リズム感がない人なんていない!リズムで感を引き出すトレーニングとは?【すぽきゃす人気インタビュー】
GODAI note編集部です。
GODAIでは、オリジナルのポッドキャスト番組「すぽきゃす」を定期的に配信しています。白楽支店の石﨑勇太支配人がインタビュアーとなり、さまざまなゲストを招いて、テニスやスポーツを中心にトークを展開しています。
今回は、その「すぽきゃす」番組の中から一般社団法人スポーツリズムトレーニング協会(以下「STAR」といいます)公認インストラクターとして、リズムトレーニングの普及に取り組んでいる山本由枝さんのインタビューを記事にしました。「そもそも、リズムってトレーニングで身につくものなの?」「私、リズム感がないんです……」という方こそ必読(そしてすぽきゃす必聴)です!
誰でも持っている「リズム感」を引き出すトレーニング
石﨑 山本さんは、STAR公認インストラクターとして、リズムトレーニングの普及に努めておられます。まず、改めてリズムトレーニングについてご説明いただけますか。
山本 簡単にいうと「リズム感」をトレーニングで習得するのがリズムトレーニングです。STARは「リズムを変える。すべてが変わる。」をキャッチコピーにしていて、スポーツにおけるリズムトレーニングメソッドの普及に取り組んでいます。
石﨑 僕も小さい頃からテニスをやってきましたが、テニスの中にもボールが飛んでくるタイミングを計ったり、ボールとの距離感をつかんだり、リズムがあるなぁと漠然と感じていたんですよ。
山本 おっしゃるように、スポーツとリズムには密接な関係があります。たとえば、サッカーでドリブルをやっている子どもに対して、指導者やお父さんが「リズム感がないね」「今のリズムだよ!」などとよく言いますよね。でも、言われたほうからしてみれば「そのリズムって何?」となります。その抽象的な「リズム」というものを、研究に研究を重ねて明らかにしていき、メソッドとして体系化したものがスポーツリズムトレーニングなんです。
石﨑 僕も実際に何回か体験しました。一定の厚さのあるラインを下に敷いて、そのラインをいろんなビートに合わせてジャンプしながらまたいでいくんですよね。踏まないように意識して。シンプルにできるメニューもあるけど、上半身と下半身を同時に動かすとなると急にできなくなりますね(笑)。
山本 手と足で違う動作をやるのって、最初は難しいですよね。手はバンザイしているけど足はジャンプしてバッテンにするとか。でも、何回かやっていくうちにできてくるんです。できたことによって、自分の中のリズムのバリエーションが増えていき、それをスポーツなどの動きに生かせるようになります。
石﨑 よく「うちの子、リズム感がないんです……」とか「私、本当にリズム音痴なので……」という方、いますよね。
山本 でも、生まれながらにしてリズム感のない人って、実はいないんですよ。赤ちゃんは、お母さんのお腹の中にいるときから既に心地よいリズムを感じています。そして、生まれてきてからも生活の中でもさまざまなリズムを体験します。会話のリズム、歩くリズム、耳に入ってくるリズム。心臓の音もリズムですよね。リズムってどこにでもあるものなんです。
だから「リズム感がない」と思い込んでいるのは、リズムが体に刻みこまれていないだけであって、リズム自体は誰でも持っているんです。リズムに合わせて手拍子をするのはみんなできますし、今こうして私と石崎さんが会話しているのにも、一定のリズムがあるんですよ。そういうリズムに気づくことができれば「リズムが苦手です……」というその言葉自体、なくなるんじゃないかなと思います。
石﨑 山本さんが指導している中で、「私、リズム音痴なんで……」と言っていた子が、実際に変わっていく様子も見てきているんですか。
山本 見てきていますね。その日のイベントで1回しか会わない子どもたちでも、たった45分間のレッスンの中で、「あの子、さっきまでぜんぜんできてなかったのに、もうこんなにできてる!」と思うことがけっこうありますね。目に見えて変化がわかるんですよ。
リズムで脳が“スパーク”する
石﨑 たとえば、僕が手と足を交差したり、手と足で違うリズムをとったりしているときは、感覚が磨かれているのか?それとも脳が磨かれているのか?どっちなのか興味あります。リズムと脳の関係というか。
山本 リズムというのは、脳をものすごく刺激するんです。認知症の方や、障害がある方でも、リズムがあるとき、ビートがあるときに脳がちゃんと動いています。
認知症の方に、太鼓を3か月間叩いてもらうトレーニングをしたという事例があります。最初はバチを持つこともままならなかった方が、リズムに合わせて太鼓を叩き続けているうちに、3か月後には表情が笑顔になって、太鼓を叩く力強さも変わって、リズムに合うようになってくる。これが検証結果として出ているんです。
小学校でも、リズムトレーニングの後に小テストのドリルをやったら学力テストの点数が上がったという事例も報告されています。リズムによって脳が“スパーク”するんです。
石﨑 脳が“スパーク”する!その表現、わかる気がするなぁ。
認知症の人というお話が出ましたが、リズムトレーニングは子どもだけでなく、年齢関係なく効果はあるんですか。
山本 年齢問わず、効果があると私は思っています。どの年代でも、音楽などリズムを聴くのがイヤだと言う人はまずいませんよね。STARでも、激しい運動はできないというシニアの方向けに「リズムステップ」というトレーニングメソッドを開発しました。
子どもの頃からの夢を追いかけ、オーディションに挑む
石﨑 そんなスポーツリズムトレーニングを教えている山本さんの、これまでのスポーツ歴を伺ってもいいですか。
山本 球技などの経験はないのですが、小学校低学年の頃からずっとダンスをやっていました。
石﨑 小学生からダンス?ある意味、今のキッズたちの「はしり」ですね。
山本 「スーパーはしり」ですね。今の時代に私がダンスをやりはじめていたらE-Girlsくらい狙えていたかな(笑)。そのくらい、本当にダンスが大好きで。
ダンスを続けていく中で、中学生のときに「バトントワリング」という競技と出会いました。幸運にも全国大会レベルの教室に出会うことができて、選手としてダンスとバトントワリングを高校まで続けていました。
石﨑 高校3年間は競技としてバトントワリングに没頭して、進路を考える時期を迎えますね。
山本 その頃には、バトントワリングも含めてどうしてもダンスでご飯を食べていきたいという思いがすごく強くなって。進路相談で先生に「フリーでダンスを続けていきたいんです!」と啖呵を切りました。
「この高校ではそういう進路を選ぶ子はいないよ」「ダンスでごはん食べていくってどうやるの?」と先生に言われたのですが、とにかく猪突猛進という感じでしたね(笑)。
というのも、小学生からダンスをやっていく中でひとつ大きな夢が自分の中にあったんです。その大きな夢をかなえるためにダンスとかバトントワリングをやってきたと言ってもいいくらい、どうしても叶えたい大きな夢があったので。
石﨑 大きな夢?
山本 小学校3年生の時にそのパレードを観て……すごくキラメキがあったんですよね。その夢がずっと忘れられなくて。
いろいろ自問自答したのですが、やっぱり最終的にその夢が勝って。高校を出てから22、23歳の時に“某テーマパーク”のオーディションにチャレンジしました。
石﨑 ここでは名前を出しにくいのですが(笑)、“某テーマパーク”のダンサーのポジションを見事ゲットしたんですよね。
山本 今と違ってチャンスが少ない時代でのチャレンジだったので、その1回のオーディションにすべてを賭けていましたね。
プロ野球チームのチアリーダーに!
石﨑 “某テーマパーク”をご卒業されて、次のステップはどうされたのですか?
山本 20代のうちに動けるだけ動いて、いろんな世界を見てみたいという思いがありました。それで、今度はスポーツの世界で表現というものをやってみたいと思い、横浜ベイスターズ(現・横浜DeNAベイスターズ)のチアリーダー「ディアーナ」に入りました。
石﨑 またしてもすごいですね!それもそうそうなれるものではありませんよね?
山本 オーディションはありましたけど、ベイスターズがどれだけ好きかをアピールしました(笑)。運がよかったんだと思います。
石﨑 ダンスからバトントワリング、テーマパークで表現者としての夢をつかんで、横浜ベイスターズのチアリーダーに。そのチャレンジ精神ってすごいなぁ。
山本 当時は今と違って、ダンスの大会なんてなかったし、人前で表現できる仕事はミュージカルや劇など、かなり限られていましたからね。数少ないチャンスに賭けるしかなかったんです。今はダンサーも職業として確立されていますし、YouTubeやTikTokで誰もが表現できる時代ですよね。
石﨑 今の子どもたちは幸せですよね。でも、そういうチャレンジを経験したことが、今の指導者のキャリアにもすごく生かされているのではないかと思います。
リズムトレーニングのことをもっと知ってほしい!
石﨑 最後に、STARのインストラクターとして、今後の展開などをお聞かせください。
山本 このスポーツリズムトレーニングを通して、もっと多くの子どもたちに、自分には可能性があることを知ってほしいという思いがあります。その意味で、テニスでもなんでも、その子どもたちがリズムトレーニングを通じて可能性を広げるチャンスを、自分の中で作ってあげられたらと思っています。
石﨑 GODAIでも、テニスなどのレッスンにリズムトレーニングを導入させてもらっています。
山本 あと、インストラクターの資格もさらに上を目指していきたいと思っています。まだまだ勉強中ですね。ずっと勉強は終わらないと思っています。
私、スポーツはテニスもゴルフも、どれも観るのが好きなのですが、ただ観るだけじゃなくて、その選手がどんなトレーニングをしてるんだろう?とか気になるんです。SNSなどで「こういうふうにトレーニングしているんだな」と勉強していますね。
実は、私がチアリーダーを務めていた横浜DeNAベイスターズでも、スポーツリズムトレーニングを採り入れているんですよ。選手の中には、ウォーミングアップに採り入れたことで「ストレートの制球が定まってきた」「自分のリズムでプレーできるようになった」と言ってくださる方もいます。
石﨑 プロスポーツの世界でも、リズムトレーニングの普及が進んでいるんですね。
山本 プロスポーツ選手の間でも、もっとリズムトレーニングの認知度を高めたいと思っていますし、日本だけでなく世界にも普及していけたら嬉しいです。何より、一人でも多くの子どもたち、そしてその子どもたちを指導する側の大人の皆様にも広めていけたらと思っています。
※12月28日(月)、GODAI白楽で山本コーチによる「リズムフィットネス」のスペシャルレッスンイベントを開催します。キッズはもちろん大人の皆様も参加できます。リズムに合わせて脳・心・体を動かし、カラダの年末大掃除をしましょう!
※記事の内容は、「すぽきゃす」のインタビューをもとに再構成しています。
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