昆虫が廃棄物問題を解決する糸口に——秋田の双子起業家が挑む:TOMUSHI・石田陽佑、石田健佑
「大好きなカブトムシの活躍でサステナブルな社会を」
秋田で株式会社TOMUSHIを創業した石田陽佑(ようすけ)さん、石田健佑(けんすけ)さんは、幼少期から大の昆虫好き。そんな二人は現在、カブトムシをはじめとした昆虫を、廃棄物の処理などに活用しています。
お二人に、現在の取り組みの背景や事業の先に描いている世界観を、メールインタビューで聞きました。
TOMUSHIは「昆虫の力でゴミを資源化し、世界の資源不足を解消する」をビジョンに掲げています。
有機廃棄物処理から資源化までの過程でカブトムシなどの昆虫を上手く活用することで、廃棄問題と資源不足問題を同時に解決し、サステナブルな社会に一歩近づくことができるといいます。
今回は、石田ご兄弟に株式会社TOMUSHIが昆虫と一緒にどのように世界を変えていくのかについて尋ねました。
——まずは現在の事業内容を教えてください
私たちTOMUSHIでは、食品廃棄物などをカブトムシをはじめとする昆虫のエサに加工することで、燃やすことなくCO2を出さない方法で処理しています。
またそのエサで育てた昆虫をペットとして販売したり、個体から昆虫由来のタンパク質を取り出して畜産資料の代替品として販売したり、幼虫などのフンは肥料堆肥として活用したりと、昆虫を中心としたさまざまな事業に取り組んでいます。
そのためにも、創業以来、研究開発や実験を続けてきました。廃棄物をエサにするための加工技術や、廃棄物を食べることに特化した品種改良、量産システムなども大学や企業との共同研究から生まれてきました。
——TOMUSHI創業のきっかけを教えてください
幼少期からカブトムシが大好きだったんです。小学生の頃には「ムシキング」にハマってゲームセンターに通っていました。大人になってからもカブトムシへの熱は変わらず、よくカブトムシを採りに行ったりしていました。
その後は東京に出て、Webマーケティング事業で初めて起業しましたが、それがうまくいかず地元の秋田県大館市に帰郷することになりました。「次は本当に好きなことを仕事にしよう」と決意して立ち上げたのがTOMUSHIです。
当初はカブトムシの生産や販売が中心でしたが、大好きな昆虫が活躍することでサステナブルな社会を実現できたらと考えるようになり、今の事業に至っています。
——TOMUSHIの事業を通じて、これからの社会はどのように変わっていくでしょうか?
現在、有機廃棄物のほとんどは、堆肥化・焼却・埋立・放置といった方法で処理しています。しかし堆肥化や焼却のためには設備投資も必要です。環境が整えにくい発展途上国を中心に、堆積した廃棄物の影響で、疫病や倒壊、悪臭が発生するといった被害も出ており、現在の処理方法にはたくさんの課題があります。
TOMUSHIの取り組みが広がれば、昆虫を活用したまったく新しい方法で、これらの問題の解決にも一役買えるはずです。
——これからどんなことを実現していきたいですか?
世界の廃棄物の窓口になりたいです。
世界初の「生物だけで廃棄物を処理するゴミ処理場」を作るために、許認可など必要なステップを一つずつ踏んで、「廃棄物に困ったらTOMUSHIに相談しよう」という文化を築いていきたいです。
お二人も協力する「LOCAL START-UP・GATE」は「世界観ファーストでビジネスをつくっていく」起業家向けのプログラムです(9月23日開始、秋田・鹿児島・石垣島の3地域で開催)。
TOMUSHIのような、世界観ファーストの起業家との対話や各種プログラムを通じて、4ヶ月間で事業をつくり上げていきます。
プログラムについて詳しくは以下のインタビュー記事をご覧ください>
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