【CHC】Michael BuschとYency Almonteを獲得
日本時間1月12日早朝、カブスとドジャースの間で2対2のトレードが成立しました。
◾️ Welcome to Chicago !
□ Michael Busch
Michael Buschは2019年ドラフト1巡目(全体31位)指名で、MLB Pipelineのドジャース傘下で2位、全体Top100でも44位にランクインするトッププロスペクトです。
■ 打撃
彼の最大の武器と言って良いでしょう。4月25日にメジャーへ昇格し、同日のパイレーツ戦でメジャーデビュー。メジャーでは壁にぶち当たってしまっていますが、3Aでは全球団マイナーリーグの全選手の中で8位となるOBP.431、全体2位となるOPS1.049をマークし、パシフィック・コースト・リーグMVPとBaseball Americaの2023年ドジャースのマイナーリーグ年間最優秀選手に選ばれました。
2Aと3Aでの2021年-2022年のシーズン、K%=26.0%、26.3%だったのが、2023年は18.8%まで改善され、BB%も2022年3Aでの9.9%から13.9%にまで改善されしっかりと自分の打ちたいボールを見極める辛抱強いアプローチができた点も一つ大きいのかなと思います。
堅実かつマイナートップレベルの打撃センスと優れた出塁技術を持つ中軸のパワーヒッター候補になれる存在ですし、彼にとってもうマイナーでやることはすべて終え、今度はメジャーの舞台で長く活躍する番です。
マイナーで培ってきた経験を武器にメジャーでもバンバン打ってほしい。
■ 守備
ここは非常に難しい問題だと思っています。ドジャースやマイナーでは3Bと2Bでの出場が多く、1Bも守れるというユーティリティ内野手でした。
カブスの編成総責任者ジェド・ホイヤーは日本時間の昨日から開催されているCubs Convention 2024の取材の中で以下のようにコメントしています。
昨年から3Bに挑戦し始めたことによる経験不足もあるかもしれませんが、守備は上手いとは言えず、Nick MadrigalやPatrick Wisdomを押し退けてまで起用する肩の強さもないため、3Bでの起用はあまり期待できないかなと感じています。なのでカブスでは1Bメインでの起用となるのかなと個人的には思っています。
となると、昨年デビューしたMatt Mervisはどうするのかという問題に直面しますが、打撃が武器なので1B/DHを分け合うというのも案としてはあるでしょうし、いずれにせよCounsell監督がどのように彼を起用したいかによって変わってくるのではと思います。
□ Yency Almonte
メジャー通算196試合に登板した実績豊富な右腕。
11月にドジャースとの調停を回避し、24年の1年190万ドルに合意した直後のトレードとなりました。
2022年に33試合(35.1IP)に登板しERA1.02/WHIP0.79、bWAR1.5をマークするも、2023年は調子が上がらず、右ひざの故障などもありキャリアハイとなる49試合(48.0IP)に登板するもERA5.06/WHIP1.40、bWAR -0.5と不本意な結果に終わってしまいました。
平均95-96mphの速球と、投球率50.1%を誇るSweeperが武器。SweeperはWhiff%=47.9%、K%=42.6%を誇り、彼の生命線と言える球種です。
ただ、以前対左打者対策には課題を持っており、対策が必要ですね。(キャリアOBP.358、2023年は.421、被打率.290、WHIP1.96)
加えてマイナーオプションが切れているというのもなかなかしんどいですが、2023年大きな課題を抱えたカブスのブルペンに厚みを加えるような活躍を期待したいです。
◾️ ロサンゼルスへ旅立った2人の若きホープ
BuschとAlmonte獲得の対価として、カブスから10代の若き2名のプロスペクトがロサンゼルスへと旅立ちました。
□ Jackson Ferris
2022年のドラフト2巡目指名。マウントエアリー高校からIMGアカデミーに転校した1年目に50.2IPを投げ8W0L/ERA0.55/86SOという化け物じみた数字を残し、U-18代表にも選出されるなどアマチュア時の評価では1巡目で消えてもおかしくないとまで言われていた逸材で、スロットバリューの2倍となる契約金300万5000ドルで入団しました。
当時のIMGのチームメイトには同年ナショナルズから全体5位指名を受けたElijah Greenがいますね。
6フィート4インチ (約193cm)の長身から繰り出す平均92-95mph(Max97mph)のノビとスピンの効いた4シーム、ハイスピンかつ落差の大きいカーブを主体に、発展途上ではあるがスライダー&チェンジアップも扱う正統派左腕。
ルーキーイヤーとなった2023年のLow-Aでは18試合に先発(56.0IP)し、ERA3.38/2W3L/77SO/WHIP1.21/FIP3.27をマーク。50.0IP以上登板したカブス傘下全マイナー選手中6位となるK/9=12.38、5位のK%=32.5%と奪三振に長けている点は非常にGood。しかし、腕の使い方が独特なフォームがゆえにBB/9=5.30、BB%=13.9%と制球がばらつく点は現時点ではBad。
現状はまだまだ線が細いため、ここから体が出来てくれば平均球速も90mph後半のエース格になれる高いポテンシャルを秘めてるだけに、カブスとしては惜しい選手を放出せざるを得ない形となってしまったなという感想です。
□ Zyhir Hope
2023年ドラフト11巡目指名の18歳でノースカロライナ大学進学が内定していたところを契約金40万ドルで入団。
高校時代は二刀流として活躍した選手で、野手としては24試合に出場して、9HR BA.530/29SB/OBP.663という驚異的な打撃成績をマーク。
投手としても主にクローザーとして14.0IP/1W1L/ERA1.25/3SV/23Kと投打において素晴らしい活躍を見せていました。
カブス入団後はACLに配属され、11試合で3HR .286/.419/.543/.962という好成績を残し、9月にLow-Aに昇格し強打者の片鱗を見せつけました。(Low-Aでの出場はなし)
K%=30.2%とアプローチの脆さは課題ですが、ルーキーリーグとはいえ、11試合で3HRは非凡なパワーポテンシャルを持っていると思うので、体ができてくれば2桁を狙えるクリーンナップを任せられるような選手になれる将来性豊かなプロスペクトです。
※ 引用動画は高校時代のもの。
◾️ トレード所感
カブスは、Jackson FerrisとZyhir Hopeの2人のプロスペクトを放出し、課題ポジションであったリリーフの1枚としてYency Almonte、コーナー内野手の1人として全体Top100にもランクインするトッププロスペクトのMichael Buschを獲得することができました。
どちらの選手もカブスに不足していたポジションを担える選手であるため、FerrisとHope名前のとおりカブスの希望を2人放出してしまいましたが、個人的には非常に良いトレードだったのではないかなと思います。
Almonteは頼れるリリーフの一角として、Buschは守備でプラスを生み出せるのかは怪しいですが、卓越したバッティング技術でカブス打線をけん引してくれることを願っております。
一方のFerrisとHopeはドジャースの優れたマイナー組織ですくすくと成長し、いつの日かメジャーの舞台で活躍することを期待しています。
お互いの獲得した選手たちの未来に幸あれ! 『Next Starts Here』
参考文献
本稿の執筆にあたり参考にしたサイトなどを以下にまとめます。
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