーシールドを防ぐために、抑え込み(上半身)に行く前に、まず腰のラインをコントロールする、という考え方です。これは、特定のパスだけではなく、全てのパスガードの展開において適用できる考え方です。
このように、一般的なコンセプトや各ポジションにおける考え方を覚えることが非常に大事です。まずは大まかな情報を理解して、それを意識しながらスパーリングできる状態を目指しましょう。
ちなみに英語の教則だったら、「As a general rule, (一般論としては、)」って言ったらだいたい大事なこと言うので要注意です。
②分け、整理せよ
コンセプトの次に意識するのは、個々の技を使用するための条件です。当たり前のことですが、テクニックを使う際の「相手が〜をしてきた時」といった条件をしっかりと理解していなかったり、的確なタイミングで仕掛けなければ技の威力は激減します。簡単な例を挙げると、クローズドガードでは、
①相手の姿勢を前に崩せた時→かんぬき
②相手が後傾している時→ヒップスロー
③グリップが切れない時→2on1
のように場合分けをしてテクニックを使い分けると思います。ヒップスローを習ったからといって、前傾している相手にヒップスローをしようとしても、スイープできないどころか逆に攻められてしまう。僕もそんな経験がたくさんありますし、未だにやってしまいます。でもこれは、ポケモンで、こうかはいまひとつのようだ ってなってるのにその技ばっかり打ってるようなもんですよね。こういう人は、上記の場合分けや条件の整理が出来ていなかったり、それを意識できていない可能性が高いです。とにかく分けて整えましょう。
4. おすすめ教則
僕がおすすめの教則サイト、SUBMETAをちょっとだけ紹介します。知り合いとかでもないし回し者でもないです。ただ本当に良いのでいち消費者としてレビューします!
SUBMETAは、みんな大好きLachlan Gilesによる月額制のサブスクサイトです。現在のレートだと月4000円くらい。今までATOS、AOJ、カイオなどいくつかサブスクの教則サイトに入りましたが、見やすさが段違いに良いです。
テーマごとに区切られた大量のコースがあり、ラクランのいろんなテーマの教則が大量にあるようなイメージです。一つ一つのコースも、コンセプト/ エントリー/ アタック /トラブルシューティング のように見やすく分けられており、マジいいです。説明するより見た方が早いと思うので、サイトの作りだけでも見てください。(無料で見れるコースあり)
ラクランは基本的にノーギの選手/先生なので、着の教則がちょっとだけ少ないのがデメリット。少ないと言っても基本的なところは抑えてあるので着しかしない人も充分満足できる内容です。
5. 以上です
長々と失礼しました。端的に言いたいのは、教則を見たりクラスを受ける際に、その技から一般的な原則、コンセプトを読み取れるようになること、その技はどのような条件で使われるのかを常に意識することが、上達に繋がるということです。知識は蓄積されます。特に、手順だけで覚えた技と比べて、コンセプトや原理原則を理解した技はバツグンに記憶に残るはずです。メモリーをフル活用しましょう。
皆様のクラス受講・教則動画ウォッチングライフに少しでも貢献出来たら幸いでございます。
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