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Fano Guitars - Alt De Facto RB6について①

Fano GuitarsAlt De Facto RB6、ライブやスタジオではサブですけど、自室では購入後ずっとメインのギターです。ツクリが抜群に良くて、昔から弾いていたギターかのように手に馴染みます。バランスの精度が高い。気に入ってます。

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アメリカのショップのオーダー品として販売されていたこのギターをネットで見つけて、やけに気に入ってしまい、国内の代理店を通さずにアメリカから直接購入しました。Melody MakerLes Paul Jr.あたりのジャカジャーンとやれるシンプルなギターが欲しくなって、ビンテージ中心に探しまわってたんですけど、なかなかピンとくるヤツに出会えないなあって、ちょうどそういうタイミングでしたわ。

スワンプアッシュのボディがナマ鳴りしまくりのP90サウンドです。重量は実測2.9kgくらいで軽さがちょうどいい。溝のないスタッドブリッジが板キレの上にビャッとナナメにくっついてる無骨なルックスはかなりこのみです。ファイヤーストライプのピックガードもアクセントになってる。チューニングもなかなか狂わないですし、オクターブも、ブリッジの両サイドにあるイモネジの調整でぜんぜん詰めていけます。プリミティブな機構であっても、ちゃんと作ってあるギターといった感じで素晴らしい。少しだけ歪ませてオープン気味のコードをストロークする用途でおもに使っていて、3WAYスイッチの位置はセンターが多いです。

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手を加えたくなるような要素は別にないと言えばないんですが、2点変更しています。ボリュームとトーンのコンデンサーとノブ。ポットの裏側と表側すね。

ハイパスコンデンサー

スタジオでメンバーと相談しながらもろもろを確認する時に小さい音で弾くコードの鳴りを良くしたくて、ハイパスコンデンサーを仕込みました。相談用とは、いかにもユルユルな動機で、なんでもいいからハイが残ってくれればいいやくらいに考えてたんですけど、いざやりだすと、絞ってこんなヘボくなるんなら別に要らんわと、すぐにコンデンサーを取り外してしまう。4つ5つ試してみたけど、どのコンデンサーも帯に短しタスキに長しって感じで。要は、最初からなんでもいいとなんて全然思ってなかったってことが判明したというか、、どうせやるならちゃんと気に入りたいんだなと。

今は、Sprague Wax 0.003μF 800VAllen Bradleyの470kΩ/1Wの抵抗を直列につないで、ボリュームポット(500kΩAカーブ)に入れてます。あれこれやった組み合わせの中で一番気に入ったわけですが、相対的に一番良かったというより、音色もカーブ具合もほぼ自分のイメージ通りになった。痩せずに雑味を含みつつ自然に枯れていく。

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ボディ裏キャビティ内
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Sprague Wax 0.003μF 800V
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Allen Bradley 470kΩ/1W

トーンコンデンサー

ついでにトーンの方のコンデンサも交換した。サウンド的には微々たる違いで、聴き手にはとうてい気付けないレベルの話ではあるんですが、弾く側にとっては、弦をこすった瞬間に感じるニュアンスの良さ、色づけの良さみたいなものが、モチベーションになったりもすると思ってます。元々は、SBEのOrange Drop 225P 0.022μF 100Vが付いていたので、出荷時のそもそもの狙いを想像しつつ。最初に、良いかもと思えたのは、Sprague 157P 0.022μF 100V。ドンシャリ気味の特性との情報があったので、あえてそのあたりを狙ってみた。トーン10では、デフォルトのOrange Dropの時よりもスルー気味になったけど、トーンを落としていくと、交換前よりもノブの回転に対してシビアにレスポンスするようになって、これでトーンノブもばりばり使えるなと確信。ネバりの少ないカラッとしたサウンド傾向、重心は高めで音のハリもほどほどにある。いい感じ。良くなった。

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Sprague 157P 0.022μF 100V

リハスタでもばっちり気に入って、なんの不満もなかったんですけど、うすぼんやりと、トーン周りの伸びしろ、たぶんまだもうちょっとあるんやろなあって予感がしてきた、あーほんとにめんどくさい人だ。で、Sprague 194P 0.027μF 100Vってコンデンサーを買って付けてみた。あああこれは今までのよりもガチ路線のやつやなとすぐ実感。音がデカくなったと同時にツヤとかハリとかが1段階上がった。157Pでは出ていなかったローミッドがくっきり出る傾向。鈴鳴り感、倍音感も強まった。このギター、本気出してきよったなって感じにはなった。まあでもだからといって最高でーすともいかないんですよね、こういうのって。このギター本来の魅力をスポイルしてないかとか、自分の用途的にこの方向性の音で楽しめるのかとか、スタジオで大きい音を出して他の楽器と一緒に鳴らしつつ判断していこうかなと思ってます。なんか違うならSprague 157Pに戻してまた考えよっと。

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Sprague 194P 0.027μF 100V

ノブ

デフォルトでは、テレキャスターやプレジションベースで使うような金属製のバーレルノブが装着されていました。ノブを回した時の感触、重みがあってスムーズで味気のない操作感があんまり好きじゃなかった。購入当初から交換しようと思ってたんですが、ピンとくるノブを見つけきれないまま9年経ってましたわ。

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Rickenbacker用のTVチャンネルノブ

で、たまたまネットでみた古い写真の中で、ジョンレノンが抱えたリッケンバッカーのノブを見つけてオッと思って、試しにフィッティングしてみたくなったっていう流れでした。いわゆる、TVチャンネルノブ(またはオーブンノブ、クッカーノブ、キャッツアイノブなど)と呼ばれるタイプです。Fano RB6のボディ形状は、おそらくRickenbacker Comboシリーズ(600とか850?)がモチーフであり、モデル名RB6のRBはおそらくRickenbackerてことでしょうし、まあ似合わないこともないんじゃないのと思って、4つセットのビンテージ品を4500円くらいで海外から購入。若干腹立つ値段ですけど、もし気に入らなくても、国内で売却すればこのチャレンジ代は回収できるんじゃなかろうか、もし気に入ったとしても残り2つを売れば、半分かそれ以上はペイするんじゃないかと踏みまして。。

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結果、かなり気に入りました、いい塩梅のビザール感。なにより、ノブの角度を見て漠然と今の状態を把握できるようになったことが一番うれしい。このギターを買って9年後にようやく出来上がったような気持ちになった。余った2つのノブも高値で売却できて万事うまくいった◎。

追記 : 2023年11月

昨今、とても高い値段でこのRB6が販売されているのを見て、自分用の覚え書きも含めて追記します。2012年10月にこのギターを新品で送料を合わせて2670ドルで購入しました。当時は、1ドル78円くらいでしたので、約21万円です。購入以降今日まで、今でもだいたい毎日さわります。20万出せば、これくらい高バランスなギターが手に入って妥当だなと感じますし、良いギターでよかったという満足感があります。ただ、(楽器に対して持つ価値観は人それぞれですし、書き方はむずかしいすが、感覚が伝わる人に伝われば、)このギターが円安や物価高騰の逆風の中で、ムリを押して50万、60万円を出して買うようなギターなのかと問われると、それはぜんぜん違うように私は思います。もろもろの要因で新品の楽器の値段もどんどん上がっている世の中が残念です。

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