CES 2021レポート・リレー - 2日目
初めまして。
GNUS(ヌース)のBiz Devを担当している長田(おさだ)です。
今年初のオンライン開催となったCESの内容がどんなものだったか気になる方も多いのではないでしょうか。
私自身、CESへの参加は今回が初となるので過去との比較はできませんが、
本レポートではオンライン開催となったCESという「体験そのもの」に焦点を当て、オープンイノベーションやその他のイベントを経験してきた自身の観点を交えてお伝えしたいと思います。
目次
・はじめに
・CESについて
・体験としてのCES2021
・CES 2021での発見と課題
・おわりに
はじめに
まずいきなり結論からですが、個人的に今年のオンラインCESに参加できて非常に良かったと考えています。
というのは、CESのような特に体験に重きをおく展示会が、どのようにその思想を残しつつ、参加者に価値を与えていくのかを垣間見ることできたという点が、貴重な経験につながったと思っているからです。
CESについて
まずはCESについてのおさらいです。
CES(シーイーエス)は、毎年1月全米民生技術協会 (CTA) が主催し、ネバダ州ラスベガスで開催される電子機器の見本市である。業界向けの見本市で、一般への公開はされていない。展示会には多くの新製品が出品され、プロトタイプ(試作品)も多い。当初から長らく名称はConsumer Electronics Showだった。現在、CESではConsumer Electronics Showとして紹介しないように公式に記している[1]。ラスベガス・コンベンションセンターを中心として開催され、一部の特定分野は別会場となっている。
”Wikipediaより”
昨年は約18万人が訪れ、4,000社以上の出展企業により、20,000以上の新製品やサービスが登場した「テクノロジーの祭典」とも言われる世界最大級の見本市です。
昨日の栗林のnoteにもあるとおり、今年は残念ながら出展企業は減少し、約1,800社の企業が出展となっています。
体験としてのCES2021
さて、今年はこれまでと違い初のオンライン開催だったため、開催者側も不安を残す中での開催だったと思います。
ただ私自身CESに初参加の身でもあったので、過去との比較もなく、まっさらな気持ちでこの2日間を参加できました。以下は体験を通じて感じた内容のレポートです。
#1 CES 2021は「視聴+オンライン商談」がメイン
CESは前述の通り見本市や展示会が起源ですが、近年では世界の最先端技術が直に見られる機会となっていました。
最新のテクノロジーの視聴がオンラインとはいえ、CESならではの方法でどんな体験ができるか・・・と期待していましたが、多くのセッションや出展については、各企業の経営陣や責任者が今後の市場や展望について対談をする様子や、もともと用意されたムービーを通して視聴することが大半でした。
多様なジャンルの人間が参加する中で言語やコミュニケーションの壁を考えても、ムービーがなく対談のみのセッションで精緻な理解をするのはなかなか難しいと思ったので、やはりこういったイベントで広くアピールするためには、独自のムービーや体験を録画した動画などの準備が企業には必要なのかと感じました。
又、各企業のページには連絡先がありそこからオンライン商談が可能となっています。
※出展企業検索ページ
ここから数多くの企業にコンタクトは可能なので、展示会ながらこの機能があるということそれ自体は非常にいい仕組みだと思いました(日本にもあるオープンイノベーションや企業連携のプラットフォームであるようなイメージ)。
ただやはり、そこからのコンタクトとは別に、セッション内で視聴者と繋がるようなコンテンツ(例えばスピーカーがインタラクティブに質問を取り上げ答える等)がさらにあると、参加者としてはより良質な体験に繋がったのではないかと思います。
しかしながら、日本でも展示会はその体験をwebに移行する難しさから中止が相次ぎましたが、CESがこのタイミングでオンラインで開催し、これだけの人をweb上で注目させたことは称賛されることかと思いました。
#2 日本企業のアワード獲得
今回私は各国の有名企業と日本企業に焦点をあてて見ていたわけですが、昨年にSONYがVISION-Sを発表したときのような多数のニュースになるような発表は今年は少なかったのかもしれません。しかしながら、各社それぞれの最新商品をこのオンラインCESで発表しており、それを様々な視聴体験を通じて見れたことだけでも非常におもしろく思えました。特に、BEST of CES Award(イノベーション・アワードを獲得した企業の中から最も優れた企業に贈られる賞)では、オムロン社の製品が1つと、SONY社の製品が2つ、それぞれ賞を獲っていたのが印象的でした。
Omron Vitalsight
Sony 360 Reality Audio speakers
Sony Airpeak
#3 J-Startupなど日本のスタートアップ
JETROが国内スタートアップのCESへの出展を支援するための取り組みとして、2019年から毎年設置しているパビリオン(J-Startup/JAPANパビリオン)があります。日本のスタートアップがCESに独自で参加するのは大変だと思うのでこういった取り組みは非常に良いなと思いました。
今年は昨年の2倍近くの51社が参加してるようで様々なスタートアップの製品をみることができます。
また1月14日(木)にはYou Tube Liveでのセッションも行われ、日本のスタートアップ各社がトークする様子をCES参加者へ向けて発信していました。
※一般の方でも以下アーカイブから視聴可能です。
ただCESの参加者にどこまでこのセッションが届いたかについては改善点がありそうです(私も関係者から聞いて初めて知ったので)。よく日本でも各国の大使館がその国のスタートアップを連れてきてイベントを行う様子は目にしていましたが、CESを通じて各国のスタートアップやその支援者が交わるような場があると、オープンイノベーションという観点でもより面白くなるように思います(本来の目的とはズレるかもしれませんが…)。
総じて、CESのベストアワードを受賞した製品も多くは国内国外に関わらず大企業の製品が多かったので、日本のスタートアップの製品がCESを通じて世界的にも注目されるようになっていくと、より日本のスタートアップエコシステムにも良い影響を与えられそうです。
CES 2021の発見と課題
発見
CESへの初参加が今年のオンライン開催であったことは貴重な経験となりました。CESのような「体験」に重きをおく展示会がどのようにしてその形態を変え参加者に価値を与えていこうとするのかを、上記のような実体験として得られたことは良い経験になったかと思います。
コロナ禍とはいえこれだけの企業や人が集まり交流するようなイベントはそう多くないと思うので、CESならではの見せ方やサイト構成などは、今後大規模なイベントに参加または開催する場合の良い知見になりそうです。
課題
セッションは比較的自由に視聴ができて良かったのですが、オンライン商談に焦点をあてると幾つか課題はありそうでした。
例えば出展企業に自由にコンタクトできるとはいえ、1,800もある企業の検索機能の使い勝手がそこまで高くなかったので、そこは改善点のひとつであったり(具体的は、絞り込みが「業種」と「国」でしかできなく、なおかつ企業の詳細ページまで入らないと中身がわからない仕様でした)。
今後のイベントの在り方としては、おそらくリアルな場としての機能とオンライン機能と、双方の機能が求められることになると思います。
おわりに
自身が経験してきたオープンイノベーションの観点からCESを見ると、今年初のオンライン開催だったCESが、どのくらい企業同士の新しい接点に繋がっていたかは気になります。
特に今年はオンライン商談をどうワークさせるかが開催側としてひとつのキーになっていたかと思うので、後日このあたりの情報が発信されるようなら注視していきたいと思います。
さて、最後に宣伝になりますが、GNUSでも今年のCESに関するウェビナーを1月26日(火)12:00-13:00に開催します。
ご関心のある方はぜひご参加ください。
また、GNUSへのお問い合わせもお待ちしております。ソフトウェア起点のコンサルティング&アジャイル開発のご要望についてはお気軽にお問い合わせください。
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