ベストゲームサントラ2022
■はじめに
今年もツイッター上でベストゲームサントラ2022のタグで皆様に今年のゲーム音楽についてお話頂きました。
この企画は、今年1年のゲーム音楽がどうだったのかを振り返って頂き、皆様とゲーム音楽について話す機会になればと思い開催しております。
選出ルールは、今年聞いたものであれば新作・旧作問わず何でもOKとしておりますが、私は毎年その年に発売された新作サントラ(又は初音源化された)CDからトップ10を選出してお届けしております。これは皆様に新作のゲームサントラCDがどのようなものがあったのか?に関心を持ってもらい、少しでも新作のゲームサントラが発売される機会を作っていきたいという思いからそのようにしております。
新作のゲームサントラは、毎年そこそこ購入する為、あれも良かったな、これも良かったなとなり選出には毎年かなりのエネルギーを要しますが、熟慮を重ね頑張って選んだつもりです。選出の基準は、完全に私の主観と好みによって選出されており、ゲームのプレイ時間や進行度に関しては時間的な制約もあり全てが同じ基準というわけではありません。
また、なるべく多様なタイトルを選出したいという思いもあり、同一タイトルのサントラはまとめて選出するという形を取っております。なお、選出対象とした音源は全て購入して試聴している事もお伝えしておきます。
■惜しくもトップ10を逃したタイトル
・アリス・ギア・アイギスCS オリジナルサウンドトラック
・モンスターハンターストーリーズ2 ~破滅の翼~ オリジナル サウンドトラック
・Tales of ARISE ORIGINAL SOUNDTRACK
・LIVE A LIVE HD-2D Remake Original Soundtrack
・Tactics Ogre: Reborn Original Soundtrack
・英雄伝説 黎の軌跡 SUPER ULTIMATE
・白き鋼鉄のX2 サウンドトラック
・奇々怪界 黒マントの謎 オリジナルサウンドトラック
・ペルソナ5 ザ ロイヤル オリジナルサウンドトラック
・ペルソナ5 スクランブル ザ ファントム ストライカーズ オリジナルサウンドトラック
・ソルクレスタ オリジナルサウンドトラック
・ソフィーのアトリエ2 ~不思議な夢の錬金術士~ オリジナルサウンドトラック
・アカとブルー TYPE-PCE オリジナルサウンドトラック
・艦隊これくしょん -艦これ- KanColle Original Sound Track vol.VII 【夕】
・SQUARE ENIX JAZZ CHRONO TRIGGER
・NieR Replicant ver.1.22474487139... Choir Arrangement Album
・サイコドリーム オリジナルサウンドトラック
・アリス・ギア・アイギス オリジナルサウンドトラック Vol.5
・STRANGER OF PARADISE FINAL FANTASY ORIGIN Original Soundtrack
・GUILTY GEAR -STRIVE- ORIGINAL SOUNDTRACK
・グリムグリモア OnceMore オリジナル・サウンドトラック
・HADES サウンドトラック
・モンスターハンターオーケストラコンサート 狩猟音楽祭2022
まずは、最後の最後までトップ10に入れようか迷ったサントラをご紹介。
昨年・今年発売の新作ゲームのサントラだったり、今の時代にそのサントラが出ますか!?というタイトルから様々です。「モンスターハンターストーリーズ2」や「Tales of ARISE」や「ペルソナ5 ザ ロイヤル」は私も推しているタイトルだったので、本当に迷いました。「奇々怪界 黒マントの謎」のような私がかつて聞いてきた所謂"ゲームサウンド"感のあるサントラも大好物です。「LIVE A LIVE」「Tactics Ogre: Reborn」といったタイトルの音楽も色褪せない所か、今なお燦然と輝くサウンドで、改めて聞き直してもグッとくる音楽です。
アレンジCDは「SQUARE ENIX JAZZ CHRONO TRIGGER」がとっても良かったです。SQUARE ENIX JAZZ シリーズは、今後もぜひ続けて行ってほしいですね。
■トップ10
10.真・女神転生V オリジナル サウンドトラック
トップ10最初のタイトルはメガテン5のサントラ。メガテンサウンドは、正直言うと昔のタイトルの方が好きだったりします。特に3以前のタイトル。
昨今のオープンワールド系のゲームって、フィールドBGMを環境音っぽくしたり、BGMに徹するタイトルが多くメロディーをしっかり聴かせるという事をしないタイトルが多い印象です。メガテン5も最初のフィールドがそういう感じで、あまり好きにならないかも?と思いながらプレイしていましたが、今作独特の乾いたサウンドがじわじわと侵食してきていつの間にかハマっていた印象です。バトル曲の魅力は流石メガテンと言った所です。
メガテン伝統と言えるゴリゴリのロックサウンドというわけではないんですが、バリエーションが豊かな音楽でニューウェイブやアンビエントのような要素も多く既存のファンには少し響きが悪いかもしれませんが、これも新たなメガテンサウンドへの過渡期なのかもしれません。
9.スターオーシャン6 THE DIVINE FORCE ORIGINAL SOUNDTRACK
2022年は3大桜庭サウンドが出揃うという奇跡の年でした。「Tales of ARISE」「VALKYRIE ELYSIUM」「スターオーシャン6」ですね。その中でのハマり度で言えば、個人的にはこの「スターオーシャン6 THE DIVINE FORCE」でした。スターオーシャン6はTGSで初めて試遊しましたが、その時もタイトル画面の音楽をじっくり聴いた時から「あぁ~スタオが帰ってきた」と感じたものです。本作はダブルヒーローシステムがされていますが、戦闘曲が主人公によって変わるのは嬉しい仕様でした。レイモンドは荒々しい感じに、レティシアはクラシカルで厳かな感じとキャラクターの個性がしっかりと表現されているなというのが第一印象でした。(スタオの話ではないですが)ただ、昨今の桜庭サウンドはちょっとプログレ成分が足りないと感じるのは、私だけでしょうかね。
8.ソウルハッカーズ2 オリジナル・サウンドトラック
ソウルハッカーズの新作などもう無いと思っていました。そこに突然現れたソウルハッカーズ2には本当に驚きましたが、既存ファンの反応は正直イマイチでしたね。ビジュアル・世界観も一新されお洒落な感じになったなという印象でした。サウンドはアトラスが担当と思いきやMONACAだったので少し驚きましたが、それが逆に上手くハマッたなという印象です。特にロケーションの音楽が気に入っています。セーフハウス、Zafiro、華楽町、萬世レルム、Barヘイズルーンは気に入っていて作業用サウンドとして流しておくと、とても心地よいです。もちろん通常バトル曲もオススメ。
蛇足ですが、ソウルハッカーズ2の限定版に付属していた「SOUL HACKERS 25th ANNIVERSARY MUSIC ALBUM」の方がオススメだったりしますが、こちらは単品のサントラとして発売されたものではないので、選定ルール上除外しています。ソウルハッカーズファンやアトラスサウンド好きにはこっちを聴いて欲しいです。
7.Sonic Frontiers Original Soundtrack Stillness & Motion
ソニックシリーズの音楽はゲーム音楽好きには評価が高く、ソニックフロンティアは久々のソニックシリーズのマザーシップタイトル(?)という事もあり待ち望んでいた方も多いのではないでしょうか。本作は何といってもメインテーマの「I'm Here」が良いです。サウンドを寸断するブレイクから叩きつけるようなシャウトがヒリつき癖になります。インゲームのサウンドを聴くと切ない感じのするアンビエント系の音楽が流れて、これはソニック??となりますが Cyber Space のサウンドを聴くとしっかりソニックしててスピードランを盛り上げるアップテンポでノリの良いサウンドが流れます。
ただ、個人的にソニックサウンドで一番好きな時代はソニックアドベンチャー以後くらいで、このフロンティアはその辺りのサウンドとは違う印象を受けます。その辺りはオープンフィールドや世界観構築がどうしてもサウンドに影響してくると思うので、ちょっと前のソニックサウンドが好きだったという方には、好みが分かれるかもしれませんね。
6.GetsuFumaDen: Undying Moon Original Soundtrack
「GetsuFumaDen」が発表された時には、そのビジュアルに大変感銘を受けたものです。それと同時にサウンドもどうなるのかとワクワクしたものですが、その期待に十二分に応えてくれたサントラでした。エピソードの入りのおどろおどろしいサウンドにインパクトがありました。純和風のサウンドを中心としつつも、ボス戦の尖りまくったサウンドは最高です。「Unfettered Chaos: The Ryukotsuki」を聴いた時にはテンションがぶち上ったものです。原作の月風魔伝は、アレンジを作成されている方もいて、ニコニコとかで良く聴いたものですが、もっとパンチのあるサウンドが公式から出てくる日が来ようとは…往年のファンも満足のサウンドではないでしょうか。
5.モンスターハンターライズ:サンブレイク オリジナル・サウンドトラック
前作モンスターハンターライズのサントラも良かったが、今作はもっと良かったです。タイトルデモで流れる「果てなく続く紺碧の先を眺めて」を聴いた時に、前作の和風テイスト中心から洋風テイスト中心にサウンドがガラリと変わり同じ作品の続きでありながら、全く違う世界になると予告された気持ちになりました。バンドネオンとストリングスがゆったりと流れを作るサウンドは、大海原の航海を感じさせますね。思えば、この1曲を聴いた時点で既にサンブレイクサウンドにどっぷり浸かっていたんだなぁと思います。
サンブレイクには過去モンスのサンブレイク用アレンジバージョンも入っていて、知っている曲でも滾り方が違います。ライゼクス、ゴア・マガラ、シャガルマガラ辺りはみんな大好きな巨大モンス曲だと思います。個人的に一番ハマった曲は「終わりなき迷路」です。エスピナス戦はとっても苦戦したので良く覚えています。モンハンの
戦闘曲の中ではとりわけテンポが速く、常に囃し立てられるようなサウンドがこちらの冷静な思考を奪い去られるような感覚はプレイ体験と相まって非常に印象深い曲でした。他にも新モンス「メル・ゼナ」のゴシックサウンドはカッコよかったです。この曲もファンには長く愛されそうですね。トップ10には入れていませんが、狩猟音楽祭2022もサンブレイクの曲が演奏されました。サントラと併せて一緒に聴きたいですね。
4.英雄伝説 黎の軌跡 オリジナルサウンドトラック
今年のFalcom枠。そういう枠を意図的に設けているわけではないのですが、必ずトップ10入りしてくるくらいFalcomサウンドが好きなのです。
黎の軌跡は2021年の9月リリースでしたが、サントラは2022年にリリースでした。軌跡シリーズはしばらく帝国編が長かったですが、本作からは共和国編に入りサウンドがまた変わりました。主題歌の「名もなき悪夢の果て -Short Ver.-」は軌跡のOPらしいアッパーなサウンドですが、ほんのり大人のテイストを感じさせるのは主人公が(前作に比べ)少し年代が上だからでしょうか。今作の音楽は、そういうアダルトさを感じさせるテイストが様々なフレーズや音使いに現れているのが魅力的ですね。これまでの若さと勢いのある"真面目"な主人公の成長物語とは異なる立ち位置よりは、仲間の成長を見守る立場という視点が少し変わったのが音楽にもよく現れていると思います。共和国は多民族国家の為、中華、アラビア、和風など様々なテイストの
サウンドが登場しますが、Falcomのそれと分かる統一感は見事だと思います。戦闘曲も好きなので、無限に好きな曲を挙げられますが、あえてそれ以外の1曲を選ぶとするなら「目指す先にあるもの」でしょうか。Saxのメロディもカッコいいですが、黎の軌跡"らしさ"が詰まった"背中で語る"大人な感じがします。黎の軌跡は、ここ近年の軌跡サントラではピカイチの出来だと思います。
3.HEAVEN BURNS RED original Sound Track Vol.1
いよいよトップ3です。
いきなり反則的な発言をしますが、ボーカルアルバム「Love Song from the Water」「Job for a Rockstar」を一緒に聴きましょう。と言うか、まぁサントラに入れておいて欲しかったというくらいボーカル曲が良いです。
HEAVEN BURNS REDことヘブバン。メインキャラ達のボケとツッコミみたいなやり取りは好みが分かれそうですが、「最上の、切なさを。」の看板に偽り無しと思います。それに一役も二役も買っているのがサウンド。それもそのはず。メインシナリオと作曲を担当しているのが麻枝准氏。Keyサウンドやシナリオに泣かされた経験のある方もいるのではないでしょうか。サウンドにハマったきっかけは、タイトル曲の「Before I Rise」。ボーカル曲にハマるというのは正直あまり無いのですが、なぜかこの曲は一度聞いただけで深く深く心に刻まれた1曲でした。それ以上に好きになったのは「Burn My Universe」。歌詞の意味が分かった時には泣きました。ボーカル曲が刺さったおかげか、サントラに収録されているインスト版の楽曲も好きになりました。麻枝准氏は、心の琴線に触れる楽曲を作るのがうまいですね。サントラに収録されている日常の非ボーカル曲は、ゆったりした楽曲や、おどけたサウンド等、ボーカル曲のように感情を揺さぶりまくる曲と対極になっていますが、それがまた良いですね。サウンドを通して、ヘブバンの世界にどっぷり浸かった1年だったと思います。
2.Blue Archive Original Soundtrack Vol.1 ~Longing for the memorable days~
Blue Archive Original Soundtrack Vol.2 ~Searching for the unknown truth~
ブルーアーカイブって、かわいい女の子とキャッキャうふふするハーレムゲームでしょ?という印象をお持ちではないでしょうか。私もプレイするまでは、何となくそんな感じなのかな?と思ってましたが、全然違いました。正確には、そういう面も少しばかりはありますが、透き通った世界観とは異なり(コミカルな表現に落とし込まれているものの)爆発と硝煙にまみれ、ストーリーはシリアス、おおよそ解決し難い困難に立ち向かうヘビーな世界だったりします。
で、そんな世界を表現するサウンドって何よ?やっぱりビジュアルとギャップを狙って(ハード)ロックなのかな?と思っていたら「Kawaii future bass(カワイイ・フューチャー・ベース)」という聴きなれないジャンルと来たものです。このKawaii future bassは、EDM系譜の音楽のジャンル「Future Bass」のサブジャンルとして位置づけられている音楽らしく、キュートでふわふわした柔らかなサウンドや時にチップチューンのサウンドが中心に心地よく展開される音楽で、ブルアカのようなタイトルを表現するには持ってこいの
ジャンルなのです。
タイトル曲「Constant Moderato」。Kawaii future bassとブルーアーカイブの世界観を象徴する音楽ですが、これがぶっ刺さったのが大きかった。ストーリーが良いという評判も聞いていたので、この曲を聴いてからすぐにゲームを始めたのをきっかけに今年はブルアカには結構な時間を費やしたと思います。YouTubeでもKawaii Future Bassの曲を探したりして、色々聞いたりするくらいハマりました。この年で新しい音楽のジャンルを開拓するきっかけとなった、ブルアカのサウンドは2022年の自分の中でも非常に大きなウェイトを占めた音楽でした。
1.TRIANGLE STRATEGY ORIGINAL SOUNDTRACK
2022年のベストゲームサントラは「TRIANGLE STRATEGY」です。
スクウェア・エニックスの浅野チームが2022年3月にリリースした完全新作タクティクスRPG。作曲は千住明氏。浅野チームの作品は漏れなくサウンドに力を入れてきますが、また凄い人を持ってきたもんだと思いました。
一瞬脱線しますが、千住明氏はあまりゲームサウンドのイメージは無かったですが、個人的には「交響詩 ワルキューレ・ストーリー」の方だという印象でした。
千住氏のサイトのディスコグラフィーにも出てきます。
https://akirasenju.com/release/walkuere.html
なぜこのタイトルを1位に選んだのか?というと、やっぱりメインテーマが強烈だったからです。初めてPVを見た時の新作のワクワク感は、このメインテーマ無くしては語れないです。鮮烈な出だしから弦楽器群が優雅に踊りだす様は、恐らく戦記物か戦乱物だろうなとストーリーを想起させつつも、作曲家は誰だ?と物凄く気になったものです。もちろんその瞬間購入は確定。もちろん本編も4ルート全てのエンディングを確認するくらいやり込みました。メインテーマだけでなく、ビッグバンド風の敵役の曲、妖艶なアラビアンの砂漠の曲、など様々な楽曲が世界を彩りますが、そのどれもが魅力的な音楽でファンタジー世界の冒険にぐいぐい引き込む吸引力は、昨今中々味わえない感動でした。そうそう、各章のタイトルがクラシックのタイトルになっているのも大変興味深かったですね。「復讐の炎は我が心に燃え」とか「誰も寝てはならぬ」とか「見よ、おそろしい炎よ」等、他の章のタイトルも大体そうですね。この辺りも音楽に力を入れている作品だなぁと感じた点でした。この曲も多分、様々なゲーム音楽演奏会で取り上げられるような人気楽曲になると予想しています(私が聴きたい)。
■終わりに
今年もベストゲームサントラのトップ10を何とか選出しました。
毎年やっていますが、ギリギリまで音源が出ないものもあったりして早く作業を開始できない事もあり、いつもx2難航します。これだけ悩みぬいて選別した音楽は、今回たまたま選ばなかった音楽も含めてたくさん聞いて、よし、これで行こうと納得するまで聞いた上で決定されたものなので、(いささか自己満足ではありますが)今年のゲーム音楽としっかり向き合えたのかなと思っています。
来年もきっと様々なゲームサントラがリリースされる事になります。きっと来年も素敵な音楽がたくさん待っていると思うと2023年も楽しみですね。
2023年も、皆さまに素敵なゲーム音楽との出会いがありますように。
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