よそ者だから見つけた松江の“推し”をブランディングで磨きをかける!~地域活性化起業人活動報告 #10~
はじめに
初めまして!地域活性化起業人として島根県松江市に派遣されている寺島奈実と申します。
私は2016年に入社し、当時はJR上野駅にある「ぐるなび情報ラウンジ」という観光案内所の運営を担当していました。インバウンド需要が右肩上がりで絶好調の時期でしたので、たくさんの外国人旅行者にお立ち寄りいただきました。その後、ECサイトのマーケティング担当になり、2022年12月からは、地域活性化起業人との二足の草鞋を履いております。
松江との出会い
私と松江の出会いは、大学4年生の頃。当時住んでいた横浜から、長崎の祖母の家まで青春18きっぷを使って行ってみよう!と思いつきます。横浜から長崎までの道中、食べたいものや見たいものがたくさんあり、どのルートにするのか散々悩みましたが、「日本夕陽百選」でもある宍道湖の夕日を雑誌で見かけて、「これは絶対に見たい!」と思い、松江経由で旅することを決めました。青春18きっぷは鈍行にしか乗ることができないので、移動時間の長いこと長いこと。初めての1人旅で緊張しており、松江に着くころにはヘトヘトになっていましたが、宍道湖で見た大きく輝く夕日はそんな私を優しく包み込んでくれました。そして、その美しさには、長旅の疲れが吹き飛ぶほど感動しました。
松江に住んだ後に知りましたが、松江は雨や曇りの日が多く綺麗な夕日を見られるのは稀なこと。「あの時の自分はラッキーだったんだ!」と嬉しくなりました。
松江の推しポイント
松江の観光と言えば、外せないのが国宝松江城!築城当時のままの天守閣が残るとても貴重なお城です。また、日本で唯一お城の周りのお堀を遊覧船に乗って、ぐるりと1周することができます。お堀にかかった低い橋の下をくぐる際には、船の屋根をこれでもか!というほど下げるのですが、これがまたアトラクション感があって楽しいんです。冬には船の中にこたつが登場するので、ぬくぬく温まりながら観光を楽しむことができますよ。
また、松江は、京都・金沢と並ぶ、日本三大菓子処であり、日本三大茶会が開催される場所なので、街を歩けば老舗の和菓子屋さんやお茶屋さんが軒を連ねています。日本三大蕎麦に数えられる出雲蕎麦発祥の地という説もあり、日本の伝統的な食文化を堪能できるのも、松江の魅力です。
観光客目線で街を歩いてみたら……
私の松江での主な仕事は特産品のブランディングです。
松江の特産品の筆頭と言えば、宍道湖のしじみ!
東京での松江特産品フェアにて、「松江」と聞いてイメージするものは何ですか?というアンケートを取ったところ「しじみ」と答えた方の割合は約6割で、過半数を超えました。
しかし、観光客目線で松江を歩いてみると、しじみの食べ歩きグルメがないことに気付きました。もちろん、居酒屋さんやホテルの朝食メニューにはありますが、滞在時間の限られた旅行者にはワンハンドで気軽に食べ歩きできる、テイクアウトメニューの提供が必要だと考えました。そこで、2023年3月に松江城そばにあるテイクアウト店と一緒に、山陰の魚介出汁や地元のお味噌を使った、テイクアウト用のしじみ汁を開発しました。
当初、1ヶ月程度のテスト販売ということでしたが、ふたを開けてみると大盛況!現在では、年間を通じて販売しています。
また、同年12月には、宍道湖の湖畔に佇むレストランと一緒にテイクアウト用のしじみのクラムチャウダーを開発。宍道湖にて夕日を眺める時間はちょうどお腹も空いてくる頃なので、具沢山のクラムチャウダーは、旅行者の方からご好評を頂いております。
出雲だるま×島根スサノオマジック「コラボだるま」
特産品の勉強をしている中で、「出雲だるま」の職人さんと出会いました。
だるまと言えば、群馬県高崎市が一大産地として有名ですが、高崎だるまのお顔は、眉が鶴、髭が亀を表しているそうです。
「出雲だるま」はと言うと、眉は水を司る「スサノオノミコト」をイメージした龍神、髭は荒々しい波と勾玉をあしらっています。
※島根は日本神話ゆかりの地で、スサノオノミコトを祀った神社も多数あります。
この地方特有のこのだるまを広く知ってもらうにはどうしたら良いものかと考え、松江で絶大な人気を誇る、B.LEAGUE所属のプロバスケットボールチーム、島根スサノオマジック様の必勝祈願アイテムとしてのコラボだるまを提案させていただきました。
島根スサノオマジック様のチームカラーであるブルーを基調とし、お腹にはチームロゴが入っています。出雲だるまの特徴のお顔はそのままに、お顔の右にはチームスローガンの「風を起こそう。」、左には「必勝祈願」を入れました。
こちらのだるまは、ふるさと納税返礼品としても出品されていて、返礼品の場合は背中に好きな選手の名前と背番号を入れることができます。
このコラボだるまを見た松江のある事業者様から、「カスタマイズ可能なら、会社の周年記念用にオリジナルだるまを作ってほしい」と注文が入ったそうです。私も、今後、訪問先にはこのコラボだるまを携えて行き、出雲だるまの認知拡大に努めたいと思っております。
オウンドメディアを活かした情報発信
松江でしばらく過ごすうちに、松江には「食」の魅力が詰まっていると感じる一方で、PR不足も否めませんでした。
そこで、食の感度が高いユーザーへのアプローチができる弊社のECサイト「接待の手土産」での松江グルメ特集のリリースを行いました。「接待の手土産」は、大切なビジネスシーンでの手土産、さらにプライベートでの贈り物・ギフト選びにもお役に立つ、至極の逸品を紹介するサイトです。松江グルメ特集では、歴史に裏打ちされた老舗の和菓子やお茶、こだわりぬいた材料で作るチョコレートや洋菓子などを、お店の紹介とともに掲載しています。弊社の記事サイト「ippin」にも、お店のこだわりをもっと詳細に取材した内容の記事を寄稿しておりますので、是非お読みください。
また、「ぐるなび ふるさと納税」での返礼品紹介や、「ぐるすぐり」での特産品販売も行っています。多数のオウンドメディアがあるということは、ぐるなびの大きな強みだと思っているので、今後もこれらをフル活用して、松江の特産品に関する情報発信を行っていこうと思います。
▼「接待の手土産」
職人技が光る!松江グルメ特集【PR】
https://gurusuguri.com/special/campaign/cp_matsue/?svcid=2
▼ippin
https://ippin.gnavi.co.jp/curator/terashimanami/
▼ぐるなび ふるさと納税松江市ページ
https://gurusuguri.com/shop/city_matsue/
▼ぐるすぐり
しまね和牛
https://gurusuguri.com/shop/tsuno_gmd/mym-01/
https://gurusuguri.com/shop/tsuno_gmd/mym-02
https://gurusuguri.com/shop/tsuno_gmd/mym-03/
https://gurusuguri.com/shop/tsuno_gmd/mym-04/
アダージョベリー
https://gurusuguri.com/shop/tsuno_gmd/ntn-01/
https://gurusuguri.com/shop/tsuno_gmd/ntn-02
https://gurusuguri.com/shop/tsuno_gmd/ntn-03
松江市のふるさと納税事業
私が派遣されている松江市役所商工企画課は、ふるさと納税の担当部署でもあります。
ふるさと納税はECサイトでの申し込みがほとんど=実物を見ることができないため、いかに美味しそうな写真を掲載するかが寄附額を大きく左右します。派遣直後、松江市ふるさと納税ページを拝見させていただき、ポテンシャルはあるものの、写真では美味しさが伝わっていない返礼品をピックアップして、フードコーディネーターやプロカメラマンで結成したチームによる写真の撮り直しを行いました。
写真の差し替えを行った返礼品の中には、大手ポータルサイトの特集や雑誌に掲載され、寄附額が前年の7.5倍程度増加したものもあり、無事に効果を出すことができて安心しております。
また、松江市にふるさと納税をしていただいた方に、寄附金の使い道をきちんとお伝えしたいと思い、市長や市民の方からのお礼メッセージ付きの動画の制作を行い、お礼状にQRコードを載せてお送りしました。動画の撮影は猛暑日で、出演頂いた方も大変だったと思いますが、嫌な顔一つせずにご協力いただき、素敵な動画に仕上がりました。
2024年の目標
松江ゆかりの文豪、小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)をご存知でしょうか?
ご存知ないという方も、耳なし芳一や雪女などをまとめた、小泉八雲の著書『怪談』は知っているという方も多いかもしれません。
実は、『怪談』が今年出版120周年を迎えるので、今は『怪談グルメ』や『怪談土産』の企画を考え中です。
地域活性化起業人の活動は、どれをとっても私1人でできるものではなく、松江市役所の職員の方や、地元の事業者様の多大なご協力があって、初めて進めることができます。
松江には「地域のために」と行動してくださる方や、チャレンジ精神旺盛な方が多く、いつも私の新しい提案に真摯に耳を傾けて下さり、本当に感謝しています。
今後も、よそ者視点だからこそのアイデアを発信していけるように、研鑽を重ねていきたいと思います!