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49ersのドラフトを振り返る。2日目編。

今更ながら初めて「翔んで埼玉」を観ました。生まれも育ちも東京の筆者ですが、良いのか悪いのか埼玉方面にも少なからず縁がありまして、かなーり楽しめました。
主演の二階堂ふみさんが男の娘を演じられていまして、深夜に観ていたこともあってBLに片足を突っ込みかけたことはさておき、早いとこ本題に入りましょう。

2巡目第48位:G Aaron Banks (Notre Dame)

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待望のGが2巡で指名。案外早かった。ノートルダム出身ということでMcGlincheyの後輩にあたりますね。
例のごとく指名の背景と、今回からはプレースタイルも簡単に紹介してみます。

①欠陥だらけのIOL

吉祥寺でお買い物中のマダム100人に昨年の49ersのO#の弱点を尋ねたら、おそらく100人中100人がIOLの選手層の薄さを指摘すると思います。
重ねて言いますが、昨年の49ersの陣容は、本来であれば再度SB出場を狙えたラインナップだったんです。しかし、開幕当初からIOL、特にGの選手層だけはどう考えてもSB仕様ではありませんでした。

というのも、先発LG Laken Tomlinsonが比較的安定していたのに対して先発RGが一向に定まらず、本職TのDaniel Brunskillやリーグ屈指の無名Gたちの起用で最低限の頭数を揃えていた実態があったんです。

結果どうなったか。お察しの通り、49ersのお家芸ことIRラッシュが案の定発動します。

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先発CであるWeston Richburgは開幕前にIR入りしてシーズン全休。代役を務めるのはGが本職のBen Garlandですが、彼もシーズン途中に戦線離脱。とりあえずの先発RG BrunskillをCに回すとなると、もうRGには何も残りません。
水道にガスまで止められたような台所事情で何をどう切り盛りしろと。マダムが嘆くのも納得ですね。

そしてストーブリーグに入るとRichburgが手術を行い、相変わらず見通しが立たないことが発覚しました。しかしここでミラクルムーブ。Shanahanのスキームに造詣が深いベテランC Alex Mackを3年契約で獲得します。
Trent WilliamsMike McGlincheyの両Tに加えて実績のあるCが揃ったところで、依然として足りていないのはG。そこで今回の指名につながるわけです。

②何者でしょうか。

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いやそもそもこいつ誰やねんって話です。ドラフト名鑑にも記載はなく、注目度はそれほど高くなかったはずですが2巡で指名されました。調べてみると結構面白い選手でしたね。

まずわかりやすい特徴として挙げられるのは、身長が6' 5"で体重が338lbsの大型サイズ。49ersのOL陣の中でも最重量にあたるはず。Williamsよりも重いと考えたらなかなかですよね。

また、PFF SF 49ersのツイートによると、彼は443回のパスセットの内でQBにプレッシャーを与えてしまったのが19回、サックを許したのが2回のみだそう。データからもパスプロを強みとしていることがはっきりと読み取れますね。まさにGに求めていた人材です。

では実際どうか。ビデオを観た感じ、データの通りパスプロは相当強いです。相手の正面を取れたらほとんど押し負けずに完封できるような印象まであります。
ランプレーでは特にゾーンブロックに強みがありそうです。Inside Zoneをはじめ、中央展開のランではほぼ確実に一枚取り切ってましたね。

一方で弱点についてですが、顕著なのはやはりクイックネスに優れるタイプではないことでしょうか。ShanahanのスキームはOutside Zoneなど外展開のランが主軸となっているため、OLは確実に機動力が求められます。その点で適応できるのかは注目ポイントでしょう。
あとは、セットから上半身を起こすスピードがそこまで速くなく、ブロックの際にあまり下半身を動かさないことは少し気になりました。おそらくカレッジではサイズで圧倒できていたのですが、プロでそれが通用するのかといったところは懸念点です。杞憂に終わるといいのですが。

3巡目第88位:RB Trey Sermon (Ohio State)

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4巡2つを差し出しトレードアップして指名。Shanahan、Lynch体制になってからの49ers史上、最も高順位で指名されたRBです。

①RBユニットの新陳代謝

Raheem MostertTevin ColemanJerick McKinnonJeff Wilson Jrの4名でローテーションする形が主だった昨シーズン。今オフはここからColemanとMcKinnonが抜けたところで編成がスタートします。

MostertとWilsonが軸になるのはまず間違い無いでしょう。両名ともにShanahanのスキームへの適性が非常に高く、起用にも信頼が見て取れます。
この2人に加え、まずWayne Gallman JrをNYGからFAで獲得。ローテ要員を一枚確保したところでもう一枚欲しい。ここで彼の獲得につながります。

②トレードアップの意図

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Shanahanは基本的にエースRBを置かず、スキーム適性のある選手を適宜ローテーションして起用する方針を取ります。それに起因するのか、高順位でRBをドラフトすることはほぼありません。

実際に昨年の編成を例に挙げると、MostertはST要員からのスターター昇格組、WilsonはUDFA組、残る2人は各々がキャリア5年目となるタイミングでFA獲得した選手です。この点からも、ShanahanのRB編成の志向がなんとなくイメージできるんじゃないでしょうか。

しかし、今回のドラフトではShanahanにしては高順位で、しかもトレードアップをしてまでRBを獲得しました。余程欲しかった選手なのでしょう。そこには相応の意図があるはずです。
それは何なのか。おそらく、選手の契約状況が大きな要因でしょう。

というのも、MostertとWilsonの両名ともに今年が契約最終年となるんですね。つまり、現時点では、今シーズン終了と同時に主力のRBが全員FAで流出する見込みになっているんです。あらやだ。

これを受けて、向かうところ数年は確実に主力として活躍できる見込みのあるRBを必要としていた、という見方ができるでしょう。トレードアップをしてまでRBを獲得した理由はここにあると筆者は考えてます。

③プレースタイル

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縦に上がるタイミングがめちゃくちゃ良いです。デイライトスキルもあり、確実に空いた穴を見極めて抜けられるタイプに見えます。OLのブロックがハマればコンスタントにゲインできるRBですね。キャッチングも悪くないです。
Shanahanのスキーム適性はかなりあると見て良いんじゃないでしょうか。

特筆すべき点はカットバックのキレでしょう。左右に振るジュークムーブが非常に鋭く、一歩で相手を振り切るシーンが目立ちます。そう、彼一歩で結構な角度の方向転換するんですよ。常人じゃ膝逝くだろって動きを普通にやります。

一方で、スピードを強みにしているタイプではないです。その点でMostertのように大外をぶち抜いてロングゲインする、みたいなシーンはあまり見られないんじゃないかなと思います。
Mostert、Wilsonとはまた違う系統のRBとして評価できそうです。

3巡目第102位:CB Ambry Thomas (Michigan)

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3巡ラストはCB。ニーズであるDBの補強のうちの一部に当たります。

①年齢層高めのDB陣

本来、今オフのFA市場において49ersが最もニーズとしていたポジションの1つがDBでした。
大黒柱のFS Jimmie Wardを除いたDBのスターター全員が、昨年をもって契約の最終年を迎えていたんです。

49ersのキャップスペースが決してひっ迫していたわけではないのですが、ものすごく余裕があったかといえばそうでもない。FA市場が開いた時点では、ある程度の流出はやむなしでドラフトでDBを補強するというのが大方の予想でした。

ところが、FA戦線ではGM Lynchの手腕が冴え渡り、信じられないほどのナイスムーブを見せます。
ほとんどが単年もしくは2年での契約ですが、S Jaquiski TarttCB Jason VerrettK'Waun WilliamsEmmanuel Moseleyといった先発DB陣との契約延長に軒並み成功したのです。
(精神的支柱のRichard Shermanまで戻ってくるという噂もあったり…)

しかし、実力者が揃っているとはいえど、長期的に戦力として計算できるかといえば話は別。おそらく大半は来年でチームを去ることになります。喫緊の重要度は少々下がったものの、将来的にセカンダリーを支える人材を発掘する必要性は依然として残っていました。そこで最初に指名されたDBが、Ambry Thomasでした。

②積極性:S

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プレーを見ようとビデオを探したらオプトアウト組でした。ちょっとデータが少ないです。

まず注目できるのが、キックリターナーを任されていたり、数プレーですがJet Sweepのキャリアーに入ったりしていたこと。ミシガン時代、スピード面でかなりの信頼を得ていたと考えられるでしょう。プロデイの40 Dashでは4.37を出してますね。

また、ランサポートとショートパスへの意識がかなり強く、大外展開のランを独力で潰したり、ショートパスに対しては即時のタックルが徹底されているのが印象的でした。ヒッチ系をLOS手前で潰しているシーンも目立ち、フラットゾーンでかなり強みを発揮するタイプに見えます。ファンブルリカバーやインターセプトへの意識も相当強いです。

ですが、シンプルな縦一本を安直に通してしまうシーンが割とあるんですね。
前への意識と嗅覚が強い反面、奥のケアが少し疎かになるのは気になります。というかそれ普通に致命傷です。ここは要改善。

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縦抜かれるのはマジモンのトラウマなんです。

さいごに

2日目編、なんとか書き切りました。3人となると途端にしんどくなりますね。先が思いやられることこの上なし。

続編ですが、3日目に指名された選手は2日目の選手とポジションが被るので、指名の背景は飛ばしてプレースタイル分析のみになるかなーと思っています。応援いただけると幸いです。

よろしければ前編の初日編も是非ご覧ください。

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