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【追悼 渡辺雅弘】Girasoul ~聴く者の魂を揺さぶるヴォーカリストMamiと、パーカッシブなカッティングを得意とするギタリスト渡辺雅弘によるアコースティックデュオ 《最終話》

cover photo by Keiji Koizumi

第8話 ↓


2023年5月22日(月)

 Mamiから、木村イオリとのデュオで出演する『下北JUNCTION』のセットリストについて相談を受ける。
 イオリにサポートしてもらうことは、雅弘が亡くなる前から決まっていた。体調が思わしくない雅弘が出演できない可能性があることから、イオリとのデュオ、もしくは(可能であれば)雅弘を加えたトリオ編成で演奏することを想定していた。

 過去に何度も共演しているイオリのピアノが、Girasoulの楽曲と相性が良いことは承知している。それでも雅弘のギターありきで聴いていたGirasoulの曲を、ピアノとヴォーカルのみで脳内再生することができない。
 思ったことをそのまま伝えた。


2023年5月30日(火)

 Mamiから、3パターンのセットリストを記載したDMが届いた。候補の中から良いと思うものを伝えると、Mamiもそう思っていたという。納得のいくセットリストが決まったようでひと安心。あとは当日を迎えるのみ。


2023年6月4日(日)
『下北JUNCTION』
@下北沢 Adrift(Girasoul - 60回目)

 日曜の昼下がり。新宿駅から小田急線に乗り、東北沢駅で下車。2021年9月にオープンしたAdrift(アドリフト)という多目的エンタメスペースには下北沢駅から徒歩5分の距離にあるが、東北沢駅のほうが近い(徒歩3分)。

 Adriftに到着すると、東京木曜會のomeletteがいた。会場の外にドリンクやフードのブースが出店していたので、受付を済ませてビールを確保。omeletteと乾杯(献杯)した。
 1stステージ(昼の部)に出演するMamiとイオリも外にいたので、近況報告や雅弘のことを話しながらビールを流し込む。

 ふと周囲を見渡すと結構な人だかりで、ちょっとしたお祭りのような雰囲気になっていた。2ndステージ(夜の部)に人気アーティストが出演するということで、なかなかの賑わいを見せている。
 この中に雅弘のことを知っている人がどの程度いるのかわからない。それでも、来場者が多いことが素直に嬉しかった。

『下北JUNCTION』を主催する森下貴之は、Girasoulがたびたびライブを行っていたColored Jamの元店主。この日、キーボードでGirasoulをサポートするイオリをはじめ、Colored Jamで共演していたbashiry、NakamuraEmi、カワムラヒロシといったミュージシャンが出演者として名を連ねている。盟友たちと再び共演できることを、雅弘は心から楽しみにしていた。


 14時40分、Mamiとイオリがステージに現れ、Girasoulのライブがスタート。1曲目は雅弘のカッティングが印象的な「Moon River」。イオリの鍵盤とMamiの歌によるGirasoulの楽曲が、違和感なく鳴り響く。続いた「Estrella」も素晴らしく、目頭が熱くなる。

 この日のハイライトは、レコーディングしたものの生前に発表できなかった雅弘の新曲「いびつ」。家族への愛を綴った歌詞に感極まって号泣。気丈なMamiのMCにも心打たれた。

 「群青」と「Sunset」を熱演して終了。悲しみに暮れる人々に寄り添うような音楽を届けてくれたMamiとイオリ、そして雅弘に惜しみない拍手が送られた。

[Setlist]
1. Moon River
2. Estrella
3. いびつ
4. 群青
5. Sunset

https://www.instagram.com/p/CtRFOAjy90y/?igshid=YzcxN2Q2NzY0OA==



 2023年7月23日(日)、青い海公園にて安潟みなとまつり音楽祭『太陽のおと vol.0 』が開催される。

 DJとしても活動する中村公一なかむらこういちが所属する青森商工会議所青年部が全面協力。Mamiは、木村イオリと共にGirasoulとして出演する。

 雅弘が心から願っていた地元青森での音楽フェスが成功することを祈る。


曲:太陽 / 渡辺雅弘
https://www.instagram.com/reel/CuoLokNgdK4/?igshid=YzcxN2Q2NzY0OA==




『下北JUNCTION』の数日後、MamiからGirasoulの新しいプロフィールを考えてほしいという依頼があった。仕事が立て込んでいたのでなかなか時間を作れず、6月半ばにようやく、考えたものをいくつか送くった。
 この連載のタイトルは、その中で採用されなかったものを使用している。

 本人にしてみれば「聴く者の魂を揺さぶるヴォーカリスト」というのは抵抗があるのだろうが、私にとってMamiと雅弘が魂を揺さぶる音楽家であることは、紛れも無い事実なのだから。


(了)



https://www.instagram.com/mami_ukulele_girasoul/


https://www.instagram.com/girasoul_m/

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https://twitter.com/gira_masahiro


ご覧くださいましてありがとうございました。
この連載が、渡辺雅弘とMamiの音楽に触れるきっかけになれば幸いです。

photo by Keiji Koizumi


#創作大賞2023 #Girasoul #ジラソウル #Mami #渡辺雅弘

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