完全予約制の日本酒
中国で猛威を振るっている新型コロナウィルスが、日本でも問題になっています。普段マスクをしない私も、さすがにマスクをして通勤するようになりましたが、マスクの供給がまるで追いついていないようで、各地のドラッグストアにマスク難民が殺到しているようですね。
早く落ち着いてくれるとよいのですが。
お酒のご紹介です。
醸し人九平次(かもしびとくへいじ)
愛知県名古屋市緑区にあります萬乗醸造のお酒。
創業は1647年。代々、久野家は当主が九平治を名乗り、その9代目から日本酒を醸すようになったとのこと。現在の久野九平治氏は15代目。
友人であり杜氏でもある佐藤彰洋氏とともに、世界でも人気の高い銘酒「醸し人九平次」を醸造しています。
飲んでみます。
上立ち香はリンゴと梨の合わさったような果実味のある香り。
ピリッとしたガス感を伴った口当たりがあり、甘みがスッと中心をとおってきます。酸もありますが、炭酸の刺激と一緒になっているため酸っぱさというよりサイダーの感覚。
含み香は白ワインを思わせるマスカットのような香り。喉奥から渋が顔を覗かせます。ふわっと甘みが膨らみますが、酸が両端をキュッと抑えて輪郭をぼやかせません。
最後はすっきりと切れます。余韻は長めで、ふんわりと果実香が残ります。
日本酒というより白ワインに近い造り。甘みも酸も前に出すぎず、生由来の炭酸ガスとふくらみのある中間、後口の高貴な余韻まで、非常に高いバランス。
すっごく美味しい。笑
裏ラベルを記載します。
醸し人九平次
うすにごり生
黒田庄産 山田錦100%使用
アルコール分16度
製造年月2020年2月
価格は1.8Lで3,960円(税込)。
購入ははせがわ酒店です。
・・・
このお酒、昨年より始まった「予約販売」の商品です。予約した人のみが購入可能な商品。予約していない人は、店頭でもネットでも買えない(ネット探すと非正規販売っぽいのは見つかりますね)。
今年は1月末までに各特約店で予約注文すると、2月中旬には受け取れる、そんなスケジュールでした。昨年もほぼ変わらなかったと記憶しています。
去年もそうでしたが、今年も、特に売り切れることなく販売に至った模様です。しかし、1月末から仕込み始めて2月中旬に出荷するなんてことは、日本酒ではできません。つまり、予約生産とはいえ予想される注文数を上回る量をあらかじめ仕込んでいることは明らかです。
こうなると気になってくるのは、余剰分のお酒。
どのくらいの予約注文が入るのか。実際に入ったのか。そこはわかりませんが、少なくとも、余ることを見越して造っている。その余ったお酒はどうするのでしょうか?
醸し人九平次には様々な規格の商品がありますし、国内でも多くの特約店とのつながりがあり、海外の販路も持っています。余ったお酒についての使い道は無限にあると考えてよいでしょう。
補足すると、上で裏ラベルの内容を記載しました。
実は精米歩合の記載がありません。おそらくそれなりに削っているでしょうが、規格としては純米酒(とはいえ特定名称としての「純米」記載もありません)。こうなると、別の酒にブレンドされても、どれに混ぜられたのかわかりませんね。笑
個人的には、火入れ・澱下げした商品が出るのなら、それと飲み比べしたいと思うのですが、ちょっと難しそうかなと。
余剰分の処遇、マーケティング、価格、すべてを見越して採算が立つとわかっているので、予約販売という方法がとれるのでしょう。
上手ですね、九平次さん……。
・・・
レビューでも書きましたが、このお酒は個人的には憎らしいくらい美味しいです。去年の11月には予約注文をして、待ちに待って届いたお酒で、期待はかなり膨らんでいましたが裏切らない出来でした。
きっと来年も買っちゃうんでしょうね。
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