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幼い頃に夢見た極上の日本酒の話

毎日しとしとと雨が降っています。
梅雨本番という気候ですね。
ときおり見える晴れ間は気温の上昇とともに気分の高揚ももたらしてくれます。
夏を待っている方も多いと思います。
私は夏は好きではありませんが、夏に飲むビールは恋しいです。

お酒のご紹介です。

華鳩(はなはと)

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広島県呉市にあります榎酒造
創業は1899年、主要銘柄は「華鳩」と「清盛」であります。
榎酒造は全国で最も早く貴醸酒の製造を開始した蔵として知られています。

飲んでみましょう。

上立ち香はバナナのような果実味溢れる香り。
口に含むとチクチクした発泡感、上あごから甘み、舌の両サイドから果実味のある酸。
米の存在感が増し、甘みと酸味が交差する中間。にごりによる米感のある舌ざわりとラムネのようなヨーグルトのような爽やかな含み香が、ボリューム感と軽快さを両立させています。
後口は酸味を置いて。バナナとラムネの香りをふんわり残して、余韻は比較的長めです。

ひとことで言えばバナナヨーグルト。
貴醸酒は熟成にも向きますが、生で活性をしっかり残したままにごり酒として瓶詰めしても、こんなに美味しいのですね。
そのまま単体で飲んでもまったく疲れませんが、食事に合わせるなら焼き肉が非常に良さそうです。

ラベル情報を記載しておきます。

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貴醸酒の生にごり酒
純米酒
原材料名:米(国産)、米麹(国産米)
精米歩合:65%
アルコール分:16度
日本酒度:-59
酸度:3.0

購入は広島県広島市にあります大和屋酒舗。

価格は500mlで1,705円(税込)でした。

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貴醸酒は、非常に甘口の日本酒です。

初めて貴醸酒を飲んだとき私は大きな衝撃を受けました。
まだお酒が飲めない子どもの頃に想像していた、甘口の白ワインの味を彷彿とさせたからです。

大人になるまで口にすることを許されない、酒。

きっとそれは、さぞかし甘美で、耽美で、豊穣に違いない。
そんなことを夢見ていた子どもでした。
その夢は、お酒に対するあこがれは、初めて口にした貴醸酒が見事に現実のものにしてくれたのです。

なお貴醸酒に出会うまでの間、苦くて渋い甘くないお酒などを飲むたびに、その夢は儚さを増していったことを付け加えておきます。

貴醸酒は、1973年に国税庁醸造試験所が開発した比較的新しい造りのお酒です。
開発の目的は、貴腐ワインに比肩する味わいの高級日本酒を醸造すること。
名称も貴腐ワインのを取って貴醸酒と名付けられました。

その味わいはまさにデザート
濃厚な甘みと果実味のある酸味、そして熟成が進むにつれ艶と丸みを帯び、その完成度はまさに日本酒の女王とでもいうべき味わいです。

日本酒の味はそれこそ星の数ほどバラエティに富んでいますが、貴醸酒はいままで日本酒に興味を持っていなかった人に、ぜひ飲んでいただきたい日本酒です。
甘くて、果実味があって、爽やかで、これホントに日本酒?とビックリしますよ。
日本酒の多彩な表現力に、間違いなく衝撃を受けることでしょう。
極上の甘口酒、ぜひ試してみてください。

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現在、貴醸酒の名称は商標登録され、榎酒造を中心とした貴醸酒協会の加盟蔵でのみ使用を許可されています。
そのため、非加盟の蔵では貴醸酒と同様の造りを行ったお酒でも、異なった名称を付けていることもあります(鏡山の再醸仕込みなど)。
個人的には、異なる名称が使われることはわかりにくいと感じますし、開発は国税庁主導なのに商標登録して使用を制限している事情は、あまり歓迎されることではないと思います。

貴醸酒を商標登録した頃とは、きっとおそらく日本酒を取り巻く環境も変わっていると思います。
貴醸酒が今後も発展・普及していくためにも、ぜひ貴醸酒協会には見直しをお願いしたいところです。

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