佐藤直樹展:紙面・壁画・循環(太田市美術館・図書館)
かつて在籍していたASYLの佐藤直樹さんの展示に行ってきた。長いと思っていた会期も気が付けば今月の20日まででぎりぎりの滑り込み。
僕がASYLに在籍していたのは2003年〜2006年の約3年間で、佐藤さんの仕事を間近で見ながら、ここでは書ききれない程の貴重な体験をたくさんさせてもらった。デザインが置かれている状況やデザイン業界(?)に対していつも疑問符を抱えながら突っ走り、時に悩み、新しい表現やテクノロジーなんかに無邪気に喜ぶ生身の佐藤さんを見ながら仕事をした3年間だった。
そんな佐藤さんが、クライアントの目的を達成するために大勢の人に観られることを前提としたデザインという表現から、誰に観られることも想定されてない(ように感じられた)絵画表現を黙々と始めたことはちょっと嬉しい驚きだった。しかも若干狂気じみているところがさらにぐっとくる。
前の会社を辞めてフラフラしていた僕を拾ってくれたのがASYLの佐藤さんだった。最初に手伝った仕事も展示してあった。どの仕事を観ても入稿前のドタバタや徹夜で過ごした事務所の風景が脳裏に浮かんでくる。懐かしい日々。
初めて訪れた太田市美術館図書館は想像以上に素敵な場所で、この公共空間とコンテンツの豊かさはそのまま街の豊かさに直結していると感じる施設だった。丸一日いてもいい。
今回、こどもを含めた家族全員で行けたのは良かった。
実は公私共にパートナーである妻とはASYLの同期でもある。(その前に同じ大学院の同期でもあるのだけど。)
2歳児は屋上を走り回り、7歳の娘には「父ちゃん達は昔こんなお仕事してたんだぞ〜!」と話しかけたけれど、本の方が楽しかった様で、ずっとキッズエリアで絵本や児童書を読んでいた。
気が付けば僕がASYLにいた頃の佐藤さんの年齢を、今の僕はもう超えてるんだよなぁ。あの3年間が無ければ今の自分は無い。
ASYLにいた頃や今の自分を振り返りつつ、この先の未来に思いを馳せる展示だった。佐藤さんの終わらない絵画がひとつの答えを出してくれている気がしたのだった。
本と美術の展覧会vol.3
佐藤直樹展:紙面・壁画・循環
太田市美術館・図書館|06.29 - 10.20 2019
https://www.artmuseumlibraryota.jp/post_artmuseum/3330.html