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note感想🌟 「 [書評] 姉の結婚」


今回は 西炯子 先生のマンガ
「姉の結婚」についての書評です。

「これから書評を書いていこう」
という決意にあたり、
この作品に触れないわけにはいかない。

私にとって、それくらい大きな作品です。


思い入れの深い、大切な作品なんだ。



あらすじ

アラフォーになり地元に戻った岩谷ヨリは、結婚や恋愛から距離を置き、図書館司書の仕事をしながら一人静かに暮らしていくことを決める。だが、そんなヨリの元に中学生時代の同級生・真木誠が現れる。真木には妻がいたが、まるでストーカーの様にヨリにつきまとい、アプローチを重ねる。肥満体型で根暗だった昔とは別人のように容姿端麗となり、優秀な精神科医として社会的地位もある真木からの求愛を拒むヨリだが、次第に心を動かされていく。


私が本作品と出会ったのは約10年前、 まだ独身で 現在の妻とも出会っていない頃…

たしか そもそものきっかけは、 西先生の「娚の一生」を読んで とても惹かれたからだった。

特別「これは!!」という 衝撃的な感情こそ湧かなかったものの、 「なんて素敵な作品なんだろう…」と穏やかで 幸せな読後感を得られたことは覚えている。
(「娚の一生」を手に取った理由やきっかけは、  全く覚えていないのだが)


深く染みるような作品なんだね。


そう、今でこそ ミニマリズムの一環で
単行本を手放したものの、
私は当時 まだ紙の本での読書が中心だった。
(その後、全巻 kindle で買い直した)
定期的にジュンク堂やアニメイトに赴き、
大量の本を抱えて帰るのが何より幸せだった。


重い荷物を抱えて…重いのに、嬉しい。宝物だから。



この作品の主人公 ヨリ に対して、私は共感と、片思いにも似た感情を抱いた。

特に彼女に共感を覚えたのは
・読書好きで知的な雰囲気
(後者は共感というより憧れ)
・独身生活が長いこと
(当時 私も友人の結婚が増えていた) 
・結婚観
(「交際=結婚」と考えてしまいがちなところ)
・「本能の赴くまま」よりも「考えて動く」ところ
・割とさっぱりした性格なところ
・でも、しばしば悩んで煮え切らないところ

…etc.


忘れられない人が、作品にいた。



正直 面倒くさい面もあるが
(実際にお付き合いしたら そんな気がする)、
こんな女性と出会えたら素敵だろうな
…と、憧れていたのを覚えている。
(結果的に妻となったのは、
 ヨリとはまた違ったタイプの女性だったのだが)


この人との未来を考えてしまうんだね。


特に印象深い 好きな言葉

①読書と人生


「本を読む者は読まないものの
 数倍の人生を生きている
 君は迷う人を照らす灯台となれ」

姉の結婚 - 第2巻

piece.10 トラウマ渦巻島より


一冊の本からその「ごく一部」でも
他人の人生の体験をなぞることができるなら、
『本を読む者』は何冊もの本から、
様々な人生の体験を得ることができると思うのです。

そしてそれは 時 を重ね、
読書 を重ねれば重ねるほど、
重厚で何にも代えがたい経験になる


人生を何周も生きるような、そんな素敵な経験が、読書にはある。


②”過去”と”今”と”未来”のつながり


「”過去”をきちんと見ることが・・・
 ”今”と”未来”によりよくつながるんじゃないかっていう・・・
(中略)
・・・ともすると人は
”今”に不満を持ちがちで
そこからしか”未来”を推しはかれなくなってしまう
気がする

なぜ”今”がこんな形をしているのかを知れば
未来の形は”今”から変えていくことができる
それに気づくと人の”未来”って
今 自分が思っているより
ほんの少し好ましいものに
なっているんじゃないかな」

姉の結婚 - 第7巻

piece.38 思い出のアルバムより


私たちの生きている世界は、
その瞬間(=今)の繰り返しであり、
”今” は次の瞬間には ”過去” となるので、
言い換えれば
「世界は ”過去” の積み重ね」であると
私は思います。

そして、それはそれぞれ理由があって
次の ”未来” につながっていくことから、
彼女の言葉のとおり

”過去” をきちんと見て、
なぜ ”今” がこんな形なのかを知ることで、
”未来” をより好ましいものに変えていける

そんな風に時の流れを感じていけたら、
どんなに素敵なことかと思います。


今は過去が積み重なって、今がある。

だから、今を知りたければ、過去を知るといい。

そして、今がわかれば、未来がほんの少し、好ましいものになる。



影響を受けたエピソード

”なりたい自分になろう”キャンペーン


地元から東京に出てきた際に彼女は
キャンペーンを有言実行する。

服装も髪型もメイクも
普段の地味な印象から離れて、
思いっきりオシャレを楽しんじゃおう!
だって周りは
普段の自分を知らない人だらけなのだから!
(実際にはそこで知り合いに遭遇するのだが…)

私自身はメイクもファッションも
さほど興味はなかったのですが、この「なりたい自分になろう」というフレーズ
そして「キャンペーン」というユーモアが、
私には なぜか ぶっ刺さりました。


シンNasekaさん誕生の瞬間。


普段「私はこれでいいのだ」と思って
足踏みしていた自分を意識的に変えようとする
このエピソードは、私にとっては 後々
「毎週 新しいことをやってみるチャレンジ」へと
つながることになりました。


新しいことへ一歩ふみだす勇気をくれた人。


そういえば
ちょうど本作品を読み始めたのと同じ頃に、
映画作品でも運命の出会いがありました。
そういう意味では、この時期が私の人生にとって、
非常に大きな転換点だったのかもしれません。
(しみじみ)


運命を変えた本や映画。

優れた作品には、人生を変える力がある。



そんなわけで、読んでいた当時から漠然と
「私も書評を書いて世に出してみたい」
と思うようになりました。
(そもそも「感想(文)」ではなく
 「書評」という表現自体、本作品の影響が強い)
本当に漠然とし過ぎて、note をはじめるまで
実現はしていなかったのですが…

実は本作品の中で ヨリが連載している
書評コーナーの題名が
「今週私はこれ読んだ」
なのです。

私の note の書評マガジンのタイトルは、
ここからいただきました。
私もぜひ、彼女にならって
たくさんの書評を書いてみたいと思っています。
いずれ彼女のように、
書評を書くことが仕事になれば とても幸せですね。
(お仕事の依頼、お待ちしております)


天職かもしれませんね💖



まとめ


「一冊の本がある人の人生を変えてしまうことがあるように
 この島を知ったことで”未来は変えうる”と誰かに思ってほしい」

このセリフ、「島」を「作品」に変えると
作者の伝えたいメッセージになるのではないか
と(勝手ながら)思います。


未来を変えるスイッチをオンにするような作品があるんだ。




全編を通しての主題はあくまで
「結婚」なのかもしれませんが、
私にとっては主人公の言動・心中から、
「読書」と「思索」の素晴らしさを感じられる
作品です。

単に恋とか愛とかいった情動ではなく、
年を重ねたからこそ考える(考えてしまう)こと、
人生経験を積み重ねたからこそ苦しむこと、
そういったものに悩み苦しむのもまた、
人生なのではないでしょうか。


人生を深め豊かにするのは、哲学ですね🌟



Nasekaさん、ご協力ありがとうございました🙇

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