サイクル理論|第三章 長期、短期、プライマリーサイクル
この記事は「相場のサイクルの基本」メリマン著の要約です。
FXなどの金融市場(以下、たんに「市場」とよぶ)において、価格や指標が一定の周期で上下する現象を「サイクル(周期)」と呼びます。
すべてのサイクルは、より大きなサイクルの一部であり、さらに より小さなサイクルによって構成されています。このようにサイクルは、サイクルの中に、より小さなサイクルをいくつか内包する構造をもちます。市場で最も基本的なサイクルは「プライマリーサイクル」と呼ばれます。この概念は、近代サイクル論の父とよばれる ウォルター・ブレザートによって提唱されました。彼は、サイクルが必ずしも一定の間隔(=周期)で発生するわけではないことを発見し、これによりサイクル分析とテクニカル分析を統合しました。
いくつもの市場のサイクルを調べてみると、プライマリーサイクルは 安値から安値までの長さが17週ないし18週であることがわかった。
市場にはプライマリーサイクルよりも長い「長期サイクル」と、より短い「短期サイクル」が存在します。長期サイクルの周期は 市場によってまちまちであり、また1つの市場においても複数の長期サイクルが存在しています。例えば銀の場合では40週周期のサイクルもあれば、54年(コンドラチェフの波;長期景気循環)といった非常に長いサイクルも存在しています。
長期サイクル
長期サイクルの特徴としては以下の3つがあります。
・各市場において、もっとも短い長期サイクルでも、プライマリーサイクルの数倍の長さがある。
・長期サイクルが終了する際には、短いサイクルに対して支配性をもつ。すなわち、安値のタイミングが同じ時期となる。
・長期サイクルがトレンドを示している場合、その次のサイクルでも同じトレンドを示す可能性が高い。ただし、より大きな長期サイクルと同じタイミングで終点が重なると その限りではない(=トレンドが変わることがある)。
その他のサイクル
その他のサイクルについて、特徴を以下に述べます。
これらのサイクルを理解することは、投資や取引において重要で、サイクルのパターンを分析し適切なタイミングでの取引を行うことで、リスクを管理しながら利益を最大化することが可能となるからです。
短期サイクル: プライマリーサイクルの内部に複数(2~3個)含まれています。
ハーフプライマリーサイクル: プライマリーサイクルの約半分の長さで、通常プライマリーサイクルの中に3個から4個含まれます。長さは5週から7週になります。
メジャーサイクル: ブライマリーサイクルの中に3個、ないし4個のメジャーサイクルが含まれています。周期は6週となり、「6週サイクル」とよばれることがある。メジャーサイクルの安値(=ボトム)は、ブライマリーサイクルのボトムと一致するので、ブライマリーサイクル・ボトムとよばれる。また、メジャーサイクルの高値(=天井)は、メジャーサイクル天井とよばれるが、ブライマリーサイクルの最高値と一致した場合は、ブライマリーサイクル天井とよばれる。
強気相場の場合では、この天井はブライマリーサイクルの中心からみて右側で出現(ライト・トランスレーション)する傾向があり、逆に弱気相場では 左側で出現(レフト・トランスレーション)する。出現の頻度は80%を上回る。トレーデイングサイクル: メジャーサイクルの中に2個、ないし3個のトレーディングサイクルが含まれる。トレーディングサイクルの長さは、メジャーサイクルの長さの半分から3分の1となる。このサイクルは、エントリーのタイミングを図る際に用いることができ、ブライマリーサイクルに次いで有用なサイクルとなる。
例えば、もしブライマリーサイクルの開始となる安値(=ボトム)でのエントリーを見送った場合、次のエントリータイミングは、通常2~4週後にくる最初のトレーディングサイクルの安値(=ボトム)となる。ブライマリーサイクルの安値は すぐに更新される可能性は低いため、エントリータイミングとなる。とくにブライマリーサイクルが強気トレンドを示している局面では絶好のエントリータイミングとなる。ここでは解説はないが、トレーディングサイクルの中には、アルファサイクルとベータサイクルとよばれる、さらに小さいサイクルが2個含まれている。このサイクルの長さは4~9日となる。