『Outer Wilds』プレイ感想
宇宙探索してきました。
前半はゲームプレイの感想を書きます。後半は舞台設定とかについて感じたことを書きます。
あ、プレイログも一応ここに置いておきます。
気分を盛り上げるためにロールプレイっぽく書いてたプレイログです。最初のほうで「航行記録があればメモ要らないな」と思って内容が薄くなっていってます。あんまり詳細に書きすぎてもウソっぽい気がしたので、ざっくばらんに書いてる。けっして、詳細に書くのがめんどくさくなってきたわけではないぞ!
めちゃくちゃ親切で丁寧なゲーム
全体として、めっちゃ親切で丁寧なゲームだと感じた。これはまず前提として先入観があったのが大きかったかもしれない。Outer Wilds について「ネタバレに気を付けたほうがいい」と聞いて以来、入念に情報をシャットアウトして過ごしていた。その甲斐あって遊ぶ前に知っていたのは
なんかループするらしい
宇宙探索するらしい
やや難しいらしい
宇宙船の操作がクセモノらしい
ぐらいの情報しかなかった。で、いざ蓋を開けてみると、親切な箇所がスゴく身に沁みてくるように感じて「え、むちゃくちゃ親切じゃん!」ってなった。宇宙船の操作めちゃくちゃ分かりやすくて簡単じゃん。
実際に親切だと感じた理由は、大別して五種類ぐらいあるかな。
充実したチュートリアル
チュートリアル自体が冒険
探索の誘導の多さ
危険と論理を徹底して明示する公平さ
ゲームシステムに対する納得感の強さ
きっちり舗装された空間設計と体験
ループシステムの弱点を補う仕掛け
一つずつ見ていく。
充実したチュートリアル
木の炉辺を出発する前に基本をひととおり学べる。分かりやすい。段階を踏んでいるのもしっかり作られているところで、移動に慣れてきた辺りでシグナルスコープを使ったかくれんぼをする。その次は暗闇で、無重力で、と強度を上げていく。これらが Hearthian たちと交流する形でおこなわれるのも完璧だ。一周して最初のキャンプファイヤーのところに戻ってくるのは、設計が洗練されていることが明確に伝わってくる。この辺りの優れた設計は、もはやわざわざ書くまでもないだろう。
そしていよいよ出発!探査艇の操作、最初はたしかにてこずったが、非常に分かりやすいのですぐに慣れた。まずUIが分かりやすい。探査艇は水平移動だけ切り取ってみても360°自在に動けるわけだが、飛行軌道のズレ表示は上下左右の四方向に限定させてあるのがスゴい。大胆な簡略化。距離と速度の表示があるおかげで、体感ではなく数値として加速しすぎ or 減速しすぎなのかがハッキリと分かる。着陸ビューは最初どう使うのか分からなかったけど、やってるうちに「着陸するときは足元が見たいな」→「あ、ここで使えばいいのか!」となった。
探査艇については巧妙さを感じたのが二つあって、一つ目はまず単純にプレイヤーの操作と同じだという点。プレイヤーの操作に慣れてきたら探査艇の操作も慣れてくるし、その逆もしかり。もう一つ巧妙だと思ったのが、自動操縦システム。惑星に行くための操作が学べる。軌道を合わせて、加速して、近づいてきたら逆噴射で減速する。このプロセスを見せてくれる。自動操縦、これってつまりは“おてほんプレイ”なわけだけど、そうと感じさせない。Outer Wilds はチュートリアルをチュートリアルだと感じさせないのが抜群に上手い。
チュートリアル自体が冒険
刺激的な体験だが、実際はチュートリアル。これがとにかく丁寧さを感じさせられた。最初の無重力洞窟から楽しかった。後述するけど、初めてやるからねこんな無重力空間の操作なんて。そして、木の炉辺に限ったことではない。たとえば、軌道探査砲。コントロールモジュールに入るのがチュートリアルで、外側から発射モジュールに入るのが本番。幽霊物質は迂回方法をいろんな場所で学んでいって、最後が侵入者内部になる。しかもそれ自体がある種、順当なストーリーの語りになっている!
他にもある。量子試練の塔なんか最たるモノだし、太陽なき街で満ちていく砂の制限時間もそうだ。湖底の洞窟はその二つが掛け合わさっていて、量子×砂。高エネルギー研究所は砂×サボテン。サボテンが砂に埋もれてるなら安全に通れることを、進みながら学ぶ。そして最後に、灰の双子星の塔──太陽ステーションへ行くワープの塔が最終問題として提示される(これに関しては正攻法だったのかどうかあまり自信がないけど)
ワープもそう。正直なところ、ワープの仕組みは未だによく分かってない。でも、ホワイトステーションでワープを経験することでクリアまでいけた。とにかく特定のタイミングで紫色のプラットフォームに乗っていればいいと分かったからだ。しかしこれもワープのチュートリアルという感覚は一切無く、「うおおおホントにワープできたすげえええ!」という冒険になっている。
こうした刺激が、体験のすべてを吸収する姿勢をもたらし、いざ必要なときになんの違和感もなくスッと引き出せるようにさせる。探査艇が被害を報告してきたときに、「ヤバい修理しなきゃ!」と今までずっとそれをやってきたかのように自然と修理できたし、付近に幽霊物質を検知したときは素早くリトル・スカウトを構えていた。
探索の誘導の多さ
まったく誘導してこないゲームだと思って始めたら、ゴリゴリに誘導してくれて笑った。え、めっちゃ親切じゃん。
まずファーストステップとして、「Outer Wilds Ventures のメンバーはこの惑星とこの惑星とこの惑星に居るよ!」「詳しくはシグナルスコープで反応を探ってくれよ!」から始まる。次にメンバーに会うと、オススメの探索スポットを教えてくれる。そして航行記録でトドメ。これ便利すぎ。
伝聞モードが非常に分かりやすい。各情報のつながりは矢印で表示されるので一目瞭然だ。自分でメモを取る必要がまったくない。追いたい情報も選べる。表示サイズで謎のデカさも分かる。デカいヤツは一筋縄ではいかないことが伝わってくる。極めつけは探索の見落とし通知だろう。こんなシステム、気合い入ったプレイヤーなら「余計なことすんじゃねえ!!それを言っちまった時点で“作業”だろうが!!!」って吠えそうなもんなのに。僕はありがたかったです。
そして、個別のエリアでの誘導。これは全体通してシンプルに「とりあえず光ってるところ調べればOK」でまとめてる。こんなに親切なのに人を選ぶゲーム扱いされてるの?マジで?
今更だけど、誘導には二つある。【行って欲しいところに行ってもらう】と【行って欲しくないところに行かせない】だ。前者は既に見てきたとおりで、後者もきっちりやってる。これゲーム序盤は闇のイバラからプレイヤーを明らかに遠ざけようとしてるよね?名称が与える不吉なイメージと、物理的に遠いのと、木の炉辺でイバラの種を見せて「ヤバいところだから行くなよ」感をめちゃくちゃ演出してる。ゴリッゴリに誘導するやん。あと太陽ステーションもそうだな。見つけたけど、軌道を周回するのが速くて「太陽の近くで危ないし、外側から直接乗り込むの難しそうだし、後回しでいいか」ってなった。まぁ、こういうので逆に燃える人も居ると思うけど。
危険と論理を徹底して明示する公平さ
このゲーム、徹底して事前に危険を知らせてくれる。太陽や空洞のランタン、ブラックホール、巨人の大海の渦、アンコウ辺りは言うまでもない。脆い空洞だと、表面完全性という数値で知らせてくれる。幽霊物質は近づくだけで通知が来る。おかげで幽霊物質に一度も触れずにクリアした。
こうした公平さは、そのまま親切だと言える。ゲーム側はやろうと思えばいくらでもプレイヤーに対して騙し討ちをすることができるからだ。もちろんプレイヤー側が制作者側の裏を掻いて出し抜くこともよくあるが……いずれにしても、ゲームにおいてはゲームが正直に危険を知らせることがそのまま親切になる。当然、危険そのものはきちんと存在する。
このゲームで死んだシーンを思い返してみると、いずれも死んだのは次のようなときしかない。無謀なことをしていた。不注意。雑な動きをしていた。こういうシーンでしか死んでいない。とにかくフェアで、だからこそ親切なゲームだと感じた。
謎解き要素についても同様で、「こうすれば、こうなる」という厳格な論理がSF的カッチョイイ表現とともに示される。なので、SFについてまったく知らなくてもちゃんとゲームプレイが進められるようになっている。量子現象も分からんけど、なんとなく分かる感じ。
平たく言えば、騙し討ちをしてこないゲーム。こういうゲームはいいんだよな。
ゲームシステムに対する納得感の強さ
さっき書いた危険情報の開示や論理の一貫性と被るけど、とにかくゲームシステムに対する納得感がある。お仕着せじゃない感じというか、この宇宙が「ある」と思わせられる。まず表現に納得させられるスゴ味がある。火山弾とかブラックホールとかね。
たとえば、プレイヤーの動きと探査艇の動きが同じところ。これはゲームプレイとしてみると、相乗効果で操作が上達していく作用があってありがたいんだけど、それが別に違和感ない。酸素と燃料もそう。燃料が尽きたら酸素を代わりに使うのもそう。酸素が尽きたら死ぬのは当たり前。
とはいえ、三つほど納得感が弱いのがある。一つ目が航行記録。これは探査艇の装置、つまり Outer Wilds Ventures の装備品なので、ループ後の記録を保持することは不可能だ。「毎回超高速で入力してるんだよ!」とかそういう無理矢理な解釈になってくる。二つ目が、キャンプファイヤー前じゃないとうとうとできないところ。つまり自発的に目を閉じられないところね。もちろん、どこでも自由に時間の早送りができてしまったらいろいろと困るのは明白なので、しょうがないんだけど。でも量子的ふるまい移動するときに「わざわざ灯り消したりしなくても目ぇ閉じたらいいだろ!」って思っちゃう。三つ目、なんでサボテンは酸素放出してねえんだよ。これら三つ、なんか情報あったんかな?サボテンは明らかに光合成できなさそうな洞窟でもすくすく育っていたので、我々 Homo sapiens が住む地球のサボテンとはまったく違う生長システムを持つのかもしれない。
ところで、何気にとんでもないことに、ループするゲームのくせにループする時間の正確な表示が無いんだよな。時間の概念があるくせに、時計が無い。直前に音楽で通知するスタイル。最後の演出につなげる伏線でもある。
きっちり舗装された空間設計と体験
この宇宙では、各施設に至るまでの道のりがきっちりと舗装されている。南部観測所への道とか分かりやすかった。もうシンプルにアレだ。一人称視点ジャンプアクションゲーム!跳べ!翔べ!
ここで存在感を発揮するのが、酸素という第二のタイマーである。ていうか、ループ自体にはあんまり時間制限を意識しない。あくまでゲームプレイが22分ごとに区切られるだけという感覚がある。真の主役は酸素や脆い空洞の崩壊、燃えさかる双子星に降り積もる砂などだ。これらはとにかく恐れを振り払ってくれる。止まってても死ぬだけだと教えてくれる。ゲームプレイを前へ前へと推し進めてくれる。なんらかの施設に到達できるとだいたいすぐ近くに木が植えてあって「酸素うめぇえええええええ!」って吠える。いろんなところで毎回これ。完全にデザインされていて、手のひらで踊ってるんだけど、それが楽しいよね。
もう一つ、酸素と並ぶリソースが燃料なんだけど、こっちはなんとなくループに近い気がした。ループは22分でワンプレイなんだけど、燃料はそれよりもう少し小さい。探査艇の外でずっと活動し続けられないようにするための装置。「そろそろ探査艇に戻らないと」ってさせてくる。
酸素と燃料、二つのリソースが基本的なゲームプレイを引き締めていて、そこに時間経過による環境変化が対応を迫ってくる。のんびりしたかったらキャンプファイヤーの前でマシュマロ焼いてりゃいい。そしてそれら全体を22分にパッケージングしてある。そんなイメージ。
舗装された体験のなかで、ここ好きポイントを羅列します。まずイントゥクラゲ。
「この赤い光のところ、めちゃくちゃアンコウ居るじゃん……」
「その先に船があるんやで^^」
からの思わず息を止めてしまう通過シーン。太陽ステーションの対岸渡り。量子周り全部。酸素が美味しいところ全部。
もうほぼ全部楽しんでるじゃねえか。
ループシステムの弱点を補う仕掛け
「まだ探索するところがありそうなのに、今回のプレイが終わる!」というのがループシステムの弱点の一つなわけだけど、これもちゃんと考慮してある。主に二つの手法を取り入れていると思った。一つ目が、既に触れてるんだけど、航行記録の見落とし通知。取りこぼしてたらもう一度行かないといけないわけだけど、裏を返せばこの通知が来ないところはもう調べなくていい。
もう一つが、「実は近道ありましたー!」ってパターン。太陽なき街の重力砲の近くにある入り口とか、空中都市の氷河にある穴とか、闇のイバラで船を目指すなら赤い光に最初から行けばいいとか、その辺り。初回到達時は険しい道のりを進んでいく──ヒリつくような踏破体験があり、二回目以降はショートカットですぐに行って調べられる。これはまぁ、プレイヤーによっては「ゲーム側のズルじゃん」って言うかもしれないけど……個人的には【ショートカットも知識】としてるので一貫性があるように思えたな。
総評:めちゃくちゃ遊びやすかった
というわけで、めちゃくちゃ親切で丁寧なゲームだと感じたので、ひたすら遊びやすかったです。
こういう親切丁寧でフェアなところや舗装された道の印象から、「うおおおお!冒険ッ!未知の冒険ッ!」をそこまで感じなかったんだけど、それでも一つ一つの質が素晴らしいので、ずっと楽しかった。単純に面白いステージを一つずつ攻略していくような感覚だった。ちょいちょい詰まりはしたけど、なんとか攻略見ずにクリアできた。ちょうどいい難易度だった。
遊びへの感想
舗装された道が云々と語っていて、もう既に少し触れたけど、あらためて遊びについての感想。
量子
全体のゲームプレイで見たら、“量子ギミック”のシーンってごくわずかだと思うんだけど、それでもこのゲームの主役だと感じてしまう。存在感がスゴい。未だに量子試練の塔をちゃんとクリアできた気がしない。一人称視点のゲームであることに、より一層の意義や価値が出ていて素晴らしい。量子的ふるまい移動はホントに口開けて「すげー」としか言えない。
ジャンプと重力
実際のゲームプレイでは量子よりも、こっちが多いよね。
無重力空間を動き回るの、初めてやった。面白い!全方位360°動き回れるうえに、繊細な速度コントロールが求められるので、移動だけで複雑で歯応えがある。
重力水晶で真上に着陸!ひゅー!!これも楽しい。一歩踏み外すと真上に落下する。これも初めて体験した。おおむね【変則ジャンプアクション的な体験】という解釈で、新しくも馴染む感じがよかった。遊んだことのあるゲームでたとえると、『スーパーマリオギャラクシー』×『Portal』みたいなイメージ。重力薄めのところで加速するとスーパーマリオギャラクシーで幅跳びしたときみたいになって楽しい。思いっきり体ぶつけて痛そうな音がしても笑顔になっちゃう。
知識だけが鍵
最初からすべて一貫した論理で動いていて、プレイヤーは知識を得るだけで先に進めるようになる。この仕組みの弱点は、「テキトーにやってたらなんかよく分からんけど進んじゃった…」なんだが、錠前はかなり巧妙に作られていてきっちり考慮してある。大きい謎──灰の双子星プロジェクト、眼、船、探査機追跡モジュール、第六の場所──は、複数の錠前で構成されていて、たまたま解けるのはせいぜい一つ目の錠前だけだと思わせる作りで素晴らしい。加えて、一部の錠前はしっかりとひねってある。ここ好き。たとえば、量子的ふるまい移動。祭壇に入って、灯りを消して、扉を閉めて、ライトを消す。この四工程をたまたまやるのは難しい。クラゲを利用することは分かっても、どう利用するのかもきっちり考えないといけないところとか。それがそのままプレイヤーの知恵を試す体験になっているね。
これ攻略方法合ってる?って思ったシーン
二箇所あって、一つ目が太陽ステーションにワープする塔への入りかた。サボテンの上に砂があるうちに駆け抜けるっていうめちゃくちゃゴリ押し感がある方法で突破したんだけど、これ合ってる?
もう一つがブラックホールの鍛冶場への到達方法。「道が塞がってて行きかた分かんねえ!もういい!探査艇で直接乗り込んでやらあ!」で行った。これ合ってる?
Outer Wilds は宇宙の冷たさと人の温かさ、二つの性質を併せ持つ♠
すみません、言ってみたかっただけです。最初に書いたとおり、前情報を仕入れずに「なんか宇宙でムズいらしい」ぐらいの温度感で少しビクビクしながら始めた。
始まった。キャンプファイヤー暖けえ。マシュマロ?お、なんだこの優しいギターの音色は。子どもだ。……なんか、優しそう!温かそうだぞこのゲーム!ってなった。
各キャラクター所感
Hearthian の宇宙服、なんかやけに可愛くない?丸っこくて。
Esker、お前もっと素直に寂しいって言えよ!!絶対みんな会いに来てくれるって!!!
Riebeck、フォルムがめっちゃ好き。可愛い。大柄な臆病者、みたいなイメージある。そういうキャラ好きなんだよな。
Chert、ちっちゃい。可愛い。星そのものを愛している姿勢が好き。
Gabbro、仙人。最初会ったとき、渦に巻き込まれてこっちが悲鳴上げてるなか、堂々と寝転がった姿勢を保ったままハンモックの上に浮いてるの見て、「こいつは正気じゃない」って思った。タイムループ体験を共有してる唯一の人なので、気持ちが辛くなったらなんとなく会いに行ってた。
Feldspar、ループ無しで巨人の大海のコアに到達し、アンコウからも逃げ切る。それだけでもはやリスペクトの念しか湧かない。スゴすぎるよ兄貴……
Nomai 、好奇心旺盛で仕事?熱心で家族愛もあってジョークや恋愛もしてて……三つ眼があるところ以外は Homo sapiens としてもかなり共感できる種族だと読み取れる。とはいえ、ずっと文字の存在で距離がある。たまに量子知識の塔などで語りかけてくるのがドキッとする。そして終盤に SOLANUM に会う!ここでグッと距離が近づく感じもスゴい。コミュニケーション取りたくても取れなくて慌ててるこっちに対して的確にアプローチしてくれるところめっちゃイイ。宇宙飛行士が異星人に出会うのと、考古学者が古代人に出会うのが同時に来る感じ。「意外とふつーの人っぽいじゃん」みたいな嬉しさもあったな。最後に実は楽器も嗜んでたし、星の光を目指して切り株のうえで肩車するところから始まったってお前そんなんズルいよ。
音楽もスゴくよかったな。一つのフレーズを手を変え品を変え聞かせてくるスタイル、やっぱり好き。ひどい死にかたをしたあとに聞くギターがめっちゃ沁みる……
てな感じで、ところどころに温かい要素が入ってるのがよかった。とはいえ、やっぱり宇宙の冷たさは存分に味わったんだけど。探査艇から降りた状態でブラックホールに落っこちたときの絶望感ヤバすぎる。アンコウ怖い。
ラストシーンで感じたこと
まず、ラストシーンの前、ワープコアを取ってから死ぬとそのままエンディングになるところでグッときてしまった。「うわああちゃんとそうなるんだ!」っていう感動があった。灰の双子星内部で待ってると特殊演出が入るのも抜かりない。最後の宇宙航行の音楽演出も「こう来るかー!」という嬉しさがある。急に死ぬのが怖くなるし、あんなにループから抜け出したいと思っていたのに、いざ終わりが来ると寂しくなった。アンコウの近くを通るときの緊張感が増幅されてる。
で、ラストシーンにつながる。
頭がよくないうえに科学知識にもSFにも疎いので、よく分かってない。でもなんか分からされた気がした。めちゃくちゃアホな言いかたをすると、「なんか分からんけど、感動した!」になる。アホっぽい。
なんというか、半分くらいただ巻き込まれただけだと思ってたんだよな。結局のところ、超新星爆発は自然発生していたので止められず、しのぐ手立ても無いので、自棄になって宇宙の眼のところに行ったのよ。そのあとのシーンも、すべてが意味不明だった。意味不明なんだけど、なにか分かったような気にさせられた。
なんか恐ろしいうねりの空間に落下したと思ったら、博物館。「は?」最初に訪れた場所、最初にやったアクションが、終盤で様変わりしてるの好き。アンコウに辛辣なの笑った。誰も惜しまないことはないだろ。アンコウ悪くないだろ。
自分が居て、木が崩れて、キャンプファイヤーができて、Esker が居る。みんなを集める。各キャラクターの象徴がそのまま謎解きっぽくなるのがスゴい。ゲームプレイが演出だし、演出がゲームプレイ。Gabbro の詩、ここで来るのかうわあああああ!それはヤバい!!
そして最後のセッション。流れとか完全に意味不明だけど、こういうの好き。そして超新星爆発。スタッフロール。
宇宙の終わりだけど、それは始まりだったんだと。超新星爆発ってつまりビッグバンのことで、それはある宇宙の終わりだけど、始まりでもある。終わりは始まり。自分はループから抜けたけど、宇宙は再び繰り返す。
22分の繰り返しで、自分も宇宙になっていたんじゃないかって気がした。宇宙を体験していた。始まって、終わって、そしてまた始まる。果ては宇宙の眼と同化し、宇宙になったとも言える。ループするのって、単に巻き込まれただけだと思ってたんだけど、そうじゃなかった。全部つながってた。そんな気がした。
幽霊物質も、ずっと存在は知っていたけど、これはなんなのか。彗星内部に幽霊物質が濃縮されていたらしい岩は、破裂しているように見えるが、そのときなにが起こったのか。そもそもなぜ Nomai は滅んだのか。最後にスパンと明かされる。
なんで最後にみんなで演奏するのか、これも意味不明。意味不明なんだけど、音楽って文明の象徴だな。キャンプファイヤー、火もそう。知的生命体の生きた証。紡ぐモノなんだ。音楽って一音一音はただの音でしかないけど、つながることで意味を成し、あつまることでより輝く。そして終わりがある。星と、宇宙と同じだ!Outer Wilds Ventures のメンバーは星だったんだ。Nomai の遺した文字も同じだ。壁画もそう!木がタイトルロゴにもなっているのは、成長し、火を生み出す文明の始まりであり、酸素を生み出す命の始まりだからだ。光を目指した太古の Nomai たちが、自分たち Homo sapiens の歩みと重なるように──あのシャトルの超速航行のようにものスゴい速度で胸に届いてくる。全部つながってる。繰り返したループの旅が全部つながってる。目が覚めるたびに見える軌道探査砲から発射されるあの長距離探査機は──あの光は自分自身でもあったんだ。
まるで太陽が超新星爆発するみたいに、これまでの旅で見聞きしたすべてが一つになったような気がした。
Chert が言うように、たとえ星に消されるとしても、星は美しい。たとえ消されるとしても、何度見ても超新星爆発の輝きは美しかった。たとえすべての銀河が消えるとしても、美しい。
始まりは好奇心だった。あの光を目指した太古の Nomai。宇宙の眼を目指した Nomai。アトルロックに着陸するところから始まった Hearthian の Outer Wilds Ventures。そのひよっ子として宇宙へ旅立った自分。終わりも好奇心だ。「宇宙の眼と同化したらなにが起こるんだろう?」という自分の好奇心が終わらせたんだ。そして宇宙の眼と同化する直前に、自分が打ち出したリトル・スカウト。あれがまた始まりなんだ!!あのリトル・スカウトは、きっと誰かを呼ぶ。あるいは、宇宙を探索し始めた誰かのリトル・スカウトなのかもしれない。
その宇宙には、アンコウもきっと居るはず。