『街角』-南区若草町-
高台にあり芝生が気持ちのいい笠寺公園の近く、その名の通り街角に建つ『街角』は、交差点のシンボルとも言える圧倒的な存在感を放っている。
表のメイン看板は数年前にリニューアルしているが、造りそのものはだいぶ年季が入っているようだ。
いざ入店!
奥さんと常連客の方がおしゃべり中のところお邪魔し、さっそくコーヒーを注文した。コーヒーは一杯300円と財布にもやさしい価格だ。
店内に流れる朝のワイドショーの音声とレトロな空間に浸っていると、「チンッ」という音と共にトースターから飛び出したパンを奥さんがキャッチしていたところだった。
まるで実家の母に朝食を作ってもらっているかのような穏やかな時間の流れに癒される。
熱々のコーヒーと一緒に食パン付きのモーニングが到着。
コーヒーは苦みがあるので少しだけ砂糖を入れていただいた。
「お近くの方?」
と奥さんが優しい表情で話しかけてくれたので古い看板の頃から気になっていたことを告げると、新しい看板は創業時からずっと使っているお店のマッチ箱のイラストなのだと教えくれた。
リニューアルと共に新しく描いたものなのかと思っていたので、予想外に歴史あるイラストであることに驚く。
ちなみに女の子の洋服に書かれている「ヒロ」というのは、『街角』になる前のオーナーが営んでいた店名だそうだ。
「ヒロ」から『街角』を作った先代のオーナーの意思を継ぎ、現在の奥さんがお店を譲り受けてこの空間を守り続けている。
また、常連客のおじいさんが趣味で毎月作ってお店に来るみんなに配っているという手作りカレンダーとキーホルダーもいただいた。居心地の良い空間に集う顔も知らない方たちの日常を垣間見れて温かな気持ちになる。
すると私が来店した時からいらっしゃる常連客の女性が、
「ここのお店はいい空気で溢れてるから、あなたもきっと今日いいことがあるわよ」と笑顔で言ってくださった。
帰るときにも、
「気を付けてね。またいつでも寄ってね」
と、奥さんだけではなくその女性にも声を掛けていただいた。
なんとも心強くありがたい朝を迎えられた気分だ。
常連客達にはかけがえのない日常を、そして私のようにふらりと訪れた者にも束の間の癒しと一日の活力を与えてくれた『街角』は、これからも変わらずこの場所にあってほしいと願う。