グラウンデッド・セオリー・アプローチ(GTA)の分析方法について
学術研究には、さまざまな研究分析手法があります。
そうした手法のひとつが本日紹介する「グラウンデッド・セオリー・アプローチ」です。
「グラウンデッド・セオリー・アプローチ」(Grounded Theory Approach)は、社会科学の研究方法の一つで、理論がデータから「グラウンデッド」(根拠がある、または実証的)であるべきだとするアプローチです。
この方法論は、事前に仮説を立てるのではなく、データの収集と分析を通じて理論を生成することに重点を置いています。
グラウンデッドセオリーの基本的な特徴
データ駆動型アプローチ
理論や仮説はデータから導き出される。研究者はデータの収集と分析を行い、その過程で新しい理論を発展させる。
理論生成のプロセス
データを反復的に収集し、分析することで、理論を生成する。データと理論は相互に関係し合いながら進化する。
定性データの利用
インタビュー、観察、文献レビューなどの定性データが主な情報源。定量データも利用されることがありますが、基本的には定性的な理解を深めるために用いられます。
コーディングとカテゴリー化
データをコード化し、それらのコードを基にカテゴリーやテーマを抽出します。このプロセスは、「オープンコーディング」、「アクシャルコーディング」、「セレクティブコーディング」という段階を含みます。
理論の精緻化
データ収集と分析のプロセスを通じて、初期の理論を精緻化し、理論的なフレームワークを構築します。理論はデータの中から明らかにされるもので、研究が進むにつれて修正・発展します。
グラウンデッドセオリーのプロセス
データ収集
定性的なデータ(インタビュー、観察、文献など)を収集します。この段階では、データの収集と同時に初期の分析を行うことがあります。
オープンコーディング
データを細かく分解し、初期のコードを付ける。データの主要なテーマや概念を特定します。
アクシャルコーディング
オープンコーディングで得られたコードを再整理し、関連するコードをグループ化します。カテゴリー間の関係を明らかにします。
セレクティブコーディング
最も重要なカテゴリーやテーマを特定し、理論的なフレームワークを構築します。全体のストーリーを組み立て、理論を発展させます。
理論の整合性確認
理論がデータに基づいているかどうかを確認し、必要に応じてデータの再収集や分析を行います。
理論の文献化
最終的な理論を文献としてまとめ、他の研究者や実務者と共有します。
グラウンデッドセオリーの利点と限界
利点:
データに基づいた理論生成: 理論が実際のデータに基づいているため、現実に即した理解が得られやすい。
柔軟性: 研究過程で新たな発見や視点が反映されるため、理論がより適切に進化する。
実証性: 理論が具体的なデータから構築されるため、実証的な裏付けが強い。
限界:
時間と労力: データの収集と分析に多くの時間と労力がかかることがある。
主観性: データの解釈やコーディングにおいて研究者の主観が入る可能性がある。
理論の一般化: 得られた理論が特定の文脈に限定されることがあり、他の状況に適用する際には慎重な検討が必要。
グラウンデッドセオリーアプローチは、特に新しい現象を探求する際や理論的な枠組みがまだ存在しない分野で有効です。研究者はデータから実際に観察される現象に基づいて理論を構築し、現実に即した知見を得ることができます。
この記事は実験的に執筆しています。