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産後休業・育児休業からの復職後にやるべき手続きについて

産前産後休業中、育児休業中ともに、会社はやるべき手続きがたくさんあります。さらに、社員が復職、復帰してからも手続きが必要な場合があります。今回は、社員が復職後に会社がやるべき手続きについて紹介します。社会保険に加入している社員が対象の手続きなので、雇用保険にのみ加入している社員はいずれも申請不要です。


産前産後休業・育児休業の取得期間について

まずは各休業の取得可能期間についてご紹介します。

産前休業は出産予定日の6週間前(双子以上の場合は14週間前)から出産当日まで取得が可能です。
産後休業は出産日の翌日から8週間で、この期間中は原則として働くことができません。ただし、産後6週間を経過後に、本人が希望し、医師が支障がないと認めた業務については働くことができます。

男性の場合は出生時育児休業制度(産後パパ育休)といい、子どもの出生後8週間以内に、4週間まで取得ができます。
産後パパ育休について、詳しくはこちらの記事をご覧ください。


育児休業は産後休業終了後、子どもが1歳に達する日まで取得ができます。夫婦ともに2回まで分割しての取得が可能です。
保育所に入所できなかったなどの要件を満たす場合、1歳6箇月、2歳までと延長することができます。延長後は夫婦で交代して休業を取得することもできます。

産前産後休業の取得イメージ

※参照:厚生労働省HP 育児・介護休業法 改正ポイントのご案内
https://www.mhlw.go.jp/content/11911000/000977789.pdf


それでは、次より社員が復職したらやるべき手続きの紹介です。


予定よりも早く復職したときの手続き


健康保険・厚生年金保険 産後休業変更(終了)届

産後休業変更(終了)届は、産後休業から予定より早く復職したときの手続きで、これによって産前産後休業期間中の社会保険料の免除が終了します。出産前に産前産後休業取得者申出書を提出していて、出産予定日より前や後に出産し、産後休業の終了日が変わった場合や、医師の証明を経て元の予定日よりも早く復職する場合はこの届出が必要です。

提出先
日本年金機構の管轄の事務センター、または管轄の年金事務所


健康保険・厚生年金保険 育児休業等取得者申出書/終了届


産後休業変更(終了)届と同様に、育児休業から予定より早く復職する場合等、育児休業終了予定日前に育児休業を終了した場合に申請する手続きです。育児休業期間中の社会保険料の免除が終了します。

提出先
日本年金機構の管轄の事務センター、または管轄の年金事務所





復職後に勤務時間や給与が下がったときの手続き


健康保険・厚生年金保険 産前産後休業終了時報酬月額変更届

産後休業からの復職後に残業が減った、勤務時間が減ったことなどにより、産前産後休業前よりも給与の額が減った場合に、随時改定(月額変更)よりも緩やかな要件で標準報酬月額の改定を行うことができます。必ずしなければならない手続きではなく、社員本人の意向により申請します。

要件

  • 休業期間前の標準報酬月額と、改定後の標準報酬月額との間に1等級以上の差が生じること。

  • 算定期間のうち、支払基礎日数が17日(特定適用事業所に勤務する短時間労働者は11日)以上ある月が、少なくとも1箇月あること。

  • パートタイマー・アルバイトなどの短時間労働者で3箇月とも支払基礎日数が17日未満の場合は、そのうち15日以上17日未満の月の報酬月額の平均によって算定します。

算定期間
産前産後休業終了日の翌日が属する月以後、3箇月間に受けた報酬の平均額に基づき算定を行い、4箇月目から改定します。

例として、以下のように算定します。

【月末締め 翌月20日支給の会社の場合】

  • 産後休業が1月15日までだった場合

1月・2月・3月支給の3箇月間の間で実際に支払った報酬の平均額に基づき算定を行います。
4月20日支給の給与より、改定後の標準報酬月額となります。


  • 産後休業が1月31日までだった場合

2月・3月・4月支給の3箇月間の実際に支払った報酬の平均額に基づき算定を行います。
5月20日支給の給与より、改定後の標準報酬月額となります。


【15日締め 当月末日支給の会社の場合】

  • 産後休業が1月10日までだった場合

1月・2月・3月支給の3箇月間の実際に支払った報酬の平均額に基づき算定を行います。
4月30日支給の給与より、改定後の標準報酬月額となります。


  • 産後休業が1月16日までだった場合

1月・2月・3月支給の3箇月間の実際に支払った報酬の平均額に基づき算定を行います。
4月30日支給の給与より、改定後の標準報酬月額となります。


随時改定のように支払日ではなく、あくまで産前産後休業終了日の翌日が属する月から3箇月間で算定します。

提出先
日本年金機構の管轄の事務センター、または管轄の年金事務所


健康保険・厚生年金保険 育児休業等終了時報酬月額変更届


産前産後休業終了時報酬月額変更届と同様に、育児休業からの復職時に残業や勤務時間が減ったことなどにより給与の額が下がった場合に、従業員の申し出により標準報酬月額の改定を申請する手続きです。


要件

  • 休業期間前の標準報酬月額と、改定後の標準報酬月額との間に1等級以上の差が生じること。

  • 算定期間のうち、支払基礎日数が17日(特定適用事業所に勤務する短時間労働者は11日)以上ある月が、少なくとも1箇月あること。

  • パートタイマー・アルバイトなどの短時間労働者で3箇月とも支払基礎日数が17日未満の場合は、そのうち15日以上17日未満の月の報酬月額の平均によって算定します。

算定期間
育児休業終了日の翌日が属する月以後、3箇月間に受けた報酬の平均額に基づき算定を行い、4箇月目から改定します。

社会保険の育児休業終了日は、育児休業給付金を申請する雇用保険の終了日とは異なるので注意が必要です。

社会保険の育児休業終了日:1歳に達する日(誕生日の前日)
雇用保険の育児休業終了日:1歳に達する日の前日(誕生日の前々日)

例として、子どもが1歳になるまで育児休業を取得した場合、以下のように算定します。
【月末締め 翌月20日支給の会社の場合】

  • 子どもの誕生日が1月31日

社会保険における育児休業終了日は1月30日です。
翌日である1月31日の属する月以後の3箇月間で算定を行うので、1月・2月・3月の報酬の平均額に基づき算定を行います。
4月20日支給の給与より、改定後の標準報酬月額となります。


  • 子どもの誕生日が2月1日

社会保険における育児休業終了日は1月31日です。
翌日である2月1日の属する月以後の3箇月間で算定を行うので、2月・3月・4月の3箇月間の報酬の平均額に基づき算定を行います。
5月20日支給の給与より、改定後の標準報酬月額となります。

提出先
日本年金機構の管轄の事務センター、または管轄の年金事務所



随時改定との違い


産後休業終了時月額変更、育児休業等終了時報酬月額変更は随時改定と比べて緩やかな条件で標準報酬月額の改定を行うことができます。

随時改定と違い、産後休業・育児休業等終了時報酬月額変更は従業員の任意です。
標準報酬月額が下がると給与より徴収される毎月の社会保険料が下がり、手取りが増えますが、その分将来もらえる年金の額も下がります。
しかし、子どもが3歳までの間に勤務時間の減少などにより標準報酬月額が下がった場合、改定前の標準報酬月額に基づく年金額を受け取ることができる措置があります。
この先の項目の「厚生年金保険 養育期間標準報酬月額特例」がその手続きになります。
ただし、出産手当金や傷病手当金の額は改定後の標準報酬月額に基づいて下がってしまうので、産前産後休業・育児休業から復職した際の月額変更はあくまで社員本人の意向によって手続きをします。


月額変更により標準報酬月額が下がったときの手続き


厚生年金保険 養育期間標準報酬月額特例(養育特例)

子どもが3歳までの間に勤務時間の減少などにより標準報酬月額が下がった場合、休業に入る前の標準報酬月額に基づく年金額を受け取ることができる措置です。養育期間中の報酬の低下が将来の年金額に影響しないよう、より高い従前の標準報酬月額をその期間の標準報酬月額とみなして年金額を計算します。
産前産後休業終了時報酬月額変更、育児休業等終了時報酬月額変更のどちらでも同じ手続きです。

特例対象期間
3歳未満の子の養育開始月から3歳到達日の翌日の月の前月まで

提出先
日本年金機構の管轄の事務センター、または管轄の年金事務所に郵送で提出

必要書類
社員本人と、その子どものマイナンバー
戸籍謄本の原本(2回目以降は不要)


出生時育児休業制度(産後パパ育休)・育児休業の分割取得の間に給与が下がった場合


出生時育児休業制度(産後パパ育休)の後に育児休業を取得する場合や、育児休業を分割して取得し、その間に給与が下がった場合、要件に当てはまっていれば育児休業等終了時報酬月額変更が申請可能です。ただし、養育期間標準報酬月額特例(養育特例)は育児休業中は適応されないので、全ての育児休業が終了した後に申請します。

既に養育期間標準報酬月額特例(養育特例)を申請しており、1歳(1歳半)以降に保育園に入所できなかった場合などで再度育児休業を取得した場合は、育児休業中の養育期間標準報酬月額特例(養育特例)は取消され、復職後に再度申請する必要があります。


まとめ

は期間も長く、たくさんの手続きがありますが、社員が復職した後も漏れのないように手続きしなければなりません。特に産後休業終了時、育児休業等終了時の月額変更は通常の随時改定とは算定方法が違うので、出産日やそれに基づいた休業期間など、各日付をよく確認して手続きをしましょう。


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