「お月さんももいろ」珊瑚の世界感が伝わる絵本から。
珊瑚のお店を準備する中で、初めて読んでみました。
昭和48年に発刊された絵本。
高知で生まれ育ったその当時は、
タイトルくらいは知っていました。
知っていたと思います。
そんなうっすらした記憶があって、思い出した絵本です。
ただ、悲し気な印象を受けるこのイラストに、
子供の頃の私は、手を伸ばさなかったのかも。
少し怖くもあり...。
いちばん好きな場面はここです。
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むかしのはなしよ、お月さんが
はんぶんかけてのう、
天から こけて 海のそこに つぶつぶと
しずんだげな。
小さなな主人公の「おりの」に、このお話をする
おじいさんのページがとても好きです。
ただ、読み進んでいく毎に
悲恋のお話…
物語は、海と共に暮らす貧しい少女「おりの」が、
桃色珊瑚を拾ってしまったことから起こる悲劇。
江戸時代の頃、もし、珊瑚の存在が江戸幕府に知られれば、
財宝として土佐藩から幕府に召し上げられてしまうから、
土佐の殿様は
珊瑚を採ること、拾うこと、持つこと、語ることさえも禁じた
という史実があったそうです。
そして、海の民(おりの)と山の民(おりのと出会う若者)は
一緒になってはならないとか...
しがらみだらけの社会背景も見えてきました。
そんな史実をもとに制作された絵本が
「お月さまももいろ」
読み終わり、ため息をつき、
そっと本棚に戻しました。
胸が痛い...( ノД`
今では考えられない時代。
そんな中で、おりのも若者も自分にとても正直で純粋。
とても悲しいのに美しいお話でした。
珊瑚の貴重さが重すぎて、
十分すぎるほど伝わってきたお話。
高知県の大月町が舞台とのこと。
海がとにかく美しく、いつか近いうちに、行ってみたい場所です。
珊瑚がきっかけで、
高知出身の私自身も、高知のこともっと知りたくなり、
改めて良さに気が付いたりしています。