![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/142186665/rectangle_large_type_2_1139c962c0eae6e23d2a2f1d187dae6b.jpeg?width=1200)
note感想🌟 「僕のターニングポイント」
ちょうど正月前の駆け込みで
台湾全体がバタバタしてた頃
携帯に、上司からの電話📞が‥
んっ?部長?
なんで上役から
僕みたいな、下っ端に?
なんか、ヤバいトラブルか?
まあ、しょうがないか・・
緊張しながら電話を取る
胸さわぎがする。なんだろう……?
「はいっ!武です」
「あっ!部長!お疲れ様ですっ!」
「えっ?、ごめんなさい
ちょっと電話が遠くて・・
ああ、はい!えっ先輩が?」
「えっ・・、なんで・・」
「あっ、はい!聞こえてます、はい!
はい!、はい!、わかりました。
他のメンバーにも伝えます。
はい!はい、では失礼します」
寝耳に水。ウソだろ。
いや、ぜったいウソだ、
先月、本社で会った時
いつも同じ、大きな声で
「がっはっはー」て楽しそうに
冗談言って笑ってたのに・・
先輩、元気だったよな…
そんな・・ なんで・・
きっと、何かの間違えだ、
そんな、だって、死ぬなんて・・
べつに気分も、悪そうじゃ
なかったし‥ まだ若いし・・
俺は信じないぞ。
ハハ、きっと何かの、間違え・・
そうだ、きっと先輩の手の込んだ
ドッキリかもしれない。
おちつけ、あのA先輩だぞ・・
ハハハ、そうか、こりゃ
ドッキリかもしれないぞ‥
ウソだ。ウソに決まってる。
簡易の休憩所の
部材やら、図面が散乱する
机で、ノートパソコンを開けて
Outlookを開く
バーが伸びて
新しいメールが
10件ほど入った
えっ・・
なんだ、コレ、【訃報】って、
おいおい、おい
なんだよコレ!
ドッキリも本格的だな。
「武さん、メール見ました?
A先輩、亡くなったって・・」
「ああ、さっきオレも部長からも
電話あった・・」
「えっ?、でも武さん
A先輩ですよね?
だってオレ、A先輩に
出張前に声かけられたけど
めっちゃ元気そうでしたよ?」
「ああ、オレもちょっとまだちょっと、よくわからない・・ちょっと全員で集まって ミーティングしよう わるいけど 皆んなに声かけてきて、 ちょっと皆んなに、 伝えたいことがあるんだ‥
「わかりました・・でも武さん?顔、真っ青ですよ」
ウソだ。ウソだ。ウソだ。
すっかり、葬式にも、行きおくれて、もう、今更だなぁと思ったけど、A先輩のお墓参りに、一人で車で行くことに決めた
この目で、たしかめに行く。
カーナビ、たよりに、
長野の山奥のお墓を目指す。
一人で車を運転し、FMラジオからは、陽気なノリで、音楽が流れている。
なんか、急に頭にきて、オーディオのスイッチを切って、無言で運転する。
うるせえな。そんな気分じゃないんだよ。
うすらさみしくなり、iPhoneで音楽が流す、アジカンの『君の街まで』がエンドレスで流れ続ける
アジカン…たのむ。
時折り、カーナビがなんかしゃべってる。後は、車のエンジン音と、エアコンの音だけがブォーと、鳴っている。
なんでオレ、一人で、長野の山奥になんか・・ふと、涙が、ダラダラ、とめどなく流れた
俺はなんのために、ここまで、来てるんだろう。
真っ黒な、鏡面の黒い柱が
何本も立っている中に、
わりとわかりやすいところに
A先輩の家のお墓があった。
あまり、お墓参りしたことなかったので、いまいち勝手が、わからないけど、お寺の入口に、桶みたいな水汲みと、お杓が、並べてあって、小川から伸びた、灰色のパイプから、水が出ていたので、水を汲んで、先輩のお墓の近くまで運んだ。
先輩…
しばらく、お墓をながめ、それから、汲んできた水をぴしゃぴしゃと、黒い鏡面の墓石にかけて、きれいにホコリを洗い流した。
ライターで火をろうそくにつけろうそく立てみたいな所に刺す。
炎がたよりなく、ゆれながら燃えている。
コンビニのビニールから線香の束をだして、豪快に火で炙っていくと黒く焦げた後に、灰色にかわりオレンジ色に先端が輝いた。
線香の束を置き台みたいなところに横に置いて
しばらく、煙が上がっていくのを眺める
ふと墓石の右側面に目をやると先輩が亡くなった日付けが彫ってあった。
先輩……どうして…
ふと墓石の右側面に目をやると
先輩が亡くなった日付けが
彫ってあった。
あっ、そうか
やっぱり、先輩は
亡くなったんだ。
ようやく、亡くなって
一カ月もたって
ようやく、本当なんだと、
本当に先輩は亡くなったんだと
あらためて、納得して
ぶわーと、涙が溢れでた。
やっぱり、やっぱり、先輩、亡くなったんだ。
「早いよ‥、先輩、早すぎるよ・・」
かなしいはずなのに、
どんどん涙が出るたびに、
ホッとしている自分に気がつく
おかしいな、俺。なんでホッとしてるんだろ。
なんで、涙が
止まらないんだコレ‥
ははっ、なんだこりゃ
止まらん、ヤバい・・
そうか、やっぱり
死んじゃったんだ、
本当に、死んじゃったんだ。
悪いことしたみたいな
気分になって、
あわてて手を合わせる。
死んじゃったって、わかって、俺、ホッとしてる。先輩。ごめん。
その瞬間
確かに、何かが変わったと思う
武炭宏さんのターニングポイント。
僕にとって、あの日
あの瞬間、まったく、違う
生き物になったような気がする。
先輩の分も、ちゃんと生きなきゃ‥
心の中で、そう誓った。
心の中で、生まれ変わる気持ち。
死と再生。
過去の自分とのお別れ。
今思えば、あの時が、
僕のターニングポイントだった。
武炭宏さん、ご協力ありがとうございました🙇
いいなと思ったら応援しよう!
![にいに@note応援×スピンオフ](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/144364625/profile_9ae69cc47a161965ab438ec0b16bb6cb.jpg?width=600&crop=1:1,smart)