【最低賃金の上昇】会社が行うべき対応 5選!
○最低賃金とは
最低賃金とは、法律で定められた、働く人がもらえる最低限の時給です。これは、会社が従業員に支払わなければならない賃金の下限で、国や地域によって異なります。最低賃金は、働く人の生活を守るために決められており、会社はこの金額を下回る給与を支払ってはいけません。
仮に従業員との労働契約書を最低賃金額よりも低い金額で締結していたとしても、その部分は無効となり最低賃金額で労働契約を締結したものとみなされます。
会社が従業員に対して、故意または過失(最低賃金の改定を知らなかった等)により、最低賃金額に満たない金額の賃金しか支払っていなかった場合、従業員はその差額を請求する権利があります。
では、最低賃金が上がったら具体的に会社は何をするべきでしょうか?
ここでは5つ、最低賃金の上昇に合わせて会社がとるべき対応をわかりやすくご紹介します。
1.すべての従業員が最低賃金をクリアしているかの確認
まず最初に、全ての従業員が新しい最低賃金以上の給与をもらっているか確認しましょう。
時給制のパートタイマーやアルバイト、日給制や月給制の正社員など、給与の計算方法や雇用形態によらず、全員の確認が必要です。
もし給与が最低賃金を下回っている場合、契約内容を見直して給与の修正をしなければなりません。
最低賃金をクリアしているかの計算方法について詳しくはこちら
2.労働契約書の確認と更新
給与を変更した場合、必ずしも労働契約書を作り直す必要はありませんが、変更内容を従業員に明確に伝え、書面での通知は必ずしなければなりません。
新しい契約書を作成する:
給与など大きな条件変更がある場合、新しい契約書を作成し、従業員にサインをもらうのが一般的です。
変更通知書を発行する:
契約書を作り直さず、給与変更に関する「通知書」を発行するという対応も可能です。この場合でも、従業員に変更点をしっかり説明し、書面で通知する必要があります。
どちらの方法でも、従業員が内容を理解し、合意することが重要です。
2. 就業規則の見直しと届け出
企業のルールブックである「就業規則」にも、最低賃金の変更を反映させなければならない場合があります。特に、賃金や労働時間に関する項目が最低賃金の上昇に対応しているかどうかを確認しましょう。
就業規則を確認し、賃金の記載が最新の内容になっているかチェックします。更新したら従業員に新しい規則をきちんと説明して周知させましょう
規則を変更した場合、常時10人以上の労働者を雇用している会社は労働基準監督署に届け出が必要です。この「労働者」には、正社員だけでなく、パートタイムやアルバイトも含まれます。
3. 給与計算システムの更新
最低賃金の上昇に伴い給与を変更すると、当然ながら毎月の給与の計算も変わります。給与計算システムを導入している場合やエクセルで計算を行っている場合、忘れずに設定や計算式の変更を行いましょう。また、時給、月給だけでなく、固定残業代など基本給に付随する手当等も見直した方がよいでしょう。
4. 社会保険 標準報酬月額の改定
社会保険に加入している従業員の給与が変わると、社会保険の標準報酬月額の改定手続き(随時改定)が必要になる場合があります。
随時改定は、給与が大幅に変わった従業員について、社会保険料を再計算する手続きです。
まず、給与の変動があった月から3か月間の給与を確認し、標準報酬月額に2等級以上差があれば、その3か月の平均額を基に新しい標準報酬月額を決定します。これを基に、社会保険料が変更されます。改定後の保険料は、4か月目から適用されます。
社会保険料は会社と従業員で折半するので、従業員の標準報酬に改定があり社会保険料が上がれば、会社負担分も同様に増えることになります。
まとめ
最低賃金の改定は、会社にとっては手続きが増えることもありますが、従業員の生活の改善を目的に行われます。会社は法律に従ってしっかり対応し、従業員にわかりやすく説明することが大切です。