見出し画像

五月山動物園がウォンバットの動画/写真をNFTで販売するメリットや展望

大阪府池田市が運営する「五月山動物園」が、動物園の中で働く飼育員さんによって撮影された貴重な動画や写真を、NFTとして販売する試みがされています。自治体でNFTを使ってコンテンツを販売するのって、めっちゃ珍しいです。

私自身、2年前からウォンバットにハマっており、ちょくちょく五月山動物園に足を運ばさせて頂いております。なんといっても、可愛くて癒やされます。4頭が飼育されているのですが、どの個体も特徴があって可愛いです。

五月山動物園について


五月山動物園は、日本で2番目に小さい動物園で、大阪府の北の方にある人口10万人ぐらいの都市の池田市にあります。この動物園の特徴は、日本では6匹しか飼育されていないオーストラリア原産の珍獣「ウォンバット」を4匹飼育しております。ウォンバットは、かつては日本各地の動物園で飼育されていたようですが、現在は長野県の茶臼山動物園を含めて2箇所しかいません。なので、かなりレアな動物です。

そして、五月山動物園には「ワイン」という名前の世界最高齢のウォンバットが飼育されており、昨年2022年2月にギネス記録を達成し、現時点でも存命中。年齢は34歳で、人間で例えると100歳を超える長寿です。

本日(2023年2月11日)に、ワインの最高齢更新を記念して、現地でもイベントが開催されているのですが、その一環でウォンバットのNFT(Non-Fungible Token:非代替性トークン)が、LINE NFT で販売されることになりました。

ただ、NFTって、昨年ぐらいから言葉としては出てきたものの大半の人が「よく分からん」といった感想で、まだまだ馴染みのないものだと思います。

NFT とは・・・

Non-Fungible Token の略称で、日本語に直訳すると「非代替性トークン」という表記になります。これだと、余計にわからんと思うので、LINE さんがわかりやすい動画を作ってますので、ここを参照してください。

NFTが解決したい問題はざっくりいうと以下の3つです。

  • このコンテンツが本物なのかを証明

  • このコンテンツの著作者の証明(起源はどこ?)

  • このコンテンツの所有者の証明(現在の所有者は誰?昔は誰?)

絵画を例にとるとわかりやすいのですが、絵画を買うときにこれが「本物」なのかどうかというのは物凄く重要な要素です。

本物であれば、そこに価値が付き高い値で取引されます。例えば、ピカソやヴァン・ゴッホなどの著名な絵画には高い値が取引され、もちろん本物であればなおさらです。ただ、見た目では本物なのかレプリカなのかはわからないと思うので、そこで鑑定士とかが鑑定して本物かどうかをお墨付き、そして証明書を発行して証明する感じになります。

ただ、デジカメやスマートフォンで撮影された動画/写真は、デジタルデータなので簡単にコピペ出来てしまい、しかも瓜二つです(物理的な絵画ですと、どうやって似せても100%再現は事実上不可能)。ただ、消費者からすると「本物」が欲しいわけですので、それをどうやって証明するかをといったことを仕組み化したのが「NFT」です。

NFT自体は、ビットコインなどの暗号資産で使われるブロックチェーン技術を使われており、このブロックチェーンネットワーク上に存在する分散型台帳に「このコンテンツの著作者(創作者)」「現在の所有者」が記録されております。そして、この分散型台帳は世界中のコンピュータで分散管理されており、この台帳を改ざんさせるのは現在の技術ではかなり難しいです。

改ざんが難しい台帳に「著作者」「所有者」が記録することによって、本当の著作者と所有者を証明することになります。

ウォンバットのNFTを販売するメリット

一番は、動物園の運営資金を調達でしょう。五月山動物園は、実は入場料無料なので、運営資金の大半は池田市民の税金。あとは、物販やたまにクラファンなどを通して資金調達していますが、NFTも新たな調達方法の一つです。

NFT のいいところは、所有者は2次販売ができるところです。いわゆる転売ですが、NFT の場合転売した場合でも、著作者(動物園)側にキックバックができます。比率は、一般的なNFTの場合は著作者側で自由に設定できます。例えば、10%と設定した場合、元値が3.4万円のウォンバットの写真集が、人気になって5万円で販売出来た場合、5000円が著作者の動物園側にも還元されます。

これは、今までの物理的な絵画ですと、最初10万円で取引されていた絵画が、大人気になって1億円で取引されるようになっても、著作者の人には一切キックバックが入らなかったのですが、NFTの場合ですと転売されても、キックバックされる仕組みになっています。

つまり、ウォンバットのNFTコンテンツの売買/転売が活発になればなるほど、動物園側の資金も潤沢になり、動物園のリニューアルであったり、新しいウォンバットの受け入れの資金にもなります。

消費者側のメリット

やっぱりデジタルコンテンツであっても「本物」が購入出来る点ですね。また、売買を通して動物園を応援するといったことにも繋がります。

今回販売されているコンテンツは、動物園の飼育員でないと撮影できないアングル、シチュエーションの動画や写真なので、ウォンバットのファン(ウォンバッター)なら、かなり欲しい内容ではないでしょうか?特に、動物園の柵の外側では感じ取れないウォンバットの鳴き声、餌を食べる咀嚼音、爪と地面が擦れる音など、いわゆる ASMR 的なコンテンツが入手できます。

これらの貴重なコンテンツを所有できる一種のコレクター的なことが、スマホだけで出来てしまうというのがいいところでしょうか?また、副次的なメリットとしては、転売を通して小遣い稼ぎができる可能性もあります(コンテンツが人気で取引価格が上昇すればの話です)。

今後の展望


ウォンバット「ワイン」の世界最高齢記録(更新)の記念式典

この記事を書いた時点では、まだ販売開始して24時間も経過はしていはないのですが、意外にも販売が伸びていないです(個人的には、34,000円のスナップ写真は一気に売りれるのかなと思った)。

これは、多分 NFT と馴染みのないコンテンツなので、大半の人がほしいけど「NFTってよくわからない」とか、そもそも「購入方法がよくわからない」といった感じではないでしょうか? なので、あまり販売が伸びてないのかなと思います。この辺は、運営者の動物園や池田市がもう少し、NFTとはという説明があっても良かったかなとは思っています。

あとは、動物園サイドは、ちょくちょくウォンバットの動画や写真コンテツを増やしてほしいなとは感じています。やっぱり、ウォンバットのファンからすると、動物園の中の人でないと撮影出来ないアングルの情報ってめっちゃ欲しがっているので、引き続きお願いしたいです!

また、販売を伸ばすには、NFTにプレミアムをつけても良かったかなと思います。例えば、「34,000円のNFTを持っているひとは、式典で、一番前で椅子に座って見れます」とか「一緒にくす玉割れます」といった、NFTを所持することで付加価値が得られる体験があっても良かったかなと思います。



いいなと思ったら応援しよう!