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日本酒の高額転売は誰にとって都合が悪いのかという話

2020年も8月が終わろうとしています。
こう暑い日が続くとどうしても日本酒への食指は伸びませんが、ここから気温も下り坂になって、美味しい食材、美しい景色が楽しめるようになります。
日本酒も新酒が登場してきます。
期待は膨らみますね!(ひやおろしはどうした)

お酒のご紹介です。

十四代(じゅうよんだい)

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山形県村山市にあります高木酒造株式会社。
創業1615年といいますから、今年で405年目を迎える老舗蔵です。
現在の当主は15代目、高木顕統(あきつな)氏。
現在もっとも入手困難といっても過言では無い銘柄「十四代」の開発者でもあります。

飲んでみましょう。

上立ち香はリンゴ系の果実味のある香り。
口に含むと舌先にピリッとガスのような辛み、喉の手前に酸を感じます。
遅れて舌中央に甘みがふわっと感じられます。みずみずしいリンゴのような中間。
ややアルコール感を含んだ香りが鼻を抜け、渋みが顔を出します。
渋みと酸を少し残して、余韻は少し長め。

ラベル情報を記載しておきます。

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本丸 特別本醸造
原材料名:米、米麹、醸造アルコール
精米歩合:55%
原料米:国産米100%使用
アルコール分:15度
生詰・要冷蔵
製造年月:2020.07
手頃な価格で高品質な日本酒というコンセプトから生まれた滑らかな果実味のする十四代代表酒。

購入価格は2,640円(税込)でした。
値段から考えると破格の味わい。
上述のコンセプトに恥じない屈指の品質です。

・・・

今回ご紹介のお酒、十四代本丸。

メルカリで検索してみると、この記事を書いている日でだいたい30,000円前後で転売されていることがわかります。

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空き瓶も売っている…!
※2020.09.02追記
メルカリでは2020年2月25日以降、要冷蔵の食品の出品を禁止しました。
上記検索結果に表示される出品物は規約違反の可能性が高く、本記事の趣旨として不適切だとご指摘がありました。
メルカリに限らず他の転売サイトであっても同様の相場で価格設定されておりますため、あくまでここではその相場情報のみ汲み取っていただけると幸いです。

私が購入した価格の約11倍にもなります。
この値段設定はオークションサイトにとどまる話ではなく、特約店ではない酒販店で見かけた場合、定価で販売されていることは100%ありません

しかもネットを探ってみると、この約30,000円という値段が定価だと思っている方も多い。
このように蔵が希望する価格と、一般的な購入手段(転売)で売られる価格に大きな開きがあり、それが問題となっているのです。

この日本酒の高額転売問題。
十四代をはじめ、而今・飛露喜・新政・田酒といった銘柄がターゲットに挙げられていますが、これらの銘柄は需要が供給を大きく上回っており、一般的には非常に入手困難なため起きています。

酒蔵や酒販店(特約店)は、この問題に頭を悩ませてきた経緯があります。
適正と判断した価格に大きく上乗せされた状態で顧客に届き、しかもその余剰分は転売業者が転売をするだけで得ているのですから、この悩みは当然と思います。

ただ、私自身は、日本酒の転売についてはある程度容認すべきではないか?と考えています。

今回の記事を書くにあたってとても参考になった note 記事です。
引用できるほど短くありませんので読んでいただければと思います。
こちらの記事でまとめられている、日本酒の高額転売についてモラル的な問題を除けば問題が無いとする結論に、完全に同意です。
そしてこの問題の根本原因が、転売者ではなく販売元にあるとするご意見も的を射たものと思います。

※2020.09.02追記
上記引用元 note では日本酒の違法転売について酒販免許の不所持を取り上げていらっしゃいますが、上述の追記でも触れました規約違反、酒販店同士の横流しの疑惑など、転売業者が違法に転売している可能性は多岐にわたります。
これらの転売についてはモラル的な問題以前の問題であり、断固として取り締まられるべき案件です。
本記事ではあくまで法的・規約的に問題の無い転売であってもモラル的に問題があると見なされている転売に、焦点を当てています。

つまり日本酒の高額転売で都合が悪いのは、酒販店(特約店)だけなのだろうと思います。

高額転売が横行するのは、高額でも購入したいという需要があるためです。
高い値段を出してでも飲んでみたいというニーズがあるのなら、それにこたえるのが市場原理。
またあまり書きたくありませんが、品質管理が行き届いていない酒屋などたくさんありますから、転売屋における品質管理が行き届いていない可能性はまさに余計なお世話。

こう考えると、転売させたくない酒蔵があり、転売による責任を負いたくない特約店だけが、高額転売に異を唱えているのではないか?と思うのです。

ただし、今の高額転売の状況は私だって望んでいません。
いびつだと感じるのは、酒販店が転売による責任を負うことになってしまっている構造であり、そこだけは正されるべきだと思います。

つまり、酒蔵が転売を望まないのであれば、酒蔵が転売を防止する策を施すべきです。
具体的には
・市場価格を鑑みて希望小売価格を是正する(オープン価格化も検討材料でしょう)
・需要に応えるよう供給量を増やす
のいずれかの施策が考えられる。

あとは、ラベルに希望小売価格を表記する
これで購入者は転売価格と希望小売価格の差を認識することができます。
(飲食店は嫌がるかもしれませんが……)

いずれにせよ酒販店には責任は無い
そこを明確化すべきです。

高額転売は無くなりませんから、健全に行われるようにするのが良いと思うのですが、いかがでしょうか。

・・・

十四代本丸。

十四代の中で一番低価格で、ぶっちぎりナンバーワンで品質が安定していると思います。
いつ飲んでも安定して美味しく、抜栓から瓶底までダレません。

初めて飲んでから15年以上経ちますが、私にとって、これほどまでにずっと美味しい日本酒は本丸だけです。

それゆえ私は、日本酒をあまり飲んだことが無い人に日本酒を飲んでもらう機会がある場合、最初の1杯目は間違いのない酒として十四代本丸を推します。

これからも不動の地位を保っていかれるのでしょう。
願わくばもう少し一般人の手にも入りやすいよう、蔵が便宜を図ってくれるといいなと思います。

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