死角(ゾッとする話)
21歳、自宅から5kmほど離れたバイト先に400㏄のバイクで通っていたころの話。
21時ごろにバイトが終わり帰宅するため、片側2車線の国道の左車線を向かって走っていた。
前方の車をパスしようと右ウインカーをあげ、サイドミラーを確認し車線を変更しようと動き出したとき、下の写真のようなジェットヘルメットのシールドの5つ留めていたボタンが3つ外れた。
それまで走行中にボタンが外れることはなかった。
そして、縦になったシールドの風圧で左車線に戻された。
その瞬間、車1台分と言われる死角を走っていたであろう白い乗用車がクラクションを鳴らすでもなく淡々と走り去っていった。
あわてて路肩にバイクを停め、もしボタンが外れていなかったら、と一連の出来事を反芻するとゾッとした。
以来、車線変更するときにサイドミラーに頼らず目視することになったのは言うまでもない。
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ひとつ付け加えると、当日はめていたグローブは2年前に亡くなった友人のものだった。
一緒にツーリングに行こうと約束し、それぞれアルバイトし中型免許を取り、同じバイクとヘルメットを買ったが、約束は叶わなかった。
その友人に助けられたと思っている。
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