だいたい「外房」ときどき「東京」
30代半ばで割と気軽に田舎に引っ越してみてから、もう8年も経った。2011年の夏に、生まれてからずっと住んでいた東京を離れ千葉の外房に引っ越して来た。縁もゆかりも無い土地。生まれ育った都会以外の土地や暮らしに、純粋に興味があった。東京以外の、海が近くにある場所で暮らしてみたかったのだ。
田舎の暮らし。想像と現実は当然違う。8年の間、紆余曲折が無かったわけじゃないけれど、都会暮らしを続けていてもそういうことは当然あったと思う。なので、細かいことはあまり気にせず〝暮らしの実験中〟というスタンスで、千葉の外房と東京を行き来する二拠点居住を続けている。
驚きと新鮮さは、8年経てば減ってきそうなものなのだけど、意外とそうでもない。足を使って自分で動けばまだまだ面白いことがたくさん起こる。
肉眼ではここまでは見えないのだけれど、外房の家の前で撮った天の川。
人生色々。いいことばかりじゃないけど、わるいことばかりでもない。
ロマンチックな星空はある。それでいいじゃないか!
冬までに星空をばっちり撮れるように練習する。
京葉線東京駅のほぼ真上にある「東京国際フォーラム」。ここまで来ると東京に来た感があって、気持ちのスイッチが切り替わる。
東京に〝来る〟と言う言葉がしっくりくるのだから、すでに自分のホームは外房なのだろう。
外房の家から東京までは、JR外房線上総一ノ宮駅から特急で1時間。快速で1時間20分。家から駅までのクルマ移動を入れると約1時間半〜2時間弱の旅。移動時間を無駄にしないようにと、最初は意気込んで電車内で仕事しようとしていたけれど、アウトプットを形にする種の仕事はまったく捗らない上に酔ったりするので、企画などの考えるタイプの仕事か、インプットの時間と割り切って本を読んだり、タブレットに入れた映画を見たりしてることが多い。
東京に行ったら、ギャラリーなどを巡る時間は積極的に作るようにしてる。
新しく渋谷にできる11月オープン予定のスクランブルスクエア。たった8年で僕の知っている渋谷ではなくなりつつある。東京の時計は早い。
片道二時間弱のトリップでこうも世界が変わる。ドラスティックに。その逆も然り。
東京の刺激と喧噪に疲れたら、外房へ帰る。外房のゆったりとした時間にいくらか退屈しそうになる頃、東京へ出かけるのだけど、どちらかがONでその反対がOFFというわけじゃない。東京にもONとOFFがあり、外房にもONとOFFがある。両端の振り幅を持った世界の行ったり来たりは、見聞きして体験したことを相対化した客観値として自分にインストールできる。それがいい。
両方の良さを運んだり繋いだりできる存在でありたいと思いながら、また行き来を繰り返している。