「リセット癖」がある経営者の元で働いていた時の話
こんにちは。ブラ男と申します。
少し前、なんかのメディアで「若者のリセット癖」という記事を見た事がある。
うろ覚えだが主旨としては、
「若者はすぐに人間関係リセットする!」
「失敗するとすぐに会社辞める!」
「すぐに環境変えちゃう!」
「忍耐力なさすぎ!」
というテーマだった(気がする…)
※SNSでブロックができるからオフラインの人間関係にもそれが顕現したのだ!という論調につながっていた気がするが記憶が曖昧なので割愛する。
あまりにも「ガバ理論」過ぎてどこかのお金持ちのお年寄りが年金に代わるなんらかの求心力を担保したいがためにコントロールできない世間に対してメディアの頬をお金で撫でまわして異端者を作る書かせたのだ!と僕は予想している。(ごめんしらんけど)
何故ガバ理論の認識なのか、若者に限った話ではないからである。
僕はもう若者という世代ではないけれど、僕が若者の頃からそういう同年代はいたし、「オレ、電話帳整理するタイプだからさ!(ドヤぁ)」と公言するタイプまでもいた。
本エントリに関しては、若者よりももっともっと年上で僕よりも一回りも二回りもそれよりもさらに上の経営者のもとで働いた話である。
「若者のリセット癖!リセット癖!(Fooooo!)」というメディアの各論を暴論の認識にめざめさせてくれた経営者に感謝である。
入社した時の違和感
まず最初に入社して抱いた違和感が、当該経営者のテンションが異常に高いのである。
いや、正確ではなかった、経営者「だけ」のテンションが高いのだ。
僕は無能なので「入社したの期待されてるんだウワア!ウレシイ!」なんぞ思わなく、「ああ、この雰囲気はもしかしてブラック企業特有の社員が疲弊しているタイプかな…」程度に思っていたわけだが。
明らかにおかしいのだ。
今振り返っても記憶を失って当時にタイプスリップしても違和感がある程であった。
最も違和感があったのが。
「この会社はもう変わった!今年から変わったのだ!もう変わったのであーる!(原文ママ)」と連呼していた事だ。
※原文ママと記載したが「あーる!」とまでは言っていない。申し訳ない。
おそらく共感性羞恥だろうか、けっこう鳥肌もんである。
「具体的な」方向性を示し、それにむかっていくための事実確認としての発言なら素晴らしい。
現状維持、爆速での保留決断が正義とされていたであろう時代を生き抜いた方のチャレンジ精神はより一層美しい。
もちろんそんなものではなく。
言い方のニュアンス、言葉としての粒度の粗さとしては、「海賊王に!おれはなる!」が大変しっくりくる。
※ポイントとしては「ドン!」という効果音が聞こえてくるか否かの判断なのだ。
「会社は変わったんだと!言えェ!」
違和感はさておき。
入社初月から3か月頃の出来事である。
別部署の方に依頼したものが断られ、何かの案件が一時停滞した時にそれを報告書に記載した時の事である。
(別に停滞しても二の矢を準備していたので僕としては特に問題なく、それももちろん報告していた。)
別部署の方がいわゆる「ベテラン」社員だったのでめんどくさそうなホモサピエンスだと直感で認識していた僕は二の矢を予め準備していたので特に問題はなかったのだが。
その報告書を見た経営者は激昂して僕にこう言った。
「会社は変わったのだから!ベテランがやれ!と言えェ!!」
おまえが言えと思った。
入社間もない人間で変化前の会社(といっても期初の風物詩である)の状態も知らず突然「会社は変わったのだあああ!」と言ったらどうなるだろうか。
うまくいくものもいかないではないか。
っていうかおそらく僕に「言わせて」経営者とベテラン社員の人間関係は守ろうとする流れなのだろうと察した。
経営者ァ…おめェ…メンタル弱ェだろ…クク…と陰キャあらため闇キャの僕は思った。
壊滅的な業務命令が下ってしまった僕はベテラン社員に
「経営者から僕に、会社が変わったからベテラン社員にその仕事やれ!って言えって指示が出ました」
とメタ的に発言しておいた。
というか、「会社が変わった!」というが、これは心機一転ムードでアドレナリンでちゃって昨年の反省とか失敗とかが帳消しになった感じがしてなんかもうとりあえずやっときゃうまくいくっしょ!と心機一転ドーパミンで誤解している感じなので人間関係に言及しているリセット癖が派生したものなのだと類推した。
本項にフォーカスするならば、「海賊王に!おれはなる!」と言って山で一生山菜取りしてる船長がいたら仲間はどう思うだろうか。
優秀でモチベ高い船員が勝手に海賊王になっちゃって「実はおれが船長でしたあ!海賊王はぼくぅwwwwwwww」が安易に予想できる。僕はこの現象に「海賊王にだれかがなるギャンブル」となずけた。
もちろん「どこにむかって変わるのか」「どのように変わるのか」といった具体的な明示や過去との対比の説明はなく、経営者だけが喚いている事が深淵である。
「実はすでにそこにある!未来は自分で想像(創造)したもの!」でお馴染み引き寄せの法則を実践しているのかと思うほど理不尽なハイテンションであった
この会社どこに向かって何が変わってるんだろうという当然の疑問の元社内の内部を夜な夜な漁っていると経営計画書を発見し、最終目標が「お客様にいっぱいまんぞくしてもらおう!(原文違う、粒度ママ)」であるのを見つけた時に深夜一人オフィスでバチクソ笑った。耐えられなかった。
「あーこのお客への興味失せたァ!」
経営者の商談に同行した時の事である。
なんかやんわり断られたのか承諾されたのかわからない内容だったと記憶しているが、とりあえずあしらわれたのだな…という商談だった。
会社に戻っている時、なんかよくわからなくなっちゃってバグっちゃったのか、それとも自分の会社に靡かないストレスからの防衛本能が働いて「突き放されたんじゃないよ!こっちから突き放したんだよ!システム」が暴走してしまったのかはわからないが。
「あー!やめた!この客への興味失ーせたぁ!(原文ママ、こんどはまじ)」
と僕に言い放った。
「ええ!?wwwwwwwww(草までまじ)」とリアクションする僕に、当該顧客への営業活動停止の指示がでた。
理由は「顧客の業績不振」だった。
(後日帝国データバンクで個人的に調べたらそれなりに好調だった。)
これはリセット癖の初期のレベルの状態が顕現したものだと考えており、
一定のストレスに晒されると「あーやーめた!」と投げ出してしまう。
まさにメディアの方々が書いた記事通りであった。僕はそのリセット癖の記事を拝見した際、まっさきにこの経営者の姿が脳裏に浮かんだ。
これは予想だが(だいぶ確度が高いのではと自負はある)、この経営者は誰かに何かをプレゼントする事が苦手なのではないかと無能なりに僕は分析した。
喜んでもらえなかった時のショック。陰口を言われているかもしれない恐怖。正解がない手探りのストレス。
自分が報われなかった時の惨めさ。これらに押しつぶされてしまい「あーやーめた!」と、
「突き放されたんじゃないよ!こっちから突き放したんだよ!システム」
が暴走しているのだろうと感じた。
不安な気持ちはわかる。共感する。しかし相手を突き放すほどの事ではない。
経営者ァ…おめェ…メンタル弱ェだろ…クク…と陰キャあらため闇キャの僕は思った。
「社員、おめェ、船降りろ。」
リセット癖は社員との関係にも波及する。
これは簡潔である。
気に入らない失敗したらクビに追い込まれる。
(損害額などではなく、機嫌。)社員が体調不良になったら即クビ。
対応をどうしていいかわからない場合は無視される。
などは正直序の口である。極めつけはこちらである。
過去の社員について話してはいけない(悪口とか批判ならOK)
新入社員に過去の社員がどういう人だったかを伝えてはいけない。
リセットされていると感じているのは経営者だけなのだ。
昨日からの連続性がリアルなのだとなんかの漫画でよんだ事がある。
まさにその通りである。
※昨日なんて存在しない!あるのは今だけ!という主張もあるがこれについての結論は僕自身どちらも懐疑的であり一旦議論の対象ではない。波風立てずに「今」を要約するなら相手が知覚した事がリアルとなるのが社会である。
話を戻して、承認欲求に囚われていた一部のベテラン社員の欲求を瞬間風速的に満たし懐柔することで過去6年間くらいの離職者全員の話を聞けた。(たくさんいた)
ベテラン社員も会社に染まってしまっているため表現は悪意に満ちていたがブラ男フィルターにかけ事実や実績に注目するとかなり優秀な方がけっこういた。
社員に拒否される事に傷ついてしまっている防衛本能だろうか。
ここでも「突き放されたんじゃないよ!こっちから突き放したんだよ!システム」が展開されていた。
離職が拒否に「だけ」見える事に深淵を感じた。(当該企業の場合は拒否なんだけど…)
たぶん経営者タイムリープしていた件
毎年、期(会社の年齢みたいなもん)が変わると「会社は変わったァァァァァ!」が展開された。
狂っているんじゃないかという感想を抱きそうになるほど。
毎年毎年「会社は変わったァァァァァ!」と経営者は言っていた。
社員のツッコミ待ちで逆にテストされているんじゃないかと思うくらい、毎年毎年言っていた。
数年間はゆうに経過していた。
(まじのガチでほんとうに売り上げとかその構成比とか一ミリも何も変わっていない)
数年間の後半はエスカレートしていた。
「新しい事業をすでにもう立ち上げています!いろいろと弊社はやっています!」という発言が会話の中で目立ってきた。
具体的に事業を聞くと教えてくれなかったり、損益分岐点到達のリミット(いつ儲けんねんの意)を聞いてみると「2年後」と、こいつ麦わら読んでんなと思われる程の期日であった。
もちろん、2年後に収益化がされる事はない。
まさに変性意識状態(トランス状態)である。なにかにとりつかれている。僕はそう思った。
打ち合わせも突飛なものになってきた。
比喩で失礼するが、従来の「パン」の質の追求方法がわからず、「異端な新作」を開発することで仕事をやっている気になっている「パン屋」とでもしておく。
「パンに結婚指輪埋め込めるプロポーズブレッド作ろうぜwwwww」
「お米派にもアプローチしたろwwwパンって言ってライス売ろうぜww」
「みんなストレスたまってるやろw踏んでも食べられるパン作ろうぜwwwww」
といった感じで、
消費者が「なぜ」それを求めているのかが皆目見当もつかない商品がぞくぞくと開発されていった。
もちろんそれぞれ秒で頓挫した。例に出すのも失礼かもしれないが学生の文化祭実行委員以下だと僕は無能ながらに感じた
経営者が息巻いて
「おい!おい!おまえら!パンにやきそば挟んだらガチうめーぞ!これやるべ!」
と言い放った瞬間に僕は崩壊した。自らの太ももにボールペンを突き刺し
「いったあwwwwwwwすいませんwwww大きな声出してwwwwペン刺しちゃったあwwwww」
と笑いの呼吸である筆記具刺偽装が唯一発現した時であった。
そんなリセット癖を「ビジネスチャンす!」と感じて頂いた別の会社の方と協業する事もあった。
キックオフ(関係者、はじめましての会)のミーティングで異常性を感じた別の会社から翌日お断りの連絡がある度、僕は自分の正常性を実感できる良い機会となった。
社内へは、「弊社から断りました!(ドヤあ)」と話されるが実際に企業の方に確認してみると「弊社から断らせていただきました」とお互いイッていた。
頓挫の仕方もリセット癖ならではというか、「あれどうなったんですか?」と聞くと「ブラ男くんあの企業どうなった?」と別の質問が帰ってきた。
僕は世界線の移動を認識した。
まとめ
巷ではリセット癖というと「投げ出し癖」や「気に入らない人間関係断絶早め」のように言われるケースがあるが。
問題はそこではなく、「反省できない点」にある
(っていうか心機一転エネルギーの勢いで目標設定するのは効果があるってどっかのメンタリストが言ってた動画を見た気がする。)
そして、それは若者だけではなく全年齢が対象であると考えている。
生きていると悩みが絶えないように、リセットしようが継続使用が壁は必ずあるのだ。
いじめられちゃった組織なんてとっとと抜けたらいいし、
犯罪してる会社から下される正常の評価なんて世の中の異常なんだからさっさと転職した方がいいし、
パワハラが常習化している上司なんて体調壊す前に逃げるべきである。
重要なのは、件の経営者のように「新天地ギャンブル」にならないようにすることである。
ちなみに件の経営者は自分に甘く人には厳しくをモットーに生きているので(知らんけど)
辞めた社員の事について「底辺落ちちゃったかあ・・・」とよく他人を蔑んでいたが。
「継続を断念すること(人)」を異端にしたがる意図を感じるたびに理解に苦しむのである
特に根拠なく、継続する事「そのもの」が正義とされるあたり、
継続の判断の恐怖を別の判断をした人間を蔑むことで正当化にて消化しているように見えてならないのである。(誤解であってほしい)
まるで、とりあえず続けていればマイホームも買えるし年金も入ってくるし車も持てるし老後も安泰だ!という時代があったかのようで羨ましい(逆を言えばそれらの未来を質に継続を強いられていたのかもしれないが)
***
話が逸れたが更に言うと新天地でも失敗していいのだ。
何度でも失敗していろいろ試していいのである。
っていうかもはや最終的にできなくてもいいのである。
しかし当該経営者のように思考までリセットしてしまうのはまずい。
将来の自分を形成する際の様々な禍根になりうると見ていて感じた。
(すいません偉そうに聞こえるかもしれませんが僕無職なんで気軽に見て下さい。「ある、である調」って淡々とした感じはいいけどなんか偉そうにきこえますよね)
自戒も含んでいるのだが説教くさく感じられるとそんなつもり全然なく寂しいので僕の好きなアニメ「物語シリーズ」のセリフから引用しておしまいである。
おわり
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