【台湾】THE BEAST TRAIL 25kmを走ってきた
先週土曜日(2019年5月11日)に、台湾の台北近郊(新北市)で開催されたトレイルレース「THE BEAST TRAIL」に参加してきた。THE BEAST TRAILは、本サイトでも何度か話題に上がった台湾のトレイルレース。翻訳すると「獣道」と訳せる。本レースは、以前から気になっていて、RUN + TRAIL vol.37のアジアトレイル特集の私の記事に「ぜひ行ってみたいレース」として掲載したレースでもある。5月本業で休みが取れやすくなったんで、急遽大連100に行く前にTHE BEAST TRAIL 25km Adventureの部門にエントリー!
大連100kmのあとなので、短い25km走って、その後はゆっくり観光だという気持ちでエントリーしたのだが、世の中そんなに甘くなかったwww
www.beasttrail.taiwanbeastrunners.com
THE BEAST TRAILについて
コースは、50km、25km、12km、4kmの4種類。以前は100kmや80kmのカテゴリもあったが、コースロストが多発しまくり、なくなったそうだ。積標高は50kmで4100m、25kmで1820m。一見すると、日本のトレイルレースでも見かける距離と累積標高の組み合わせだが、この数字だけでは測れない難易度がこのレースには存在する。
THE BEAST TRAILに限らず、台湾のトレイルレースは、日本や香港よりもコース難易度が高い。登りは岩登り、沢登り、川横断があり、下りはテクニカル、そして日本ほどトレイルは整備されていないので、木々や草ボーボー。そして、日本よりも高温多湿な気候もあって、更に難易度が高くなる。ということもあって、日本のトレイルレースの50kmや25kmの気分で参加するとかなり痛い目に合う。距離の2倍は時間を要するという覚悟で望まないと泣くレースだ(笑
スタート地点は、「長城渓森林」というキャンプ場。台北駅から大会シャトルバス(有料、要予約)で1時間程度。25kmの人は朝5:00より出発。台北近郊に住んでいる人は、自家用車で来ている方が多かった。地理的に台北市より南に位置し、その深い森林、山のなかで開催される。東に行くと、烏來という有名な温泉街があり、南東に進むと今年3月に参加したトレイルレース「棲蘭100林道越野」のコースあたりになります。
実際走ってみて
前評判どおり、かなりキツイコース。25kmで、FINISHするのに7時間以上かかった。なぜそんなに時間を要したのか。
登りは、ロッククライミングのような、壁のようなトレイル、岩を登る
下りは、テクニカルな上に、トレイルが泥濘んでいて滑りまくり
日本よりも高温多湿
これに尽きる。「なんでこんなキツイレースにエントリーしたんだろう。。。。12kmにすりゃー良かったわ」と後悔しながら走っていたwww
登りは上の写真の様な感じ。これはごく一部だが、こういったロープがないと登れないようなところが、多数あり。特にスタート地点から8km~10km(CP.A)まではこういったセクションが集中する。表現すると、大阪城の石垣の勾配をそのまま登っているイメージだ。
登りは、僕は得意なのでなんとでもなったんだが、下りがすごい泥濘んでいて、全然スピードが出せない。大会前週から台北近郊はずっと雨が降っていたようで、その影響でトレイルがどろどろに。。。そして、めちゃくちゃ滑る。そして、何度もコケる。25kmの後半は下り基調になるんだが、それでも1km進むのに20分程度かかる。おかげで、愛用のVibram Fivefingers V-Trailが、ゴール後、もうこんなに泥まみれに・・・(笑
今回、動画撮影用に新調したDJI Osmo Pocketを持って走ったが、レース後半は、撮影するほど余裕がなくなるほど、コースがテクニカルで、しかもめちゃくちゃ滑るので、撮影しながらの走行は危険と感じた。そのため、後半はザックの奥にしまって、走りに集中することにした。
あとは、気温と湿度。特に湿度が高く、汗が滝のように流れる。この気候が大きく影響して、思う以上にペースが上がらない。チェックポイント(エイドステーション)に到着すると、20分ぐらい休まないと再スタートが切れないぐらい。あと、軽い頭痛もあって、明らかに熱中症気味な症状で走っていた。不幸中の幸い足は、まったく攣らなかった。塩熱サプリだけでなく、2RUNも積極的に摂取して、なんとか乗り切った。水分は、レギュレーションで2リットル以上が必須となっているが、各エイド間で水は1リットル以上は消費。なお、現地台湾人の話では、この日は「涼しい」とのことだった(笑)
エイドステーション
なお、皆さんが気になるエイドステーションで提供される食べ物。
さすが、台湾なだけあって、フルーツがとても充実している。メロンやスイカ、オレンジは、このような暑さにはぴったり。チーズや、ピーナッツバターサンド、クラッカーなどがあったが、この暑さでは、食べるきしなかったので、全く手を付けず。。。日本から持ってきた粉飴ジェルと、エイドで提供されるコーラがエネルギー源。ドリンクは、水、スポーツウォーター、コーラが提供されます。
なお、トイレは全くありませんので、注意。
ゴール後の話
ゴール後は、ドロドロになった足やウェア、シューズ、そして汗を流すために、川に移動。みんなここで体を洗ったり、ギアの泥を落としていました。みんな滑りまくったんですね。その後、ビール(1杯目は無料)を飲んだり、無料で提供される台湾料理やBBQを楽しむ。台湾のレースは、レース中だけでなく、レース後も楽しい。まるでパーティーのようなかんじ。ある種の苦行から開放された感が、あたり一面漂っている。
あと50kmの表彰式に出るということで、5位に入賞した松山優太さんに撮影をお願いされたんで、撮影しまくる。50kmのトップでも9時間42分51秒なので、このレースの難易度がわかる。王者の印として、台湾原住民の「ナイフ」が送られます。モノは本物の刃物なので、帰国時に機内に持ち込めないですね(受託手荷物として預けるしかない・・・)
THE BEAST TRAIL 25kmを走り終えて
25kmのショートレースとはいえ、7時間も要した超タフレース。50kmぐらいのレースを走り終えたぐらいの疲労度。25kmでここまでの疲労度ということは、50kmはもっとやばいんだろうな。。。TOP5に入った日本人ランナーですら、ゴール後、足がガクガクで、ダメージが半端ない状態であった。まず、THE BEAST TRAILは、日本国内ではまず味わえないトレイルレース、いやアドベンチャーレースのランニング版と表現してもいいだろう。
ただ、このレース、リピータは台湾国内外問わず、多いみたいだ(TOP5の松山優太氏は過去に優勝経験もあるヘビーユーザーwww)。確かにめちゃくちゃキツイコースだけど、その分、完走後の達成感は半端ない。ただ、好き嫌い分かれるレースなので、一度出て「もう2度と出ない」と思う方もいるだろうし、「また出たい」と感じる方もいるだろう。僕はどちらかというと後者のほうだwww 来年は50kmにチャレンジしたいな。
もうねTHE BEAST TRAILは、「ゴールタイム」や「いい動画、写真を撮る」などの人間の作り出した概念などはどうでも良くなり、己の限界に挑戦するためのレースといっても過言ではないだろう。まさに、自己に眠る「ビースト=野生」に呼び覚まし、山で思う存分遊び倒すレースなんだろうと感じた。
来年は2020年もきっとTHE BEAST TRAILは開催されるであろう。僕としては、もっと日本人トレイルランナーにこのTHE BEAST TRAILに参加してほしいと思う。今年は、50kmが6名、25kmが6名、12kmが4名の合計16名の日本人ランナーが参加。個人的には50人以上のランナーが、THE BEAST TRAILに参加してほしいな。この時期、UTMFやASO ROUND TRAILといったメジャーレースが開催されるが、1度でも完走した人なら、ぜひとも台湾の地に訪れてほしい。あなたのトレイルランニングライフに新しいスパイスを、いや新しい臭豆腐を!
ではでは、来年台湾の地でお会いできることを楽しみにしている。
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