本醸造を飲むべき理由
ゴールデンウィークはいかがお過ごしでしたか?
私はオンライン飲み会に参加したり、家でお酒を飲んだり、家でお酒を飲んだりして過ごしました。
飲んでばかりですね。
お酒のご紹介です。
磯自慢(いそじまん)
静岡県焼津市にあります磯自慢酒造。
創業は1830年、杜氏の多田信男氏は平成10年より磯自慢の杜氏として酒造りされている名杜氏であります。
飲んでみましょう。
上立ち香はバナナ系のしっとりした香り。
とろみのあるバニラのような口当たり、酸はほぼ感じません。
バナナ様の甘味ある中間、鼻に抜ける香りは濃厚でシルキィなテイスト。
ふくよかさを残したまま喉を通りますが、余韻は短め。
酸はほぼ前面に出てこないので、ジューシィな果実感のあるタイプではありませんが、ほのかな甘みと落ち着いた旨みが口内を支配しあっという間に流れていくお酒です。
価格を考えると明らかに破格の美味しさ。
裏ラベルを記載しておきます。
しぼりたて 本醸造
使用酒造米:キヨ錦(山形)100%
精米歩合:65%
日本酒度:+4~+5
酸度:1.2
粕歩合:平均31%
使用酵母:New-5(静岡)
アルコール分:15度
購入ははせがわ酒店。
価格は1.8Lで2,020円(税抜)です。安っ‼
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多くの日本酒解説には、醸造アルコールの添加目的は以下の3つが挙げられています。
・酒の香味を整える。
・味をすっきりさせる。
・保存性の向上。
もともと醸造アルコールの添加は江戸時代から防腐を目的として行われていました。
江戸時代初期に書かれた「童蒙酒造記(どうもうしゅぞうき)」には、醸造酒に焼酎を入れると「足強くなり候=腐りにくくなる」という文が見られ、そこから柱焼酎と名付けられたとされています。
その後、戦中・戦後には、醸造アルコールでかさ増しした粗悪な醸造酒が出回ったこともあり、特定名称酒に添加できる醸造アルコールは原料米の重量の約10%を上限とするよう定められました。
特定名称酒のうち、醸造アルコール添加された規格である「大吟醸」「吟醸」「特別本醸造」「本醸造」。
本醸造はいわば特定名称酒のなかで一番下の規格です。
大吟醸と本醸造は、ラベル記載の情報上では精米歩合しか違いがありません(大吟醸は精米歩合50%以下、本醸造は精米歩合70%以下)。
添加可能な醸造アルコールの上限も一緒です。
もちろん原料米が異なったり、使用酵母が異なったり、造りが異なったりするでしょうが、そういった差異は他の規格間でも同じこと。
醸造アルコール添加の理由として前述した「香味を整える」「味をすっきりさせる」、これらは大吟醸にとっても本醸造にとっても同じです。
このことから私は、本醸造が美味しい蔵は、大吟醸も間違いなく美味しいという特徴があると思っています。
とくに普通酒(一般酒)を造っていない蔵なら猶更です。
飲食店でランチが美味しいなら夜も間違いないよね、というのと同じ。
喫茶店でブレンドが美味しいならスペシャルティも美味しいはず、というのと同じ。
大吟醸はハレのお酒。
蔵も手を抜かず造りますし(ほかの規格は手を抜くと言ってるわけではないですが)、価格もそれなりに高くなります。
比較して本醸造は日常酒。
低価格ですが、蔵の特長、性格、醸造アルコール添加の技術、そして水の味を手軽に知ることができます。
そして自分の好みに合う美味しい本醸造酒に出逢えたら、特別な日に同じ蔵の大吟醸を開けてみるのもひとつの楽しみといえるのではないでしょうか。
美味しい本醸造酒、探してみてくださいね。
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磯自慢は醸造アルコール添加の特性をうまく生かした吟醸造りが得意な蔵です。特にその真価は大吟醸クラスで発揮されています。
そして非常に完成度の高い本醸造、丁寧に造られていることを実感できました。