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起業したら必要な社会保険の手続き~社会保険とは?その①~

起業した人、これから起業する人、新しい事業を軌道に乗せるためにやることはたくさんありますよね。事業の内容以外でも、忘れてはならないことの一つに社会保険の手続きがあります。

これから、起業をしたら知っておかなければならない社会保険関係の手続きについて、シリーズでご紹介していきます。社長さんに限らず、総務、人事などの部署で働く方にも関わる、会社の一般的な手続きも多いのでぜひ参考にしてください。


今回は、「そもそも社会保険とは?」というテーマです。
労働保険・社会保険制度の基礎知識と、1年間のスケジュールをわかりやすく解説します。




社会保険の年間スケジュール


一般的な会社の社会保険関係や、税金、給与に関係する1年間のスケジュールはこのようになります。

このように、年間を通して社会保険、労働保険、税務関係の手続きはあります。
労働保険の年度更新や年末調整など、全従業員の1年分のデータを遡る手続きも多く、前もっての準備も重要です。


社会保険の全体像


社会保険とは、社会保障の総称です。大きく分けて社会保険、労働保険があります。その中でもさらに細かく保障が分かれていて、様々なリスクに備えるための公的保険制度です。





労働保険


労働保険の中には労災保険雇用保険があります。



労災保険


労災保険は、業務中や通勤途中の怪我や病気に対する保険です。

労災保険の加入条件


労災保険は、労働者が一人でもいれば原則加入しなければなりません。
これは個人事業でも同様です。
社員一人一人ではなく会社全体として加入し、会社が従業員一人一人の保険料を負担します。


パート、アルバイトなどの雇用形態や、勤務時間に関わらず全ての従業員が対象です。
原則役員と、同居の親族等は加入ができません。


労災保険料の計算方法


労災保険料は、全従業員の賃金に労災保険料率をかけて算出します。
労災保険料率は業種により異なります。

労災保険料は会社が負担するものなので、従業員からは徴収しません。


労災保険料の納付(支払い)方法


労災保険料と雇用保険料を合わせた労働保険料は、始めに1年度分の概算の労働保険料を先払いして、年度が終わってから実際にかかった保険料との精算をします。
この概算保険料の申告と、前年度の確定保険料の清算は「労働保険の年度更新」という手続きにあたり、毎年6月に行います。

労働保険の1年度は4月~3月です。
起業し人を雇ったことで年度の途中で加入した場合は、その時点から年度末(3月)までの概算保険料を申告、先払いし、6月に年度更新で清算と、また新しい年度の概算の保険料を申告をします。
毎年6月にこれを繰り返します。




雇用保険


雇用保険には、従業員が失業したときや、育児、介護などにより働き続けることが困難になったときの補償と、職業に関する教育訓練を受けたときにもらえる給付金があります。
基本手当(いわゆる“失業保険”や失業手当“)や、育児休業給付金、介護休業給付金などが雇用保険制度にあたります。
また、会社に対しても雇用の維持、拡大のための助成金の制度があります。


雇用保険の加入条件


下記の条件に当てはまる従業員が雇用保険の加入対象です。原則は一事業所でのみの加入なので、条件に当てはまっていても本業先で加入しているような場合は対象外となります。

  1. 一週間に20時間以上働く人

  2. 31日以上の雇用見込みがある人

  3. 事業主、役員、事業主と同居している親族等は対象外


雇用保険料の計算方法


雇用保険料は、雇用保険に加入している従業員の賃金に雇用保険料率をかけて算出します。
従業員負担分と、会社負担分では料率が異なります。
また、一般の事業、建設の事業、農林水産・清酒製造の事業の3つに分けられ、料率が設定されています。

雇用保険料の従業員負担分は、従業員の給与から毎月徴収します。


雇用保険料の納付(支払い)方法


労災保険料と同様に、年に一度、年度更新の手続きで概算保険料の申告と、前年度分の確定保険料の清算を行います。




まとめ

以上、年間スケジュールと労働保険の概要についてご紹介しました。まずは自分の会社がそれぞれの加入対象であるか、従業員に加入対象者がいるかを確認しましょう。次回は社会保険について詳しくご紹介します。

その②はこちら


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