見出し画像

サイクル理論|第二章 安値、トレンド、トランスレーション

こんにちは、えいめです。
すこし 日があいてしまいましたが メリマン著「相場のサイクルの基本」の 第2章の意訳版です。
この章の前半は用語解説的な文章が続きますが、後半でサイクル理論の原則や実践的な内容について説明がなされます。


サイクル理論では、相場の動きを一定の期間ごとに繰り返すパターンとして捉えます。以下に、基本的な概念を簡単に説明します。

サイクルの計測方法
サイクルは安値から次の安値までの期間で計測することとします。
例えば、「6週サイクル」は、安値と安値の間が5~7週間の間隔で出現することを意味します。(高値から高値の間を計測するのではないことに注意ください)

トレンド分析
相場のトレンドの種類は、上昇(強気)、下降(弱気)、横ばい(保合い・もちあい)の3種類です。

トレンドに応じた取引
・強気相場: 買いから入る方が利益を得やすい。
・弱気相場: 売りから入る方が利益を得やすい。
・保合い相場: サポート(下値支持線)で買い、レジスタンス(上値抵抗線)で売る。
(この方が比較的短期間で利益を得ることができるだろう。)

ここでポイントとなるのは、トレンドを見分けることと、サポートとレジスタンスがどこにあるかを発見することである。次に、サイクルとの関連においてトレンドを説明してみよう。

トランスレーション
・ライト・トランスレーション : 強気相場の特徴で、サイクルの中間点を過ぎてから最高値が出現し、上昇期間が長く、下降期間が短い。

ライト·トランスレーション
天井Bはサイクルの安値AとCの中間点を過ぎてから出現する。

・レフト・トランスレーション : 弱気相場の特徴で、サイクルの前半部分に最高値が出現し、上昇期間が短く、下降期間が長い。

レフト·トランスレーション
天井Bは安値AとCの中間点より前に出現する。


いつも相場が規則正しく動いてくれることは理想的なことです。もしサイクルが時間通りに出現し、前述のサイクルの特徴が正確に現れるならば、相場の予測は非常に容易になるでしょう。しかし、現実の相場はそれほど単純ではありません。

サイクル理論は、相場の動きを一定の周期で捉える分析方法です。しかし、初心者が基本を学んだだけで完璧に理解したと思い込むと、複雑なシグナルに混乱し、損失を被ることがあります。相場のサイクルは精密な科学事象ではないため 支配性や歪みを考慮することが重要です。支配性や歪みを理解することによって、より正確な予測と効果的なトレードが可能になります。

サイクルの実践的な利用
サイクルの基本を理解したら、次のステップとして実際の相場分析に進みます。ここでは、より深い分析と判断が求められます。例えば、以下のような疑問が生じることがあるでしょう。

  • 「6週サイクル」がなぜ3週間で終了してしまったのか?

  • 「6週サイクル」の最安値がサイクルの終了時に出現したのに、なぜサイクルの天井はサイクルの中間点を過ぎてから出現したのか?

  • 同じサイクルの中に強気と弱気のサインが現れるのはなぜか?

これらの疑問を解く鍵は、その「6週サイクル」よりも大きな時間足のサイクルがサイクルの終了時を迎え、その大きな時間足のサイクルが「支配性」を発揮して小さな時間足(=6週)のサイクルに「歪み」を与えているからです。

支配性と歪み
・支配性 : 大きいサイクルが小さいサイクルに影響を与え、通常のパターンから外れる現象。
・歪み : 大きいサイクルが支配性を発揮することで、小さいサイクルが短縮されたり延長されたりすること。

この原則を理解することが、サイクル理論の本質を理解するための第一歩になります。とはいえ、この初歩的な理解のレベルでは実際的な相場において継続的に利益をあげることは難しいでしょう。次にさらに重要なポイントについて述べます。

重要なポイント
ある時間足のサイクル(=小さいサイクル)は、より大きいサイクルが支配性を発揮するまでは同じトレンドを継続することになります。しかしながら、大きいサイクルが支配性を発揮すると、それまで規則正しく繰り返されていた小さいサイクルに歪みが生じる可能性があります。

例えば、小さいサイクルが強気トレンドの特徴を示している場合、次の周期の小さいサイクルも同様の特徴を示すことが期待されます。しかし、次に大きいプライマリーサイクルが支配性を発揮すると、そのトレンドが変化することがあります。この歪みの発生は、プライマリーサイクルの中に含まれる小さいサイクルのうち、最後のサイクルで起こる可能性が高いですが、時にはその前に起こることもあります。

最後にあたる小さいサイクルでは、相場はこの「最後の小さいサイクル」開始時の安値を下回ることが予想されます。また、最後の小さいサイクルの天井は、サイクルの前半に出現する レフト・トランスレーションとなるでしょう。さらに、小さいサイクルが6週サイクルの場合だと通常の5~7週より短縮されるか、延長される可能性があります。

これらの歪みの発生は、より大きいサイクルが支配性を発揮する段階で起こる可能性が高いです。ただし、大きいサイクルが終了する時にこれらの歪みが起こらないこともあります。要するに、大きいサイクルが支配性を発揮する段階に入ると、小さいサイクルに歪みが生じ、予想が覆されることがあるのです。

強気相場では、この歪みは大きいサイクルの終末の段階で起こり、弱気相場では大きいサイクルの初期の段階で起こります。この点については「サイクルの解剖」の章でさらに詳しく説明します。


第一章 サイクル理論の特徴へ

第三章 長期、短期、プライマリーサイクルへ →


いいなと思ったら応援しよう!