にじさんじ中国 VirtuaReal の2022年を総まとめ
私が約1年前に知った 中国で活動するにじさんじグループ「VirtuaReal」。noteに彼らに関する記事を投稿し始めたのも2021年終わりごろですから、今年も様々なコンテンツで楽しませてもらいました。この記事では2022年のVirtuaRealにおける主なイベントや活動を書き起こすことにします。今回も例に漏れず、中国国内のファングループ『VR周報』によって1ヵ月に3~5回投稿されている週刊記事をもとに、2022年を振り返ることにします。
過去投稿した記事の一覧
年に一度のオフラインライブイベント「Music MIX UP」
2022年の始まりは、3Dライブイベント「2nd VirtuaReal Music MIX UP!!」でした。2度目の開催となる今回のセットリストは『Virtual to LIVE』に始まり、日本でも馴染みのある『Trial and Error』と『Virtual Strike』も歌われ、新年最初の有観客イベントとしてスタートしました。七海Nana7mi(ななみ)・阿梓Azusa・小可学妹Keroの3人組ユニット小海梓の『流星』、阿萨Aza(あざ)の『感觉良好』や罗伊Roi(ろい)とのユニットROZAの『危险领域』といったオリジナルソングも歌われ、3周年を象徴する『七色回响』で締めくくるライブとなりました。
残念ながら来年の「Music MIX UP」は開催が難しいらしいとのことですが、こんな情勢でなかったらなぁと思いつつも、ライバーが万全の体調になって最高のパフォーマンスを見たいものです。
VirtuaReal3周年記念配信
「約3時間の配信に出演する全員が2D」と驚きはあったものの、公式チャンネルの配信に多くのライバーが様々な企画で登場する演出はとても楽しめるものでした。内容もネタや漫談、歌といった「動きより声」に重きをおいており、2DキャラクターとしてデビューしたVtuberという存在を改めて認識させられた時間でもありました。
夏日合唱Super
こちらは、にじさんじフェスの数週間前に開催されたオンライン3Dライブ。昨年はVirtuaReal Linkのライバー含めて女性14人による夏の祭典で、バーチャル都市の空中ステージで歌ったり踊ったりしていました。今年は9月後半の開催となりましたが、事前特別配信の計5日間のカラオケ配信やトレーラー動画で期待は高まりました。ライブは両日とも高層ビルの屋上特設ステージで行われ、特に2日目最終日はラスト曲の「Shake the world」以外すべて日本語の歌詞の楽曲を歌い踊る内容に、私もとても楽しめました。以下、歌われた曲の中から、動画URLとともにいくつか紹介。
私自身、昨年のライブ時には まだVirtuaRealを知らず、リアルタイムでライブを見られた今回は、最後の曲と共にエンドロールが流れている様に、大きな充足感を得られ、これからもVirtuaRealを見ていきたいと思いました。
公式番組の始動
今年の一番のビッグニュースは、「公式チャンネルより3Dによるレクリエーション番組」があったことです。新しく作られた空間にはライバーをモチーフとするぬいぐるみ(マスコッツ?)やこれまで公表されてきたビジュアルがポスターとなって部屋を彩ります。番組は約2時間で3Dを活かしたゲームを3つほどしています。ゲームで使用した素材は、初回放送のチャンバラ代わりのサカナ、ピコピコハンマー、罰ゲーム用の膨らむ風船があり、第2回では手の平サイズのもの(コップ)も使われました。第3回では身体に装着できるもの(笛や足枷/物体そのものは動かない)で繊細な表情や四肢の動きをわかりやすくなりました。
中国の3D事情(個人や企業所属に限らず業界全体における)には詳しくありませんが、毎シーズン開催される『冰火歌会』(bilibiliで活動するVtuberによるライブ)が見る度に3Dステージが煌びやかになっていて、「3D空間」への技術革新は感じています。一方、「3D物体」については各システムに依存するためか、なかなか見られませんでした。この番組はその現況に一石を投じたように思います。
個人的最注目配信「Liver家中最XXX物品大披露」
希维Sybil(しびる)による所謂「ライバーの私物大公開」配信。既に10回もの配信が行われた今年を代表する企画でした。 にじさんじ ではライバーが撮影した写真が配信や投稿されることは多くありません。この企画では、動画タイトルにもあるとおり「家(部屋)で一番○○なもの」を見せあいます。「一番厚い本」に始まり、2次元なもの、女子力の高いものなど質問もさることながら、参加したライバーらしい一枚を見ることができます。
その他の注目活動
学校との連携した活動もありました。日本の場合、専門学校のオープンキャンパスにゲストとして呼ばれていたのが思い出されます。VirtuaRealもバーチャルやテクノロジーを感じさせる活動がありました。
中国の技術大学の学祭ではAR技術でライバーが参加しました。(https://www.bilibili.com/video/BV1gG411j7bM/)左記の告知動画では、キャンパス内でスマホをかざすとライバーが現れるというもの。現実とバーチャルが繋がる体験が身近になっているのかもしれません。
学校の先生として授業したライバーもいました。
小学校の音楽の授業で教えているのは、VirtuaReal Linkの小可学妹Kero。ライバーの夢がこのような形で実現しているのはよろこばしいことです。
出会った人,別れた人
最近でも日本やNIJISANJI ENでデビューした方(バーチャル・タレント・アカデミー3期生/XSOLEIL)が注目されましたが、VirtuaRealでも今年は7人のライバーが活動を始めています。1月の16期生4人、10月の17期生3人はすっかりVirtuaRealに馴染んでいます。
一方で、この1年は特に多くの「さよなら」を聞いた気がします。3月には未羽Miyu(みゆ)、5月には绮楼Qilou(きろう)、11月には清良Kiyora(きよら),猫月Nyatsuki(にゃつき),有加plus(ぷらす),罗伊Roi(ろい),星也Seiya(せいや)、12月に花留Karu(かる)と相次ぐ卒業発表には、私も堪えました。
特に、罗伊Roi(ろい)は男性ライバーとして業界を牽引してきた印象が強く、別れを惜しむたくさんの声で溢れました。卒業の少し前に開催されたファンミーティングも大盛況に幕を閉じたようです。
周辺グループでは、1月に幽乐咩Ureme(VirtuaReal Star)が加入しましたが、9月に菫妃奈SumireHina、来年1月に金克茜Jinxy(両者ともVirtuaReal Rink)が卒業してしまい、見送ることの多い一年でした。
12月に中国向けのVirtuaRealの公式ホームページが更新されて、17期生までのプロフィールページが出揃ったものの、上記の8人の顔写真も紹介ページもなくなっていました。17期生デビュー時には50人を超えたものの今年の終わりの時点で40人弱となっています。
3Dモデル
今年の3Dお披露目配信は、7月下旬のVirtuaReal Linkの茶冷Karon、10月下旬の雪绘Yukie(ゆきえ)、11月半ばの花留Karu(かる)の3人だけでしたが、3Dを取り入れた配信が増えた1年でもありました。
特に雪绘Yukie(ゆきえ)は、昨年の夏日合唱ProMaxの時点で既に3Dを公開していましたが、今回のお披露目では髪型にアレンジを加えて(赤いリボンと三つ編み➜ピン留めとゆるめのおさげ髪)既に公開した3Dモデルに軽微のアップデートを加える手法は非常に新鮮でした。
日本と同様に3Dお披露目配信前にイベントや(多数のライバーが参加する)大型企画で3Dモデルを見せる例もありました。蕾米Remi(れみ) 弥希Miki(みき) 勾檀Mayumi(まゆみ)の3人は、新年の「VirtuaReal Music Mix UP!」で初めて3Dを公開して、4月にはそれぞれが「家用3D(にじ3D)」で配信しています。
さらに3D新衣装お披露目配信や〇周年記念ライブなど、節目の配信もあり3Dのライバーをたくさん見られるようになりました。
日本でもマスコッツの3D化という「人型でない生き物の3D」がありましたが、VirtuaRealでも頭身の小さいキャラクターも現れました。阿萨Aza(あざ)の配信でも彼のマスコッツが登場したり、6人の男性ライバーは3Dモデルを実装する前にQ版3Dの姿でゲームをしたりと愛くるしい姿を見せました。
国際コラボの活発化
これまで(YouTubeで確認できる中で/2020年内まで)も各配信アーカイブを見ると、主にマイクラなどで国際間のコラボが行われていましたが、今年はNIJISANJI ENの台頭によって国際間の交流がより盛んに見られるようになりました。そして、何よりも「APEXにじさんじカスタム」の開催や にじさんじフェス2022 の企画参加(VirtuaReal3Dステージ-VRFM出張版-/ガーデンステージ Day1)がVirtuaRealの知名度の向上につながったのは間違いないように感じます。
APEXやVALORANT,Overwatch2などのFPSゲームはもちろん、マリオカート(長尾景氏のYouTubeの配信アーカイブ)や麻雀(轟京子嬢のYouTubeの配信アーカイブ)などのコラボもあり、今後のコラボに期待してしまいます。
歌ってみた動画
ほぼ毎週誰かの歌ってみた動画が投稿されているのは日中両国共通しているようで、(長時間の配信に対して)短い時間でも楽しめるコンテンツとして人気です。この一年も日本でのアニメの楽曲や流行りの楽曲、洋楽など多彩な歌声を聴くことができました。その一部を紹介します。
『High Hopes』( https://www.bilibili.com/video/BV1qR4y1g7Bs/ )日本ではテレビコマーシャルで聞き覚えのある洋楽のひとつ。男女のハモリが美しい一曲。
『ユルファ(センラ×nqrse×luz)』( https://www.bilibili.com/video/BV1YG411H7Qy/ )VirtuaRealの歌ってみた動画から日本の曲を知ることも多くなった。
『夜に駆ける』( https://m.bilibili.com/video/BV1TW4y1h7h3 )日本で歌い手としても活動する4yenとゆう十とコラボした。
『Daddy! Daddy! Do!』( https://www.bilibili.com/video/BV1G54y1o7kP/ )3周年記念の配信での演目の一つ。5人の男性ライバーが男女パートそれぞれを歌っており、動画のMVで性転化した姿が見られる。
『Virtual to LIVE』( https://www.bilibili.com/video/BV1mF411j7th/ )ライブイベントの締めの曲として歌われるが、あるライバーの別れを同期が思って歌うこのアレンジは何度聴いても目が潤んでしまう。
『輝いて(ゾンビランドサガ フランシュシュ)』( https://www.bilibili.com/video/BV1Mq4y1F7Hy/ )VirtuaRealの全ライバーが出演しているネタ系歌ってみた動画。
『堕天(Creepy Nuts)』( https://www.bilibili.com/video/BV1gB4y1v7j2/ )「よふかしのうた」のOP曲。卡欧斯Chaos(かおす)は他にもアニメの曲を歌っている。
「bilibili動画は使い慣れていない」人向けの動画案内
VirtuaRealの活動のほとんどがbilibiliであり、日本の視聴者(特にVirtuaRealをもっと知りたい人)にとっては、アカウントを持っていなかったりbilibiliのサイトの使い方がわからなかったりすると、気軽に視聴しにくいかもしれません。加えてアカウントを持っていないと、チャンネル登録やコメントやスパチャができなかったり、高画質で見られなかったり、(スマートデバイスのブラウザで視聴すると執拗にアプリを勧めてきたり、)上記で引用してきたbilibiliのURLにアクセスすることに躊躇しているかもしれません。VirtuaRealを楽しむ第一歩として、2つの方法を紹介します。
①TwitterのVirtuaReal関連のアカウントから楽しむ
決して頻度は高くありませんが、何気ない日常や歌ってみた動画を呟いています。
②ニコニコ動画に投稿されている歌ってみた動画の切り抜き動画
記事の冒頭で触れた「VR周報」やにじさんじの動向をまとめた「彩虹周報」で編集を務める方が定期的に投稿している動画。各ライバーのbilibiliのチャンネルで視聴するのが一番ですが、ご新規さんはこれらの動画からお気に入りのライバーを見つけるのもいいかもしれません。
総括
にじさんじから遅れること1年後に活動が始まったVirtuaReal。私が彼らの存在を知った時の第一印象は「にじさんじの中国支部」でした。活動が中国やbilibiliであるため、中国版としてにじさんじとは異なる組織のように感じていました。しかし今では、3D技術を取り入れた配信の増加や企業とのコラボも見られ、日本の にじさんじ にはないQ版3Dや配信以外での活動など急成長を感じられます。実績から優劣をつけるより、異なる動画配信のプラットフォームでVtuberを運営する企業として今後も両国の発展を心待ちにしていきたいものです。