ジェネリックソルティライチ
「大学中退して心療内科に通い職を転々として結局生活保護を受け始めました、20代半ばの男です。好きなものはゲームと考えごとと何も考えずに過ごすこと。一番好きな飲み物はソルティライチ。」
これは私のnoteプロフィールに記されている文章である。
今の境遇の簡単な解説に歳と性別、好きなものの紹介に若干の対句法を取り入れてユーモアを発揮しつつ、脈絡なく好きな飲み物を紹介して締めとすることで虚脱感と滑稽さを醸し出すことを試みている。
自分で解説すると少し恥ずかしいが、まぁ、このようなプロフィールの書き方をして、若干の「自分はユーモアのある人間ですよ」というアピールをしている書き手は少なくないと思う。「ありがち」な手だ。
さて、この文章の「オチ」として使われている、「いちばん好きな飲み物はソルティライチ」という文について、最近少し動きがあったので、今日はそのことについて書いておこうと思う。
昨日、私は市役所での用事を済ませに行くついでにローソンに行って、現在実施中のFF14コラボキャンペーン商品を手に入れようと画策していた。
自宅からほど近いところにローソンがあるからそこで買おう、と高を括っていたのだが、それは勘違いで、私がローソンだろうと記憶していたコンビニは実際にはファミリーマートだった。思えばここでファミチキを買ったりした記憶もある。
勘違いしていた自分に呆れつつ最寄りのローソンをスマホで調べてみるが、これがどこも遠いのである。市役所付近にもローソンはあったが、「ここは市街地だしコラボグッズの競争率は高かろう」と思って見送ったのが間違いだった。
結局ファミリーマートには寄らず、私が最も利用するコンビニであるセブンイレブンで、弁当やら菓子パンやらを買って帰ることにした。
そして、そのセブンイレブンで、私は紙パックのライチ味飲料を見つけてしまったのだ。
手軽に塩分糖分補給、とある。これは紛れもなくソルティでライチな私の大好物の後発品だろう。
1L入りで100円と少し、500ml入りで80円くらいのソルティライチと比べるとかなり安い。
私はソルティライチが大好きなので常に1,2本500mlボトルの備蓄があるが、この日はなんとなく興味を駆られて買ってみることにしたのだった。
然して今日、夕飯の後にこいつを飲んでみたのである。
ソルティライチと比べてみると、明確に甘みが強い。私は自分の舌に自信がないので分からなかったが、果汁のものなのかそれとも甘味料によるものなのか、後味も若干ソルティライチと違う気がした。
しかし、私がソルティライチに求めている口当たりの良さであるとか清涼感であるとかはほとんど完璧に調整されている。
こういう発見があったとき、私は一消費者として結構悩む方だ。
好きな飲み物はソルティライチといった手前、多少高かろうがペットボトルが嵩張ろうがソルティライチを買い続けるべきか、あるいは安くてほとんど同じ美味しさのジェネリックソルティライチ(仮称)に乗り換えるべきか。
この悩みは例えばそうめんなんかを買う時にも発生していて、大人しく揖保乃糸を買うか、安くて量の多い商品を買うか、といったあの葛藤と同じ種類のものなのだ。私以外の消費者にも少なからずそうした躊躇いや迷いがあるものだろうと思う。
「安いものには安い理由がある(高いものもまた然り)」「メーカー及び商品の存続」「自分の仲のよく分からない拘り」といった文言が、今後私がソルティライチないしジェネリックソルティライチを手に取るたびに脳内に浮かび上がるわけだ。
私は私の消費によって私の好きなものを作っている人々にお金が行き届いてほしいと思っているので(私が現在依存している制度とは逆……というのはやや恣意的かもしれないが、相反する思想であることは間違いない)、基本的には「正規品」「フルプライス」を好み「中古品」などを避ける傾向があるが、どうしたものだろうか。
日々摂取する飲料などの百円数百円といった単位の話ならまぁ気分次第でいいわけだが、これが例えばゲームソフトを買うとかの話になってくるとまた変わってくるわけで、ソルティライチの話からかなり飛躍して、「生活保護下における消費一般について」みたいなことを考え始めてしまった。
話題が一貫せずに飛び飛びになってしまうのは私の悪癖と呼びうる性質の一つだ……と、また違う話になりそうなのでこの辺で切り上げよう。
ともかく、ソルティライチ及びジェネリックソルティライチに関しては、気分次第というか訪れた店舗次第で買うことになるだろう。
コンビニでは500mlのソルティライチが割高なのでジェネリックの方を買い、スーパーに寄れば500mlのやつを買う、といった感じでよかろう。
実は以前スーパーの店員さんに「ソルティライチの大きいボトルのやつって入荷しませんかね」と打診したこともあるのだ(店内で相談してみます、みたいなことを言われたはずだ)。夏真っ盛りの、ちょうどソルティライチが一番美味しいころだったと思う。
依然1Lのソルティライチは入荷しておらず、晩夏、というか早くも気温が乱高下する曖昧な季節になりつつあるが、ソルティライチはいつ飲んでも美味しいので、気分次第で自分の好きなものを買って飲んでいこうと思う。