大阪で人気の「フレンチおでん」はなぜ行列が絶えないのか?:サークル報001
「フレンチおでん」のコンセプトで、大阪を中心に人気店になっている「赤白(こうはく)」を知っていますか? 実際におでんを食べながら「3層価値」のフレームワークを活用して、人気のワケを分析しました。
フレンチおでんの「赤白(こうはく)」と言えば、関西に住んでいる人なら知っている人も多いと思います。
1号店のオープンからおよそ10年が経ち、現在は大阪の大型商業施設内に6店舗を展開しています(うち1店舗はテイクアウトの惣菜店)。
大阪以外には店舗がないため、知らない人も多いかもしれませんが、店舗の前を通りかかると大体いつもオープン前から行列ができています。
「フレンチおでん」というコンセプトのキャッチーさが受けるのは理解できますが、とはいえそれだけで10年もの間人気を維持できるのでしょうか。赤白が人気を集め続ける理由を、サークルメンバーたちで探ってみました。
「3層価値」で分析してみました
第1回となるこのサークル活動に参加したメンバーは関西中心だったため、みんな赤白の存在は当然知っていました。実際に食べたことのある人もチラホラ。
赤白の人気の理由を探るにあたって、今回は私たちGOBがよく使っている「3層価値」のフレームワークを活用しました。
まずは、3層価値について、簡単に説明します。
私たちは、商品サービスの価値が3層に分けられると定義しています。「入口価値」「熱狂価値」「本質価値」の3つです。
これら3層の価値は、いずれもプロダクトにとって必要な要素です。入口価値や熱狂価値だけではリピートされませんし、逆に本質価値だけでは一見して価値がわかりにくく手に取ってもらうことができません。
今回は、この3層価値のフレームに沿って、サークルメンバー3人1組になって、赤白のフレンチおでんを食べながら、その価値を分析しました(※なお今回は都合によりテイクアウトとなったため、お店の雰囲気などは実際に店舗に行ったことがあるメンバーのコメントやWebサイトなどからの情報に基づいています)。
“張り切り度70%くらい”を示せるちょうどいいお店
まずは、見た目にわかるわかりやすい「入口価値」として出た意見をまとめたものが以下のとおりです。
入口価値
お店の内装や客層がお店の外からでも見えるので、お店に入りやすい
カウンター席が中心で、照明も明るいため、ちょうどいいおしゃれ具合が演出されている
商業施設内にあるため、買い物ついでに気軽にお店に寄りやすい
行列ができていることがおいしさを保証しているように感じる
メイン料理の「大根 ポルチーニ茸のクリームソース」(242円)が、気取っておらずリーズナブルなので、価格帯も全体的に抑えられるだろうとイメージが持ちやすい
確かにどれもわかりやすく、お店に入ったり料理を食べたりする前から理解できる価値ですね。
次に、「お金を払ってでも得たい」熱狂価値としては次のような意見が出ました。
熱狂価値
フレンチというと高級料理のイメージだが、「赤白」はその要素を取り入れながらもリーズナブルな価格設定になっている
カウンター席中心で、客同士の距離が比較的近く、店員が常に見えて適度に動いているため話しやすい
入口価値と熱狂価値は「お金を払うレベルの価値か」という視点で分けられます。
区別に迷うポイントではありますが、今回は「赤白を知っていたけど行かなかった人」「赤白に行った人」の両方がいたため、その差異を捉えながら分析していきました。
最後に、一見すると目には見えないものの、体験することでわかるリピート要因になるような本質価値が以下のとおりです。
本質価値
好意のある相手を連れて行くと「ちょっといいお店を知っている人」だと認識してもらえるお店であり、交際前に行くお店としても適している
例えば、自分が好意を持っている人がいて、交際前のデートシーンを想定してみてください。当然おしゃれで美味しいお店はうれしいですが、交際前ということもあり、高級レストランの雰囲気では緊張しますし、会話も弾みにくいかもしれません。価格帯も高すぎると相手から重いと受け止められる可能性もあります。とはいえ、“ちょうどいい価格帯のおしゃれな人気店”は調べるのも一苦労です。
そんな時、赤白は条件を満たしたお店になれるのではないでしょうか。店舗が少ないこともあって行列の絶えない人気店という認知を獲得しています。、「フレンチ」という要素を持っているため、デートのお店として恥ずかしくありません。一方で、商業施設に入っているためあまり気張ることなく入りやすいのも特徴的です。ウィンドウショッピングを楽しんだ後にお店に向かうときも、移動の手間がかからないため楽ちんです。
自分の100%の張り切り度を見せるのはちょっと違うけど、70%くらいは見せたい......という時に最適な“失敗しないお店”なのです。
カウンター席が中心なので、お互いの顔を見る恥ずかしさも軽減されますし、座席同士の距離も近いので、心理的な距離も縮めやすい空間設計になっています。カウンター席であることや、あくまで「おでん」料理だと考えると、長時間いるお店ではないこともわかるため、例えば初対面で相性が合わなかった場合でもすぐに解散できるのも、お互いにとって安心材料になりそうです。
もちろんこれらの分析に正解はありません。しかし1つのサービスの価値を複数の階層で分けて捉えることで、人気の本質的な理由を探ることができます。
今回はサークル活動の初回で十分な時間は取れなかったこと、テイクアウトでの体験だったこともあり、分析の余地はまだまだ残っていますが、次回以降のサークル活動では現地で実際に体験しながら商品やサービスの人気の理由を探っていきたいと思います。
次回は「ボードゲームカフェ」編——メンバーも募集中です
次回のサークル活動では、8月30日に関西某所にあるボードゲームカフェに行ってきます。なにやら最近、ボードゲームが流行っているということなのでその本質価値を探求してきます!
サークルメンバーは随時募集中なので、興味がある人は中根まで気軽に友達申請とメッセージをください。もちろん次回の参加は厳しいという人でも、お気軽にどうぞ。