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【ヴァンガード:天智覚命】新しいアルグリーヴラに関する試行【覚書】


☆はじめに


 いつもお世話になっております。

 本記事は、10月11日発売のブースター『天智覚命』にて追加された新規のアルグリーヴラサポートと、それをデッキに組み込んでの実際の挙動、ゲームプランについてのアプローチをまとめることを目的とした記事になります。
 チラ裏に近しいものであるため、内容については筆者の主観意見が濃いこと、またある程度アルグリーヴラデッキのことを理解している人向けに、記載内容については若干の省略をしている部分があります。

 デッキそのものの主だった動作方針、ゲームプランなどについて細かく記載したものは過去に執筆した解説記事に追記というカタチで追って掲載します。
 
 以下にリンクを置きますので、ご興味のある方はご参照ください。


☆前提1.予想されうるゲーム環境の推移

 『天智覚命』でのプール追加でゲーム環境に新しく大きな影響を与えるデッキは3つと捉えている。(順不同)

1.レザエル・ヴィータ
2.リィエル・オディウム
3.ラブ&ベリー

 これらのデッキは『宿命決戦』でリリースされた新規デッキらよりも純粋に縦方向にカードパワーが伸びており、(猩々童子と)超越デッキを中心としていた既存環境上位のバランスを大きく変えうる可能性のあるデッキだと考えている。

 ヴァルガ・ドラグレスに関しては、縦ノビをしているところより弱点補強要素のほうが大きいと考えており、強力なデッキながらトリオファイトなどにおいては、コンセプト的にも依然として有力なセカンド、サードデッキというポジションは変わらないのではないかと予想。

 また、レヴィドラスを含む既存の各種『宿命者』達も同様に新規追加カードによってデッキとしてのパフォーマンスが上昇傾向にある。

 

☆前提2.新規カード追加による天智覚命環境でのアルグリーヴラへの評価


 新規カードだがRのアブシュゲヴィター・ドラゴン以外の2種が、実質的なアルグリーヴラの追加プールである。

 RRRのバディーア、Cのバイデシーゼン共に、アルグリーヴラの弱点を補うことができる良質な追加。

 しかし、どちらも「弱点を補う」という方向性なのは、同期の宿命者達も含め全体のカードパワーが上昇傾向にある『天智覚命』環境において、大きな逆風であると考えられるだろう。
 他が縦にノビている中で、既存の動きを補助する方向にシフトするのは、デッキとしてのポジションが後退することを意味している。

 なにより、既存構築にそのままこれらの追加カードを入れようとすると、これまでアルグリーヴラを支えていた《フォルド&リバルティス》《ブラキオフォース》《シェンリィ》の枠を脅かすことになり、ひいてはアルグリーヴラの長所であった、各種超越デッキ対面での優勢も失うこととなる可能性が高い。

 上記の理由により、追加2種をそのまま素直に採用するのは結果的にデッキパワーを下げかねない行為だと捉え、縦方向へのノビが薄い点も含め、今までと異なるアプローチが必要なのではないかと考え至った。

・カード情報

 バディーアは、ペルソナが探せないという大きな痛手こそあるが、《諸悪を誅する烈火の咆哮》で探していたシャルフーブや、場づくりのためのアーヴィル、盤面復帰用の均衡を引き寄せ手札交換できる優良カード。
 過充填効果も待望のG2なため単独で25000となり、先攻時には単体でG2ヴァンガードに対して15000シールドを抜き、ガード負荷をかけやすくなっている。

 バイデシーゼンは条件こそ難しいものの、ノーマルユニット3枚分となるシールド15000を持ちバディーア同様に過充填単体25000と、場を広げる都合で防御が薄くなりがちなアルグリーヴラにおいて、それなりに噛みあったテキストをしている。
 コモンだが十分に採用を検討できる範囲のカード。


 

◆基礎レシピの作成

 まずは基礎となるデッキレシピを作成する。
 バディーアはこのデッキの勝利プランである「シャルフーブを2面揃える」というゲーム形成に大きく関わるカードのため、枚数の多寡はあれど採用しない理由はない。場に残ってシールド値を持つウォークライと考えれば、その価値は計り知れない。
 そのため新しいアルグリーヴラへのアプローチとして「バディーアを場に出すことのリターンをどういうカタチで実現するか」という検討からスタートする。
 

 この基礎レシピは、既存のアルグリーヴラデッキの方向性をできるだけ維持したまま、バディーアを追加したものである。
 バディーアの存在によってシャルフーブとアーヴィルへのリーチ力が高まった。ゲーム上の変化はそれだけで、デッキの出力、方向性、実際に展開されるゲーム内容全てほぼ既存そのままである。
 基礎レシピとして今回フォルドを採用しているのは、バディーアを経由したソウルからの盤面展開に噛ませることが可能なため。
(シェンリィの不採用によって後攻時の攻め手は減っている。入れ替える場合はフォルドになる)


 これは「今まで勝てていた相手には勝てるが格上には勝てない」状態であるため、ここから各方向へ試行を始める必要がある。

◆バディーア運用の際に発生する問題点

 4ターン目以降は可能な限りシャルフーブを前列に2枚揃えるゲームを目指しているため、バディーアの着地は2〜3ターン目を想定している。

 2ターン目、アーヴィルやファルハートが複数絡まない場合、このバディーアの手札交換時に手札にあるものは、
・ペルソナ
・守護者
・トリガー
・シャルフーブ
 この四択のうちどれかである場合がほとんどであり、4ターン目にシャルフーブを二面立たせるという目的のためにプレイするのであれば、実際の運用上ではトリガーか重要度の低い過充填カード(同名orファリーザ)と引き換えることになる。

先攻2T目バディーア着地時によく作成することになる盤面。3T目に単独で25000になれるメリットを活かし難い。ここからもう1枚手出しでG2を並べた場合は、残手札の内容的に前列を潰された際のリスクが非常に大きい盤面になる。

 多くの場合、ここからもう一枚手札からリアガードを前列に展開するなどするが、この状況が発生した際の問題点は以下の2点で、

1.ガード値がない
 トリガーを過充填カード等と引き換えがちであることと、シェンリィ等の、攻撃参加後に手札へ還元される動きがないため、相手の次ターンの攻撃をほとんどガードできずパスすることになる。

inシェンリィ outフォルドで緩和可能?

2.リスクに対する盤面の数値不足
 防御プレイヤー側が容易にダメージを1点に抑えることができてしまう。
 1、2ターン目の盤面の要求期待値が低く、アルグリーヴラ側が手札を消耗して早仕掛けしている割にはリターンが少なく、3ターン目のダメージ進行に差し障る。


 上記2点とも、総じて
「リスクリターンが合っていない」
「手札交換を強く使うための札枚数が足りていない」
 という課題がある。
 これらの課題を解消する方針を模索する。

◆新しいアルグリーブラへのアプローチ


 
 改めて確認になるが、ゲーム進行に大きな影響を及ぼすシャルフーブとアーヴィルのサーチに容易につながる時点で、このカードを採用しない理由はない。
 バディーアの着地、あるいはその際の手札交換をメリットに変える方針を模索する。

①.手札交換による長期的なゲーム

 早仕掛けのリスクを下げ、温存して抱えた分の手札の質を高める方針である。
 バディーアは手札交換ができ、バイデシーゼンは条件こそあるもののカード3枚分のシールドを持つ。
 仮に、中盤以降にバディーアでバイデシーゼンをサーチした際に手札から5000シールド以下のカードをコストとしてソウルに入れることで、手札枚数は同じながら手札のシールド値を水増しできるのではないか?ということで始めた試行。
 《咆え猛る防衛本能》の存在もあり、超トリガーや猫カードなどの防御系バウンスを絡め、以前より1、2ターン程度の長期戦を見越したゲームプランが構築できるのではないか、という発想だった。

バイデシーゼンと合わせて25000ガード。更に手札に15000シールドがバックする。

 結論から言えばこの試行は失敗であり、意味の薄いアプローチだった。
 防衛本能、猫、いずれもゲーム序盤には機能しないカードであり、均衡もオーダーカードである以上、当然場に出すことがない。
 もちろん均衡を不採用にするなどで枚数調整は可能だが、そもそも場にカードが出にくいということは序盤〜中盤までバイデシーゼンのシールド値は上がらず、道中の攻撃も浅く、結果的に序盤の攻撃力を下げたにも関わらず防御力もそこまで劇的には上昇しない。

 仮に、盤面にバイデシーゼンを出した状態でシールド15000化を求めようとすると、過充填カードがバイデシーゼンを含め4枚必要になる。4枚という数字は、アーヴィルと均衡程度しか枚数水増しのできるカードがないアルグリーヴラにとって、かなり気合いが必要な枚数になる。
 尚、バディーアでサーチを行う際、バイデシーゼンとシャルフーブが7ルックに掛かった際にシャルフーブを拾わない選択肢はほぼ存在しない

 手札枚数を増やすことに特別長けているわけではないアルグリーヴラにおいて、1枚のバリューを上げることには重要な価値があるのだが、結論としてこの方針はゲームの勝利から遠ざかっていると結論した。


②.秤の均衡の主軸化

 公式が妙に推してきているが《世界に秤の均衡を》は単体でそこまで強力なカードではない。
 アルグリーヴラは状況次第で後攻3ターン目にゲームを終わらせることも視野に入れる速攻デッキであるため、G3ライド時には場が埋まっていることも多く、攻撃のため必要な過充填カードはライドコストとして捨て難い。生き物でない均衡はそもそも扱いにくい。
 しかしバディーアのサーチ対象にもなり、バディーア自身のコストで手札から対象の過充填カードを捨てることもできるので、

①バディーア着地
②均衡をサーチし過充填ユニットなどをドロップ
③均衡で過充填ユニット2体蘇生

 この三工程によるCB1使用での盤面アドバンテージ+1を得る動作を強く使うため、均衡を多く採用して2回程度使用するゲームを目指す。
 均衡の数があるメリットとして、除去デッキに対して若干の耐性を持って強く出られるというものがあった。

パワー+5000かSCくらいあれば……

 結論として、均衡を二回使ったところで強くはなかった。
 当たり前の話ながら、バディーアを経由していようがいまいが、CB1で枚数1アドは現代ヴァンガードにおいてはごく普通のリターンである。勿論ドロップからの盤面形成は除去、殲滅後の自由度が高かったが、ゲーム内で実際に蘇生行動をするのは平時であれば1回もあれば十分。
 また、問題点として盤面こそ増えどドロー処理がなく手札枚数は増えない(アーヴィルが蘇生に絡んだCB2使用時を除く)ため、打たれ強さにもあまり繋がらない。バイデシーゼンを蘇生すれば確かに多少硬くなるものの、4ターン目に蘇生したいのはバイデシーゼンではなくシャルフーブであり、このデッキは速やかにシャルフーブ二面を揃えるデッキである。

 1.長期的な~…のようにバイデシーゼンを複数回蘇生すれば、というのも、均衡にガード値が書いていない時点で微妙に噛みあっていない。そもそもバイデシーゼン自体、枚数を厚く採れるカードでもない。

 とはいえ除去デッキに対するアンサーカードとしての価値と、それを生物でサーチできるという点については依然強力であるため、あくまで均衡は除去対面を見てからバディーアで探しに行けるアクセスしやすい蘇生札、というポジションと結論。
 バディーアが均衡をサーチできることで1、2ターン目に広げた盤面を除去されてもCBさえあれば復帰がし易いというメリットは大きい。相対的な均衡の価値は上昇している。
 

③.札枚数の確保

 バディーアの手札交換で有効カードが手札からこぼれるのも、場に並べると手札がスカスカになるのも、結局のところ管理できる札枚数が少ないためである。
 また、盤面の数値が低いのはバディーアが盤面にいる都合上8000ブーストでは有効なラインが組みにくく、そしてアルグリーヴラはG2ターンにライドラインのラケーテンとアーヴィルをそれぞれ並べることが多いデッキだからである。
 4ターン目に全体除去が飛んでくることもある『天智覚命』環境において、アルグリーヴラデッキ全体がゲーム中に稼ぐアドバンテージ量自体、すでに現在のデッキの水準を満たしていないのではないか?

フォルドの登場時効果である程度賄える…が、バディーア効果でソウルに入れたアーヴィルを出すのは、CB2がないとアーヴィルの1ドローを活かしにくいのと同時にシャルフーブが集まりにくくなる。除去を受けない限りアーヴィルが着地するのはゲーム中最大2回が望ましいため、このコールでアーヴィルを場に出すと、結果的にゲーム中に稼ぐ手札枚数がマイナス1になることも。

 

 では単純に、更に札を増やす方向性でカードの追加採用を検討する。
 とはいえ、すでにCBはアドバンテージを得ることにほぼ使い切っており、EBは連続攻撃に6必要なため、アルグリーヴラが使えるリソースは実質SBのみとなる。
 リアガードでSBを使用するカードは現状採用されていないため、ここのリソースで枚数を稼ぐ方向の試行。

 いくつかのカードを試した中、良好だったのは二種類のカード。
 その中でも、ライドコスト、もしくはバディーアの手札コストになった際に場に出るローレンスグレアがもっとも感触がよかった。
 順番に、それぞれざっくりと記述する。

バディーアの着地時のサーチ自体をアドバンテージ発生の機会にできるのは思っていた以上に強力で、デッキから過充填カードをサーチしながら、早いタイミングで10000ブースターが場に出るのは非常に頼りになる。カルガフランは言わずもがな。

・ローレンスグレア
 札1枚の価値か高い、3ターン目までの仕事量を評価している。
 現在の環境で場を5面フル展開したままエンドするデッキは少なく、逆にアルグリーヴラは5面展開が常のため、ブースト能力を失うことはあまりない。
 先攻時にはラケーテン前で18000列として攻撃に参加し、返しにインターセプト5000として退場。後攻2T目にはG2と縦列を組んで20000ラインになることもできる。
 アルグリーヴラの3枚選択でV裏の過充填カードを選ばない場合、V裏で10000ブーストとして33000〜43000ラインを形成することもある。
 2、3ターン目の①バディーア→②アーヴィルサーチ→③ローレンスグレアをコストにする動作のリターンがとても大きい。

 ソウル確保に問題がないか一番の心配の種だったが、ソウル1枚~2枚程度であればアーヴィルか追加のバディーアを置けば、5ターン目までであれば問題なかった。
 1枚もアーヴィルが通過しない場合が問題だが、そもそもバディーアを使った上でアーヴィルが1枚も通過しないゲームは敗色が濃い。ローレンスグレア以前の話である。

 尚、ゲーム後半に引いた場合には、羅刹に全体除去を受けた際の緊急用のブースターとしての仕事程度しかない。あくまで、ファルハートとライドコスト役の仕事を兼任をしつつ、かつバディーアの着地を1アドに変える点が見所。

・カルガフラン
 カルガフランの強みは先攻1ターン目からライドコスト要員としてソウルを使いドローできる点。ファルハートにもローレンスグレアにも出来ない仕事である。
 ライドコスト要員の選択肢が広いことで、ファルハートをCBで使える場面が増え、シャルフーブの5パンを維持しやすい。長期戦が視野に入る対面の場合、ファルハートのドローは基本的にCBで行うため、この選択肢を選ぶことができるのは強かった。
 ゲーム後半は着地で1列除去が可能だが、4ターン目にコレを場に出している時はシャルフーブが揃っていない相当キビしい状況なので、実際にはあまりゲームに貢献することはない。除去そのものも、今時悠長に価値のあるユニットを列で残してくれる相手は少ない。
 ライドコスト要員の処理後に引き込んでしまった時など、特に仕事がないのも気にかかる。
 序盤のドロー役として、浮いた枚数分をバディーアのコストに当てるなりパーツ取りにするなりガードに回すなり、攻撃以外の用途に回せるのがカルガフランの評価点。

 問題としてローレンスグレアもカルガフランも、札枚数の増加には貢献するが盤面の数値にはあまり寄与しない。そのため、フォルド等の方が直接的な数字になる。
 また、ソウルからシャルフーブ達を引き上げられるのも結局はフォルドのみであるため、極端にこの二枚がフォルドより有力なわけではない。

 バディーアの着地時にサーチを行った結果、不安定になる序盤~中盤の札数に余裕を持つことができ、再びゲームが安定しやすくなるというのはメリットである。

④.ブーストオーダー

 2ターン目の数字が足りないのなら、コレを張って15000ブーストを立てれば解決!過充填カードにもブーストを付ければ25000ブーストもあるぞ!という真っ直ぐな発想。
 やってみてすぐにわかることだが、この15000ブーストの捻出でゲームが有利になることは、あまりない。


◆まとめ

 以上4点が、今回の追加で試したカタチである。
 個人的にはの札枚数確保の方針を取るのが一番ゲームとしての感触がよく、先手後手どちらにも対応しやすいと感じた。
(枚数が増えているのだから当然と言えば当然だが)
 アルグリーヴラが本来勝ちにくい格上相手や、逆に札不足で負けやすい相手に、速攻しか解答がない状況を脱しやすくなっている。

 また、記事中の文章ではマイナスなことをたくさん書いているが、の方針もゲームの組み立て次第で十分に別の展開を作ることができる。

 ほかにも巫女型などもあるにはあるが、そちらの方向性については本記事で少し振れるより何かしらの専用記事があった方が良いだろう。


 実際の大会シーンで今後アルグリーヴラが勝ち残ることができるかどうか、ひとつの試行として、よければどなたかの参考になればいいなと思う。

 所謂スタンダード構築のアルグリーヴラで勝てていないという人は、ぜひこれらを試してみて感想を聞かせてほしい。
 そのフィードバックを元に、もっとこのデッキの模索を進めていきたいなと考えている。

 
 

◆終わりに

 今回は本記事をお読みいただき、ありがとうございました。
 紹介したいくつかのパターンについて、運用細々を書いた紹介レシピを過去に投稿した記事に追記します。
 本記事冒頭にリンクがあるので、改めて詳細が気になった方についてはそちらの方をご参照ください。


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 それでは、またどこかでご縁がありますように。
 ありがとうございました。

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