SASUKE2023 1stステージを見て思ったこと(選手視点)
閲覧ありがとうございます。
テレビ番組「SASUKE2023」にゼッケン60番で出場した林野庁職員の後藤祐輔です。
12月27日にSASUKE2023が放送され、動画配信サイトU-NEXTで100人ノーカット完全版も配信されたので、年末年始はひたすら全選手の動きを研究していました。
その中で、1stステージについて気付いたこと、思うことがいくつかあるので記事にしようと思います。
クワッドステップス
SASUKE史上2人目の完全制覇者 長野誠さんがミスをしたのがとても印象的でした。
靴に滑り止めスプレーを付けすぎて、スプレーの粘着力で足が板から離れなかったと言っていました。
レジェンド選手である長野さんに逆らうつもりはありませんが、そもそも競技前に靴に滑り止めスプレーを付ける必要はなかったのではないかと思います。
僕は2018年ごろに、史上4人目の完全制覇者 サスケくんこと森本裕介さんに1stステージスタート前に滑り止めスプレーを付けるかどうか質問したことがあります。答えは靴には何も付けないとのことでした。これを聞いて以来、僕は初出場から一度も靴に滑り止めスプレーを使ったことはありませんし、今回も滑り止めスプレーは使わずに問題なく1stステージをクリアするのことができました。
他の常連選手は滑り止めスプレーを使うのかどうか、聞いてみたいところです。
また、もう1人気になったのが、ファンミーティングから勝ち上がったSASUKE実況高校生 猪股蓮くんのリタイアです。彼とは何度も一緒にトレーニングしたことがあるのですが、高い能力の持ち主でファイナリスト候補の一角だと思っていました。それがまさかのクワッドステップスリタイア。改めてSASUKEの恐ろしさを見せつけられたと共に、メンタルの重要性を突きつけられた場面でした。
ローリングヒル
特に予選会やSASUKE甲子園を見てて思ったことですが、このエリアの攻略法が初心者と常連選手では全然違い、成功率に大きな差が出ているように見えました。
ローリングヒル攻略において、
ローラーを回さないようにすることが重要
ということは全員共通で理解していると思います。しかし、その方法に大きな差が見られます。
僕個人として意識していることは、
出来るだけローラーに負荷をかけないようにすること
です。
ローラーにかかる負荷の大きさは、
加える力の大きさ(体重や蹴る力)×力が加わる時間
いわゆる力積です。(自信満々に言ってるけど、合ってるかは分かりません笑)
そのため、
・クワッドステップスでスピード(前方向への力のベクトル)を付けておく
・ローラーを踏むときは真下方向に踏む(クワッドステップスで付けた前方向へのスピードと合わせて斜め上方向に進む)
・ローラーを踏む時間を極力減らす
ように挑んでいます。
U-NEXT100人ノーカット完全版を見ても、おそらく多くの常連選手は同じ考え方なのではないかと思います。
とにかくローラーの滞在時間を減らすことを一番大事にしています。
僕の場合はよく言う「ローラーの隙間に刺す」ことすら考えていません。スピードを付けてトトトトトンです。
一方、初心者と見られる選手の多くは、
ローラーを回さないように「ゆっくり進むこと」を重視している選手が多いように思います。
それでは、ローラーに滞在する時間が長くなり、全体重がどっしりと1つのローラーに乗ってしまう。この状態では非常にローラーが回りやすくなります。
憧れの夢舞台。最初で落ちたくない、リスクを減らしたい、という気持ちが大きくなるのはもちろん分かりますが、僕はスピードを付けて一気に駆け上がる方法を絶対的に推奨します。
全国各地の練習場でさまざまなパターンを試した常連選手の多くが採用しているやり方なので間違いないと思います。
フィッシュボーン
常連選手やSASUKEマニアの間では常識ですが、フィッシュボーンには「2本ルート」「4本ルート」と呼ばれる2種類の攻略法があります。
簡単に説明すると、
2本ルート
・フィッシュボーン登場初期からある王道ルート。
・スピードを落とし、一歩一歩ポールの動きを見極めながら進むため、エリアの滞在時間が長くなる。避けるポールの数は多い。
・スピードを落として見極めながら進むため、途中で想定外のポールが来ても対応できる可能性が高い。
4本ルート
・逆回転部が追加された回に開拓された新しいルート
・ポールが少ない部分をスピードを付けて一気に駆け抜ける
・避けるポールは少ないが、スピードをつける必要があるので、想定外のポールには対応が難しい。進むリズムを間違えると即リタイアに繋がる
僕は過去3回出場し毎回2本ルートで挑戦していましたが、今回は4本ルートに変更しました。
理由は前回大会の動画を見ていてどう見ても4本ルートの方が簡単そうに見えたから。
SASUKE2022の収録が終わってすぐの段階でSASUKE2023は4本ルートで行くと決め、1年間4本ルートの練習をして本番に挑みました。
結果、2本ルートと比べて4本ルートは劇的に簡単でした。
2本ルートの難易度を10とすると4本ルートの難易度は1か2といったところです。
今回、僕の他にも今まで2本ルートを採用していたのに4本ルートに変更した選手が多くいました。各選手が変更に至った経緯までは確認できていませんでしたが、多くの選手が4本ルートの方が安全と判断して乗り換えたのだと思います。
ツインダイヤ
選択肢が複数あるフィッシュボーンと比べて、飛び移りのタイミングが一択だったので、迷いや不安はかなり少なかったです。
多くの選手が言っていたように、あのダイヤの上に実際に立つと、自分が今どの面に乗っているのか全く分からなくなります。
テレビで見る横からのアングルと、選手が見る正面からのアングル。そのギャップがSASUKEの難しさです。
あと、一つ目のダイヤの選手視点右寄りに黒い滑り止め素材が施されていました。心理的には中央でやりたいのに、滑り止め素材は右寄りにあるというのが変な感覚でした笑
また、ダイヤの表面には薄いクッション素材が入っており、角の部分を強く踏みすぎるとぐにゃりと潰れ足を取られるから気をつけた方がいいと、京大ふんどし男に言われました笑
ドラゴングライダー
手前に難関エリアが入り、精鋭しか挑戦できなくなったせいか、難易度の割に脱落者が少なかった印象です。
今回気になったのは、トランポリンでミスをしたゴールデンボンバーギターの喜矢武さんとALTIOR社長の川口さん。
2人ともトランポリンからバーを掴む跳躍力は十分あるはずなのに、バーへの距離感を間違えていたように見えます。前回の僕と同じ種類のミス。
映像を見る限り、ドラゴングライダー到着からトランポリン踏切までの間でしっかりとバーまでの距離を確認していなかったのではないかと思います。
特に川口さんのようなベテラン選手でも起こりうるミスということで、今後も要注意だと感じました。
↑SASUKE2022 ドラゴングライダーリタイアの詳細
また、前回1stステージクリア者のSASUKE先生こと鈴木さんとキッズパーソナルトレーナーの大嶋さんのリタイアも気になりました。
直接話を聞いたわけではないので、真相は分かりませんがおそらく直前の新エリア、ツインダイヤが影響したのではないかと思います。
僕もそうでしたが、今大会最大の注意ポイントであるツインダイヤをクリアしたところでかなりの安堵感がありました。その安堵感のままなんとなくドラゴングライダーに突入してしまったのではないかと思います。
僕の場合は前回ドラゴングライダーでリタイアしていたので、ツインダイヤをクリアした時点でもう一度意識的に気を引き締めて、5秒ぐらいしっかりと時間をかけて注意点を確認してからドラゴングライダーに挑むことができました。おそらくなんとなく突入していたら鈴木さんや大嶋さんと同じようにミスをしていた可能性は高かったと思います。
あと、前回大会で最注目選手の一角である岩本照さんや菅田琳寧さんが不慮の脱線でリタイアしたことを受けてか、脱線防止機構が改良されていました。
制限時間
今大会、制限時間は110秒。前回は99.9秒だったので約10秒のプラスでした。
収録当日、会場で説明を受けた時点で甘いなと思ったし、実際蓋を開けても甘めの制限時間設定だったように思います。
前回までの2連そり立つ壁の1つ目が撤去され、今回は新たにツインダイヤが追加されたのですが、僕の脳内シミュレーションでは、そり立つ壁とツインダイヤの所要時間は変わらないという判断でした。なので、単純な10秒プラス。
新エリアへの不安より、10秒プラスの安心が勝ったというのが正直なところです。
ゆっくり丁寧に慎重にやっても間に合う、途中でロスしても後半飛ばせば問題ない。そう思って挑むことができました。
実際、今大会、吉本の筋肉モンスター梶原さんが45秒残し、ドイツ代表の象使いレネさんが44秒残しと流石に残されすぎ感もあります。
次回の制限時間は10秒程度短くなると予想しています。
そうなると、タイムアップが増えるだけでなく、道中で焦りによるミスも増えます。
制限時間が10秒減ればクリア者はかなり少なくなるのではないでしょうか。
僕も今回は14秒残しでしたが、制限時間が10秒短くなると4秒しか残りません。理論上は同じペースでいけばクリアできるのですが、フィッシュボーンのタイミングが悪かったり、そり立つ壁でミスしたりすると途端にタイムアップになってしまいます。
次回に向けては90秒で今回のコースをクリアできるように仕上げていこうと思います。
最後に
今回新エリアが登場したにも関わらず21人がクリアした1stステージ。おそらく、制作側が想定していた人数よりも多かったのではないかと思います。SASUKE練習施設「内宮パーク」が1stステージの完全再現にほぼ成功し、多くの常連選手が精度を上げて来た影響もあったでしょう。
また、3rdステージ進出者も15人と多かっただけにクリフディメンションやバーティカルリミット.BURSTの対策に焦点が当たる一年になることが予想できます。
だからこそ次回の1stステージは要警戒だと思っています。上を見始めた選手たちの足元を狙ってくることでしょう。
僕個人としてはかなりの難易度上昇を想定してトレーニングしていこうと思っています。
では、最後まで読んで頂きありがとうございました。