製品開発における「満足」のベーシックな考え方 - ハーズバーグの動機づけ/衛生理論(#プロダクトマネジメント #顧客満足)
こんにちは、Gota Masaki(@go-go-pdm)です。
フリーランスで「アプリやDXに関する商品企画・開発(プロダクトマネジメント)支援」の仕事をしています。
今回のテーマは「満足」のベーシックな考え方、です
製品開発(プロダクトマネジメント)において、「顧客満足度を高める」というのは、よくテーマとして取り上げられるものです。
「顧客満足度」という観点では、製品開発だけに関わらず
- 接客業
などでもよくテーマになるのではないでしょうか。
今回は、「満足度」というものをシンプルに因数分解して、どのように「顧客満足度」を高める施策を企画していくのかを、かんたんに説明したいと思います。
「満足」と「不満足」は明確に異なる
ハーズバーグの動機づけ・衛生理論(2要因理論)
本来、このハーズバーグの考え方は「従業員満足」を測るための(社内向けな)考え方なのですが、
製品開発やプロダクトマネジメント、接客業などにも応用できると考えていますし、私もビジネスの製品開発の場面で利用してきました。
かんたんに説明すると
「満足」要因と「不満足」要因というのは、異なる
「不満足」を取り除いても、満足度は上がらない(不満足度が減るだけ!)
「満足」要因がすでにたくさんあったとしても、「不満足」要因がたくさんなら、「顧客満足度」は低いものになる
ということになります。
人間はネガティブに引っ張られる
後ほど引用元を探しておきますが、ヒトというのは
- ネガティブな出来事があると、その数倍ポジティブな出来事がないと、挽回することができない
という心理を持っている研究結果を見たことがあります。
ここから考えると「不満足」というのは、極力取り除いた方が、長期的な顧客満足につながるという考え方ができます。
シリコンバレーでは「不満足」解消よりも「満足」追求!?
一方で、正解の選択をいく製品開発が日夜行われているシリコンバレーにおいては真逆の発想のようです。
「不満足要因なんておいといて、満足要因をガンガン増やそうぜ!」という。
その理由として
- 価値や魅力を顧客にガンガン伝えないと、すぐに使われなくなるよね
というのが背景にあるそうです。
どちらの選択をするか、というのはその会社さんやその担当者の方次第(いろんな状況や背景もある)ということもありますし、
このあたりのバランス感覚やセンスというのがビジネスにおいて重要になることでしょう。
施策を考えるときに、「満足向上」なのか「不満足解消」なのかを意識すること
では、何か施策をする際に、どう意識すると良いでしょうか?
施策を考える
■ 目的
- 施策の目的は何か? → 満足向上なのか、不満足解消なのか
■ 数値的な目標は何か(KPI)
- 満足度向上 → xx%向上
- 不満足解消 → (後述します)
■ 上記を実現できる打ち手は何か?
- 施策案A → こっちの方が費用対効果が高そうだ → 採用
- 施策案B
・・・
■ 今この施策に注力すべきか?
- 会社にはいろいろな目標が存在する
- 今、満足度向上や、不満足の解消に乗り出すべきか?他に優先すべきものがないか?
・・・
ざっと、このような形で考えを辿っていくのではと思います。
不満足解消の度合いを定量に測る?
「不満足の解消」と聞けば、ぜひやろう!と思いがちなのですが、
実際ビジネスの場にそれを移すと実はなかなかの難しさがあります。
というのも、「不満足」というのは解消できたとしても「当たり前」だからです。
「当たり前度」を測る、というのは結構難しいですよね(笑)
なので、
- 定量的な目標を設定しづらい
- 施策として注力すべきポイントになりづらい
ということになりやすいです。
色々な方法がありますがここでは一例を紹介します。
■ 満足度5段階評価での考え方
例えば、5が満足している - 1が不満、というようなアンケートがあるとします。
5と4については「満足」と考えてよさそうです。
3については微妙なラインですね。
1と2については「不満足」と考えてよさそうです。
それを仮に100名にアンケートで答えてもらったとして、平均・中央的に何点になるのかは、一番シンプルな測り方となります。
1や2の評価が多い、という話なら、満足度向上施策の前に、不満足度解消施策を実施する。
そして、「3」を目指す。
3の評価が多いなら、満足度向上施策を実施して「4や5」を目指す、
と言った考え方です。
似たような考え方「狩野モデル」
上記の説明でよく本を読まれる方はピンとくるかもしれませんが、
ハーズバーグの動機づけ・衛生理論を製品開発などに応用するのは
「狩野モデル」という理論と非常によく似た考え方になります。
じゃあ最初からこっちを説明すれば…
といえばおっしゃる通りではあります(笑)
ただ、図として狩野モデルはすっと頭に入ってこないなというのが気になっており、今回は先にハーズバーグを紹介しました。
また、狩野モデルにたどり着く方の多くは
「満足度 測り方 アンケート」
と検索して、その結果としてこれについて知ることが多いように感じます。
つまり、満足度 / 不満足の考え方のインプットでなくて、満足度計測の手段として使われがち、ということです。
大切なことは、「満足」と「不満足」を分けて考えること
最後に繰り返しとなりますが、「満足」と「不満足」というのは切り分けて、施策のものごとを考えていくのが大切、ということです。
施策の結果や、現状の満足度を測るために、
- 狩野モデルに基づいたアンケート
- NPS
- ショーンエリステスト
などを用いるのは、もちろん問題がありません。
ただ、「何かを良くする」と考えたときに、ぜひシンプルに「満足」と「不満足」を分けて考える、
ハーズバーグさんがシンプルに説明してくれてたな、と思い出してくれたら嬉しいなと思います。