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福井県教員採用試験の小論文は何がでる?過去10年間の問題を紹介

 福井県教員採用試験で多くの受験者が苦手とするのが、「論文試験」です。

最近はICT端末(スマホやタブレット等)の普及により手書きで文章を書く機会がほとんどないと思いますが、論文試験では、テーマに沿って自分の考えを論理的に書かなければいけません。

そもそも論文自体をまともに書いたことがなかったり、習っていなかったりするためかなり難しいと言えます。

【Pick Up】論文と作文は別物?
 論文は、小・中で書いた読書感想文(作文)とは構成も書き方も違うので、そのままのニュアンスで書くと評価は上がりません。詳しくは「【模範解答例あり】教員採用試験の論文が書けない理由と対策法を解説」で解説しています。

 論文試験は、「テーマの傾向」と「書き方」を把握することで攻略できます。

闇雲に論文対策をするのではなく、福井県教員採用試験の論文攻略にはどんな知識が必要なのか知って、書き方を知り、自身の経験を流し込めば、それだけで最低限の答案が完成します。

 本記事では、過去に出題されたテーマ10年分を紹介します。

福井県教員採用試験 小論文の過去問

 ここでは、福島県教員採用試験の小論文で出題されたテーマをまとめています。

※掲載年度:令和4年度~平成25年度
※文字数は810字以内
※試験時間は60分

 詳しい傾向を「【最新過去問あり】福井県教員採用試験の小論文を解説! 」でまとめています。

令和4年度(2022年度)

※養護教諭、栄養教諭は授業を教育活動に置き換えて出題

 次の文は、令和3年1月26日に中央教育審議会が取りまとめた「『令和の日本型学校教育』の構築を目指して(答申)【概要】」にある「2020年代を通じて実現すべき『令和の日本型学校教育』の姿」について述べられたものの一部である。

【教職員の姿】
◎ 学校教育を取り巻く環境の変化を前向きに受け止め、教職生涯を通じて学び続け、子供一人一人の学びを最大限に引き出し、【主体的な学びを支援する伴走者としての役割】を果たしている。

 あなたは、【 】の「主体的な学びを支援する伴走者としての役割」を果たすために、児童生徒たちにどのような授業を行いますか。また、そのような役割を果たすために、あなた自身は教員としてどのような資質・能力を高めるとよいと思いますか。次の3つの点に留意し、800字程度で論じなさい。
 なお、あなたの受験校種・教科等(併願受験で2つとも2次選考試験を受験している場合は第1希望)を明記し、それに適した内容とすること。

① あなたが考える「主体的な学びを支援する伴走者としての役割」とはどのようなことかを明らかにして論じること。
② 「主体的な学びを支援する伴走者としての役割」を果たす授業とは、どのような授業かを具体的に説明すること。
③ 上記②の授業を行うために、どのような研鑽を積み、教員としての資質・能力を高めるとよいか具体的に論じること。

令和3年度(2021年度)

※養護教諭、栄養教諭は授業を教育活動に置き換えて出題

 次の文は、第3期(令和2~6年度)福井県教育振興基本計画(概要版)の基本理念について述べた文の一部分である。

 予測困難なこれからの時代において、子どもたちが将来、夢や希望を実現し、地域の担い手として活躍していくためには、一人一人が個性を発揮して、自らの可能性に挑戦し、一人では解決が困難な課題についても、多様な人々と協働しながら乗り越えていく力が不可欠です。
 こうした力を育てていくため、子ども自身の個性に気づかせ、伸ばしていく「引き出す教育」や、教員がすべてを教え込むのではなく、知的好奇心や探究心を持って、学びを自ら進んで【楽しむ教育】を進めていきます。

 あなたは、【楽しむ教育】を進めるために、どのような授業を行うとよいと考えますか。また、そのような授業を行うために、あなた自身は教員としてどのような資質・能力を高めるとよいと思いますか。次の3つの点に留意し、800字程度で論じなさい。
 なお、あなたの受験校種・教科(併願受験で2つとも2次選考試験を受験している場合は第1希望)を明記し、それに適した内容とすること。

① あなたが考える「楽しむ教育」とはどのような教育かを明らかにして論じること。
② 「楽しむ教育」を進めるための授業とは、どのような授業かを具体的に説明すること。
③ 上記②の授業を行うために、どのような研鑽を積み、教員としての資質・能力を高めるとよいか具体的に論じること。

令和2年度(2020年度)

※養護教諭、栄養教諭は授業を教育活動に置き換えて出題

 平成29年3月に小学校及び中学校、4月に特別支援学校(小学部・中学部)、平成30年3月に高等学校及び特別支援学校(高等部)の新しい学習指導要領が公示された。次の文は、今回改訂された学習指導要領の主な改訂点である。

〇 教育基本法、学校教育法などを踏まえ、これまでの我が国の学校教育の実践や蓄積を活かし、子供たちが未来社会を切り拓くための資質・能力を一層確実に育成する。その際、子供たちに求められる資質・能力とは何かを社会と共有し、連携する「社会に開かれた教育課程」を重視する。
〇 知識及び技能の習得と思考力、判断力、表現力等の育成のバランスを重視する現行学習指導要領の枠組みや教育内容を維持した上で、知識の理解の質をさらに高め、確かな学力を育成する。
〇 道徳教育の充実や体験活動の重視、体育・健康に関する指導の充実により、豊かな心や健やかな体を育成する。

 あなたは、「確かな学力」を育成するためにどのような授業を行いますか。また、そのような授業を行うために、あなた自身の資質・能力をどのように高めようと考えますか。次の3つの点に留意し、800字程度で論じなさい。なお、あなたの受験校種・教科(併願受験で2つとも2次選考試験を受験している場合は第1希望)を明記し、それに適した内容とすること。

①「確かな学力」とはどのような学力かを明らかにして論じること。
②「確かな学力」を育成するための授業とは、どのような授業かを具体的に説明すること。
③上記②の授業を実践するために、どのような自己研鑽をするか具体的に論じること。

平成31年度(2019年度)

 次の文章は、平成27年12月21日の中央教育審議会の答申「これからの学校教育を担う教員の資質能力の向上について~学び合い、高め合う教員育成コミュニティの構築に向けて~」からの抜粋です。

〇 新たな知識や技術の活用により社会の進歩や変化のスピードが速まる中、教員の資質能力向上は我が国の最重要課題であり、世界の潮流でもある。

 あなたは、自分自身の教員としての資質能力をどのように向上させていきますか。次の3つの点に留意し、800字程度で論じなさい。なお、あなたの受験校種・教科(併願受験で2つとも1次試験を通過している場合は第1希望)を明記し、それに適した内容とすること。

① あなたが向上させたい資質能力を具体的に説明すること。
② 上記の資質能力を向上させる必要性を、具体的に論じること。
③ 上記の資質能力を向上させるために、どのような努力や実践を行うのか、具体的に論じること。

平成30年度(2018年度)

 次の文章は、平成27年8月に中央教育審議会教育課程企画特別部会の論点整理を抜粋・改編したものです。

 特にこれからの時代に求められる資質・能力将来の予測が困難な複雑で変化の激しい社会や、グローバル化が進展する社会に、どのように向き合い、どのような資質・能力を育成していくべきか。

 上記の文章を読んで、次の3つの点に留意し、論じなさい。なお、あなたの受験校種・教科(併願受験で2つとも1次試験を通過している場合は第1希望)を明記し、それに適した内容とすること。

①「将来の予測が困難な複雑で変化の激しい社会や、グローバル化が進展する社会」とはどのような社会であるのか、例を1つあげて具体的に説明すること。
② ①で説明した社会に対する児童生徒の向き合い方について論じること。
③ ②で論じた向き合い方に対応するため、児童生徒にどのような資質・能力を学校教育の中で育成していくか論じること。

平成29年度(2017年度)

 次の文章は、平成27年12月に中央教育審議会が答申した「これからの学校教育を担う教員の資質能力の向上について~学び合い、高め合う教員育成コミュニティの構築に向けて~」の要約版の一部を抜粋・改編したものです。

2.これからの時代の教員に求められる資質能力
○ これまで教員として不易とされてきた資質能力に加え、a自律的に学ぶ姿勢を持ち、時代の変化や自らのキャリアステージに応じて求められる資質能力を生涯にわたって高めていくことのできる力や、b情報を適切に収集し、選択し、活用する能力や知識を有機的に結びつけ構造化する力。
○ cアクティブ・ラーニングの視点からの授業改善に対応できる力量、d道徳教育の充実に対応できる力量、e小学校における外国語教育の早期化・教科化に対応できる力量、f ICTの活用に対応できる力量、g発達障害を含む特別な支援を必要とする児童生徒等への対応ができる力量。
○ h「チーム学校」の考え方の下、多様な専門性を持つ人材と効果的に連携・分担し、組織的・協働的に諸問題の解決に取り組む力。

 上記の資質能力について、次の3つの点に留意し、論じなさい。
 なお、あなたの受験校種・教科(併願受験で2つとも1次試験を通過している場合は第1希望)を明記し、それに適した内容とすること。

①これまで教員として不易とされてきた資質能力とは何かを論じること。
②教員に新たに求められる資質能力について、下線部a~hから1つ選択し、それが求められるようになった背景について論じること。
③不易とされてきた資質能力と新たな資質能力をあなた自身がどのように高めていくかを論じること。
・「不易」については①で記入したものについて論じること。
・新たな資質能力については、②で選択したものについて論じること。
・新たな資質能力については、解答用紙に記入するときは、記号を用いて選択した資質能力を表すこと。

平成28年度(2016年度)

 次のア〜エの文章は、教育に関する名言や格言である。

ア 教育は科学であってはなりません。それは芸術でなければならないのです。(シュタイナー)
イ 平凡な教師は言って聞かせる。よい教師は説明する。優秀な教師はやってみせる。しかし最高な教師は子どもの心に火をつける。(ウィリアム・ウォード)
ウ 学校で教えることも必要だけれども、教えるのは過去のことなんだ。ほんとに必要なのは未来なんだな。(本田宗一郎)
エ 教師はろうそくのようなもので、自ら燃やし続けて生涯を啓発する。(ルーファニー)

 上のア〜エの名言・格言の中から、あなたが最も共感できるものを1つ選び、次の3つの点に留意し、論じなさい。
 なお、選択した名言・格言(ア〜エの記号で表記すればよい)と、あなたの受験校種・教科(併願受験で2つとも1次試験を通過している場合は第1希望)を明記し、それに適した内容とすること。

①あなたが選んだ名言・格言の意味と、選んだ理由。
②選択した名言・格言を教育の現場で生かすために、具体的にどのような教育実践を行うか。
③②の教育実践を行うために、あなた自身はどのように教員としての資質を高めていくか。

平成27年度(2015年度)

 次の文章は,平成26年3月31日に,「育成すべき資質・能力を踏まえた教育目標・内容と評価の在り方に関する検討会」で取りまとめられた記述の一部を抜粋したものです。

 今後育成が求められる資質・能力の枠組みについて,諸外国の動向や国立教育政策研究所の「21世紀型能力」も踏まえつつ更に検討が必要である。その際,自立した人格を持つ人間として他者と協働しながら,新しい価値を想像する力を育成するため,例えば,(以下7つの力)「主体性・自律性に関わる力」「対人関係能力」「課題解決能力」「学びに向かう力」「情報活用能力」「グローバル化に対応する力」「持続可能な社会づくりに関わる実践力」などを重視することが必要と考えられる。また,我が国の児童生徒の実態を踏まえると,受け身ではなく,主体性を持って学ぶ力を育てることが重要であり,リーダ-シップ,企画力・創造力,意欲や志なども重視すべきである。人としての思いやりや優しさ,感性などの人間性も大事である。

 文章の7つの力の中から,あなた自身が一番大切な力であると考えるものを1つ選び,次の4つの点に留意して論じなさい。

①選択した力と選択理由。
②選択した力とは具体的にどのような力か。
③選択した力を子どもたちが身に付けるために,どのような教育を実践すべきか。具体例を示すこと。
④③を実践するために,これまでに自分自身が準備してきたことは何か。

平成26年度(2013年度)

 次の文章は、福井県教育委員会から出された『福井県教育振興基本計画』(平成23年9月)の中の、第3章「本県がめざすべき教育の姿」の一部を抜粋したものです。この文章を読み、以下の課題に答えなさい。

 グローバル化、少子高齢化が進む中、日本の基礎科学や技術開発力、産業競争力の低下が懸念されています。次の世代を担う子どもたちが、この激動の時代を生き抜くための多様な能力や資質を身に付けることは急務であり、教育の充実は、私たちの最も大きな責務の一つです。また、本県は、子どもたちの学力・体力の全国調査の結果等から、教育県・福井としての評価が定着しつつあります。学力が向上することは、子どもたちに学ぶ楽しさや喜びを与え、さらに学ぶ意欲や挑戦する気持ちを喚起させるとともに、「生きる力」の基礎を作り、ひいては子どもたちの将来への可能性を広げることにもつながります。
 そこで、福井県教育振興基本計画において、福井県の教育の基本理念を『夢と希望に向かって、豊かな心でたくましく生きる力を育む 教育県・福井』とします。地域全体の高い教育力をベースに、豊かな心とたくましく生きる力を育み、将来、社会人として自立し活躍できるよう、子どもたちが自らの将来に「希望」を持って粘り強く学び、行動する「挑戦力」を最大限に伸ばす教育を、県民や企業などの幅広い協力と参加の下で推進します。そのため、教員が子ども一人ひとりと向き合って、基礎・基本を重視した教育を進めます(「ていねいな教育」)。

1 学力の向上については、学力調査の結果分析を徹底し、一人ひとりの課題解決に重点を置き、少人数教育によるきめ細かな指導により、基礎・基本の定着を図るとともに、読解力や活用力の向上をめざした授業づくりを進めます。

2 体力の向上については、体力・運動能力テスト等の結果分析を基に、体力向上をめざした学校体育を進めるとともに、運動部活動において、一人ひとりの資質や能力と種目の特性に応じた指導法等により、より高い技能の習得を図るなどして、スポーツの楽しさや喜びを味わえるよう進めます。

3 家庭・地域と連携しながら、道徳教育や人権教育、ふるさと教育、文化に親しむ環境づくりなどを進め、基本的な生活習慣の確立や規律ある態度の育成、豊かな心の醸成を図ります。さらに、一人ひとりの資質や能力をより一層伸ばすため、子どもたちが自信とグローバルな視野を持ち、夢や希望に向かって挑戦しようとする基礎を築きます。(「きたえる教育」)。

〇学力・体力の基礎を養う幼児期から高等学校にいたるまでの接続を重視した「福井型18年教育」を確立するとともに、英語教育やサイエンス教育を充実し、挑戦する意欲や応用力、創造力を育みます。

〇運動部活動への地域指導者の導入や複数校合同での練習、総合型地域スポーツクラブや各競技団体との連携を通して、ジュニアから成年までの競技力の向上を目指します。

〇第一人者とのふれ合いや地域で活躍している専門家との交流、豊かな自然の中での体験活動をはじめ、文化活動、社会貢献活動等を通して、ふるさとへの誇りや社会に貢献しようとする意欲を育みます。これらの方針に基づいて、学校・家庭・地域をはじめ地元企業や大学等県民全体の教育力を結集し、次の時代を担う「人づくり」を進めます。〈福井県が進める「人づくり」〉

1 知・徳・体のバランスがとれ、生涯にわたって自らの夢や希望の実現に努力する人
2  地域社会や文化の創造に積極的に参画する人
3  ふるさとへの誇りとグローバルな視野を持ち、主体的に行動する人

 「福井県が進める『人づくり』」の一つとしてあげている「ふるさとへの誇りとグローバルな視野を持ち、主体的に行動する人」を育てるために、あなたはどのようなことに取り組みますか。
 教師としての立場から具体的に論じなさい。なお、自分の受験校種・教科(併願受験で2つとも1次試験を通過している場合は第1希望)を書き、それに適した内容にすること。

平成25年度(2012年度)

 次の文章は、中央教育審議会「教員の資質能力向上特別部会」(平成24年5月)から出された『教職生活の全体を通じた教員の資質能力の総合的な向上方策について(審議のまとめ)』の中の「これからの教員に求められる資質能力」に関する記述の一部を抜粋したものです。この文章を読み、以下の課題に答えなさい。

これからの社会で求められる人材像を踏まえた教育の展開、学校現場の諸問題への対応を図るためには、①社会からの尊敬・信頼を受ける教員、②思考力・判断力・表現力等を育成する実践的指導力を有する教員、③困難な課題に同僚と協働し、地域と連携して対応できる教員が必要である。

 上記の①~③のうち、あなたが特にめざしたいと思うものを一つ選び、選択した理由を自分の経験を踏まえて書きなさい。
 さらにそのような教員になるためにはどのようなことに取り組むとよいかを考え、具体的な取組を2つ書きなさい。

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