読書会を通して考える「いのちの時間」
初めまして!M1のルナです。
この度、記事を投稿する機会をいただきました。
先生方や先輩方のこれまでの投稿に恥じないような発信ができるように頑張ります!最後までぜひお付き合いいただけると嬉しいです😊
堺市立東図書館 ひがしブックdeとーく
きっかけ
3月上旬に堺市立東図書館さんで行われた読書会に参加させていただきました。
きっかけは、先生からのお誘いのメール。
「読書会」というワードに心惹かれて、先生にイベント参加の意思を伝えるに至りました。
というのも、私自身はもともと本を読むのが好きで、本当は毎日10分ずつでも良いから読書を細々と続けていきたい気持ちはあるのですが、最近はそれも週に数回できれば良い方……。言い訳でしかないのですが、最近は研究活動や自分の活動に追われてなかなかまとまった読書の時間をとれていませんでした。要するに、このイベントに参加する状況を作ることで、読書会に向けて課題図書を読んだり、他の参加者の方にご紹介する本を探したりする、まとまった読書の時間をとる「口実」になるのではないかという浅い考えがいくらかありました(皆さんごめんなさい…笑)。
そんな浅はかな考えから参加を決めたイベントでしたが、学びや気づきに溢れていました。それらを文字として残しておければなと思います。
ひがしブックdeとーくについて
毎月1回、読書会のメンバーを中心に開催されている本イベント。
「暮らしの中の何気ないことをテーマに、本を紹介しあい、気負わず話して、丁寧に聞いて、お互いの語りを綴って残しましょう。」という本当に素敵な会です(いただいた冊子に記載されていました(ヘッダー写真参照)。この冊子、見ての通り本当に可愛らしくて素敵なデザインなのです)。
「おやつの思い出」
今回のテーマは「おやつの思い出」。
私と先生を含めた参加者12名で、まずは自己紹介も兼ねて、各々の「おやつの思い出」やそれにまつわるお勧めの本の紹介を行いました。
お話を伺っていると、
・子どもの頃によく食べていたおやつ
・子どもの頃にお母さんやおばあちゃんが作ってくれたおやつ
・自らが子どもに作ってあげていたおやつ
が多く挙げられている印象でした。
ただ美味しい/よく食べていたおやつというだけではなく、そのおやつにまつわる人と人との交わりや関係性も含めて、皆さんの大切な思い出になっていることに気づきました。特に、「母がおやつを手作りしてくれていた思い出があるからこそ、私も手作りすることが好きだし、子どもにも作ってあげたい」と語っておられた方がいらっしゃって本当に素敵でした。思い出も親から子に引き継がれていくのかもしれません。
課題図書『ライオンのおやつ』
今回の課題図書は『ライオンのおやつ』(小川糸/著)。
2020年本屋大賞ノミネート作品ということでご存知の方もいらっしゃるかもしれません。
あらすじ:男手ひとつで育ててくれた父のもとを離れ、ひとりで暮らしていた雫は病と闘っていたが、ある日医師から余命を告げられる。最後の日々を過ごす場所として、瀬戸内の島にあるホスピスを選んだ雫は、穏やかな島の景色の中で本当にしたかったことを考える。ホスピスでは、毎週日曜日、入居者が生きている間にもう一度食べたい思い出のおやつをリクエストできる「おやつの時間」があるのだが、雫は選べずにいた。(ポプラ社のサイトより引用>https://www.poplar.co.jp/pr/oyatsu/)
この本について、各々読んだ感想を語り合いましたが、あっという間に規定時間の40分が過ぎ去ってしまう勢いで、大変盛り上がりました。
まずは、
・主人公が過ごすホスピスについて
・主人公の生き様について
など、本の内容に沿った感想が次々語られていきました。
そこから、
・自分だったらどんな場所でどんなふうに過ごしたいか
・今のうちから人生の終わりに向けて準備をしないといけない
という意見も出て、参加者の皆さんがいわゆる「自分ごと」としてこの物語を解釈し、想像を巡らせたり考えを深めておられるのが印象的でした。
ACP(「人生会議」と呼ばれたりしていますね)の促進が昨今行われていますが、人生最後の過ごし方を家族などの近しい間柄で面と向かって話し合うというのは、話題の重さも相まってなかなか難しいと感じる方も少なからずいらっしゃると思います。最近ではその話し合いの障壁をできるだけなくそうと、カードゲームや人生ゲームなどを活用したりとACP普及のための工夫も行われたりしていますが、その1つの手段としての読書会、も結構アリなのかなと思いました。
本を読むことで、その本の登場人物の人生を追体験できます。いわば、いろんな人生を本を読めば読むほど体験できるというわけです。自分で体験することで人は物事をより「自分ごと」として捉えることができ、その視点を持つことで「自分にとって望ましいこと」「妥協できないこと」もハッキリしてくるのだと思います。
また、読書会として本の感想を語り合うスタイルも功を奏したのかもしれません。なかなか語り合いにくいテーマであっても、本の感想を言い合うという目的があるため、本の感想はもちろん、そこから派生して自分の考えなどを言語化しやすい雰囲気が整っていたからこそ、これほどまでに盛り上がったのではないかと思います。
ゲストによるお話:「いのちの時間」
最後に、山川先生が「いのちの時間」をテーマに、①認知症について、②寝たきりだった患者さんの事例紹介の2本立てでお話しくださいました。以下に簡単ですが内容をまとめました。
①認知症について
認知症は、一度発達した知能が脳の変化によって低下していく病。物忘れなどの初期症状から始まり、病状が進んでいくと自分で自分の思いを表現することが難しくなっていくこと、自己表現ができる期間を延ばす治療やケアが行われている。
②寝たきり患者さんの事例紹介
心臓の持病があり、突然死のリスクから寝たきり生活を3年も送ってきた方。患者本人は本当にその生活を望んでいたのか?という点を考えられていないのが最大の問題点。この事例に限らず、医療者と本人とでどこまで踏み込んで対話ができるかが重要。
参加者の皆さんの興味も非常に高く、様々な質問はもちろんでしたが、病を心配する気持ちや残りの人生に対する不安の吐露や、残りの人生をどのように過ごしたいか希望を訴える方もいらっしゃったのが印象的でした。②の事例紹介はかなりショッキングな内容だったのですが、先生のお人柄はもちろんですが、さらに読書会で語りやすい雰囲気ができていたからこそ、医療者に対してありのままの自分の意見を述べやすかったという可能性は大いにあると改めて感じました。
新しいACPの方法としての「読書会」に大いなる希望を感じた本イベントでした。
一番の懸念点は、若者の「本離れ」ならぬ「活字離れ」が進んでいること…(涙)
私たち若者もこの活動に参画していくことに大きな意義があると思うのですが、幼稚園児以前からスマホやタブレットの使用が当たり前になりつつある現代ではなかなか難しいのでしょうか……。
私個人としては、若者には本の魅力を知ってもらう機会にもなってほしいなという願いも密かにあります。そして、私自身ももっと読書を習慣化したいです(笑)