【東大受験】数学に苦手意識のある文系のあなたへ
◯東大入試では結局、最後は数学の出来が全てを決める
東大文系入試について、いわゆる「天才型」ではない「努力型」の人間が合理的に得点戦略を構築する場合、大幅な易化があるような例外的な年度を除いては、数学と英語、中でも特に数学の出来がその勝敗を決すると言って良い。
そして文系の場合、おそらく文理選択の際に「理数系科目よりも暗記科目の方が得意」という理由で文系を選択する受験生が一定数いるため、そういう方々からすれば、一定の知識暗記が実力と直結する英語や地歴には自信があるものの、得点の振れ幅が大きい数学がどうしても怖い、という受験生が多いように(少なくとも私の周囲では)感じている。
実際、私自身も英語や地歴は一定の分量のインプット・アウトプットが完了させることで、合格ラインの6〜7割のラインに点数を安定させることができたものの、最後まで課題となったのは「数学をどう安定させるか」という課題であった。
数学については、どれだけ過去問を回して解法をつかんだところで、その年に出題される問題の解放がきちんと浮かぶかどうかは未知数であり、もし比較的簡単な問題などで方向性の違った解答を記載してしまったり、解けていたと思った問題で後から計算ミスが発覚したりすると、当初想定から数十点単位で点数が変動してしまう可能性がある。
しかし、私は試行錯誤の末、この「数学リスク」を最小限に抑えるための手法を開発した。
今回はその一部をご紹介する。なお、既に私の個別指導を受けてくれている方には個別指導で完全なノウハウを公開するのでお楽しみに。
◯まずは、冷静にその年の問題分析をせよ。
さて、実際に入試本番で数学の試験が始まったことを想定して以下記載する。
まず何をするか?真面目に設問1から解き始めるだろうか?
違う。まずは、状況分析だ。
合格レベルの受験生さえ不安になる数学科目では、何が起きても絶対にパニックにならずに、徹頭徹尾冷静に合理的処理を貫徹できた受験生こそが勝利する。そこに、数学の得意不得意は一切関係がない。
開始5分で、設問4つの問題文を全て読み、ざっとでいいので、各設問について方向性が検討つきそうかを確認する。
◯その年の問題の難易度に応じた得点戦略を立てろ
一通り設問分析が終わったら、その難易度に応じて、得点戦略を立てる。
簡単な問題ばかりならば高得点を狙うし、難しい問題ばかりなら、少しでも部分点を狙っていく。
ここで大事なのは、無理に「2完2半」を狙わないということだ。
私の受験時代、「東大数学は2完2半を狙おう」とかいう謎の受験通説が私の周囲で流布していた。
数学の配点が1問20点とすると、「2完2半」とは、数学で50〜60点程度を狙うということになると思われるが、これは完全に数学強者の戦略である。数学に自信のないようないわば「数学不安者」が狙うべき(そもそも狙えるような)戦略ではない。
じゃあどうすべきか?私としては、数学に自信のない君であれば、「1完2.5半」で30点程度を取れれば十分だだと感じている。なぜなら、実際の入試では、無理に2完以上を狙おうとして、結果として1完すらできずに0〜20点代となる層がごまんといるからだ(実際、昔の私がまさにそうだった。)。
実際、私の個別指導で教えているのは、「2完2半」などという数学強者のハイリスクな得点戦略ではなく、私のようないわゆる「数学不安者」が「1完2.5半」を可能な限りローリスクでもぎ取って死守するための合理的方法論である。
数学科目の不安定性に悩んだことのあるあなたなら、「数学が30点代で安定する」ということが、いかにありがたいことが、よくわかるだろう。
実際、私の合格年度、私は上記方法論でまずは1完2.5半を死守したのち、後述する「ボーナスタイム」の間に0.5半状態の問題についてさらに解答を進めることで、1完3半を達成し、結果45点という数学不安者からすれば大成功とも言える点数を取れたのだった。
◯得点戦略を立てたら、解ける問題からどんどん解いていけ。
分析が終わったら、方向性のついている設問からどんどん解き始める。
もし途中で詰まったら、その段階でその設問の検討一旦停止し、さっさと次に解答の目処がついている設問の検討に移る。
東大数学の典型的な負けパターンの一つは、当初解きやすいと思っていた設問に、アテが外れてからもずっと拘り続けてしまい、結局解けないまま、時間だけを大きく浪費してしまうことである。
一旦別の設問に移ることで、そういう無駄な「悩み」の時間をカットする。悩むのは、悩まなくていい問題を全て解き切ってからである。また、思考に一旦ブランクを挟むことで、悩んでいる時にありがちな固定的な思考から一度解放され、その設問に戻ってきたときに、当初気づかなかったポイントに気づいたりできたりもする。
◯解答の目処が立っている問題を全て解き尽くしたら、その段階で一旦見直しをする。
さて、ここが一番大事なことだが、解答の目処が立っている問題を全て解き尽くし、あとは悩ましい部分を悩むだけとなったら、その問題を悩む前に、一旦、それまでの検討過程に万一にも不備がないか、見直しをする。
東大数学の典型的な負けパターンの二つ目は、「解けていた」と思った問題の検討過程に「ミス」が含まれていたということだからである。
東大数学では、複雑な計算や式変形などを要する問題もよく出題されるため、「ケアレスミスがなければ解けていた」みたいなことが多々発生する。私も数学で大失敗して不合格となった年度の失敗の原因は、そういう「ケアレスミス」を途中でしてしまったことだった。
しかし、あえていうが、「ケアレスミス」は「ミス」ではない。立派な「論理破綻」である。なぜなら、君の答案を採点する東大教授たちは、日頃論文を読み書きしている人たちであり、彼らはその職業の本質として、いつも、相手の論文や自分の論文の論理構成にわずかでも論理破綻がないか、とても注意深く気を遣っている。だって、彼らは「知」ないし「真実」に奉仕している人たちだから。君からすれば「ちょっとしたケアレスミス」のつもりだったとしても、彼らからすれば、論理破綻した無価値な文章に他ならないのだ。非常に印象が悪い。例えるなら、非常にお堅い真面目な会社の就職面接に、寝癖、パーカー、ジーンズで突撃するようなものだ。東大入試では、これをやるとバッサリ切られる。
ミスという「論理破綻」は、絶対ないようにしてほしい。逆に、答案に論理破綻が全く含まれていなければ、それだけで、大概1つや2つミスをしている多数の受験生と差をつけられる。私がこのタイミングでの見直しを推奨するのは、この理由からである。
あとは、部分点をどんどん拾え!
解けている部分の見直しが終わったら、あとはボーナスタイムだ。
解けなくても良いから、わかっていること(方針、実験結果など)を答案に書きまくり、可能な限り部分点を稼ぐ。
うまくいけば、ここで5〜10点くらい稼ぐこともできる(私の合格年度などはそうだった)。
東大入試は相対評価であり、難しい問題については白紙で出す受験生も少なくないので、検討途中の内容を書くだけで大きな点数がもらえることが多い。
このボーナスタイムではそういう難しい問題こそ書けるところまで書きまくり、一点でも多くの点数をもぎ取るのだ。
◯終わりに
数学が苦手な受験生にとっては最後まで不安になる東大文系数学だが、私は上記のような方法を取ることで、比較的安定して30点代をキープすることができた。
尤も、上記はあくまで概要であり、私の個別指導を受講いただいている受験生にはより詳細まで入った答案戦略の構築や日々の勉強法の指導、実際の君の答案が東大教授から評価される状態になっているかのチェックをしたりしているので、私からの個別指導が少し気になる方はgnothiseauton.1789@gmail.comまでご連絡頂きたい。
正直なところ、「数学が得意な講師」が「設問を完答する方法」を教えるような数学の個別指導はこの世にごまんとあると認識しているが、「数学が苦手」な講師が「泥臭く部分点をもぎ取る」方法を教える個別指導は殆どないのでは(だからこそ、聞きたい人はめちゃめちゃ聞きたいのでは)と感じている次第である(少なくとも、私が受験生の頃は、そういう合格者の話は何としても聞きたかった。)。
実際の受講の是非を問わず、とりあえず個別指導の概要を聞いて頂くだけでも全くもって構わない。数学の得点戦略に悩んでいる君からのご連絡を、いつでもお待ちしている。