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計測可能なデザインで数字にコミットする:Galapagos Supporters Book⑦

シリーズAで累計13億円の資金を調達したAIR Designのガラパゴス。
そこには株主や顧問、社外取締役という形でガラパゴスを支える、たくさんの支援者の存在があります。
ガラパゴス・サポーターズブックでは、そのような外部の支援者と、ガラパゴス代表・中平の対談を通して、ガラパゴスとAIR Designの魅力をお伝えしていきます。

第七弾は今回のシリーズAからガラパゴスに株主としてご参画いただいた、DIMENSIONの中山さんです。

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■中山航介 プロフィール
DIMENSION | ビジネスプロデューサー
上智大学経済学部卒業後、新卒でDI(ドリームインキュベーター)参画。大企業向けコンサルティングでの戦略策定、事業投資先への出向(データベース運用・分析)を経て、国内ベンチャー投資を担当。学生時代には、国内外スタートアップ、メガベンチャーでのインターンを数社経験。

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極限まで可視化した、ガラス張りの組織

ーーまずはお二人が出会った経緯からお話いただけますか?

中山:うちのトップの宮宗が、中平さんがピッチコンテストで無双されていた時にご挨拶したことが最初のきっかけですよね。

中平:プレシリーズAで2020年4月に資金調達した際、DIMENSIONさんにもアプローチしたんですが、箸にも棒にもかからなくて(笑)

中山:なんと。

中平:事業を成長させて、2021年の3月、ICC(Industry Co­-Creation/経営者向けカンファレンス)で宮宗さんと改めて深く話す時間をいただいたんです。ICCのコンテンツの合間で移動する際に、隣に座って1時間半くらい事業の壁打ちをお願いしつつ、想いを伝えましたね。その後1回テレカンして、中山さんをご紹介いただいた、そんな流れでした。

中山:資金調達のラウンドでは、当時どのようなお考えを持っていたんですか?

中平:考えていたのは、前ラウンドで投資を受けた先から次のラウンドも投資を受けるという流れが一番美しい、ということです。ずっと見てきてもらったから、その人たちが乗らないと駄目だなと。かつシリーズBでも乗ってくれそうな規模感のある方々と組むこと。僕たちの本質は製造業だし、強みは可視化で、改善力だということをきちんと理解してくれる方々じゃないと、長いお付き合いは出来ないと考えていました。

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中山:当時特に印象的だったのは、お客さんの満足度や社内の状況を極限まで可視化して、正しく捉えられる仕組みづくりをシリーズA以前のタイミングでしていたことですね。「ここがキーなので頑張る」「ここは枝葉なので切る」という潔い意思決定ができる組織運営、そこが根本の競争力だなと思います。

中平:嬉しいです。悪い状況も、全部因数分解してみれば原因がわかる。それを繰り返しているうちに全部可視化できる状態になりましたね。

中山:数字が全部ガラス張りになると、みんな経営者視点になるから社長とか経営陣の負担も減りますよね。

中平:今の段階から可視化しておけば、そのまま大きくすればいい。規模が大きくなった後からは難しいと思っています。

デジタルものづくりの現場を5Sする

中山:デザイナーの所得や生産性をあげることがミッションの一つだと思うんですが、そのための仕組み化とはつまりどういうことなのか、お伺いしたいです。

中平:クリエイティブのプロセスって、設計工程と製造工程に分かれていて完全に製造業なんです。まず設計はどんな情報がインプットされて、どういう意思決定に基づいているかを設計書で可視化する。製造も設計書に基づいてイラスト、画像、テキストまで全てプロセスを可視化できる。

中山:なるほど。

中平:その上で全プロセスにおけるデザイナーの作業画面を録画して、生産性が落ちる箇所をみつけていく。例をあげると、デザイナーって頻繁に「左を向いた女性」の写真を検索しているんですね。LPのファーストビューに「左を向いた女性」を配置すると設計で決まっているから。でも外部の写真検索サービスに「左を向いた女性」というキーワードってないんですよ。そこで僕らが考えたのが、一旦写真を全部吸い上げてデータベースにAIでタグ付けすること。「左」「女性」とか。そうすればすぐに目的の写真を検索できる。

中山:画像の言語化ですね。

中平:そうです。結果、作業時間が減って、原価工数率が下がります。粗利も時給も増える。それを全工程においてやり尽くすのが製造業であり、ガラパゴスにおけるクリエイティブのあり方ですね。

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中山:教科書通りにいけばその通りですが、実際やるのは大変ですよね。

中平:センターピンの見極めが大事ですね。基本は5S(整理・整頓・清掃・清潔・しつけ。製造業の生産管理の基本)です。Googleの登場によって、整理整頓って失われたんですよ。調べる時間が増えたことで生産効率が下がっているんです、特にデジタルのものづくりにおいて。それが基本の5Sをすると一気に上がる。センターピンと削減のしどころを見極めて積み上げていく訳です。それが参入障壁であり、僕らの強さ。面倒くさいやり方かもしれないけど、事業の優位性の源泉です。

中山:実際のお客さんの反応はどんな感じですか?

中平:インターネット広告の歴史の中で、メディアの運用やコントロール自体はインハウスで出来るようになりましたよね。でも「魅せるクリエイティブ」という課題は依然として残っていて、より滑らかにするやり方を考える必要がある。そこでAIR Designによる予測 ー「あなた達のターゲットにはこのデザインが当たるはず」というー 高品質のデザインを提供されればそれは嬉しいですよね。しかもお手頃な価格で。ある種のDXだと捉えています。

中山:既存のプレイヤーが対応できなかったSMB(スモール・ミッドサイズ・ビジネス)の課題ってすごく大きいですよね。インハウスデザイナーが徹夜でやっていたような状況も、ガラパゴスさんのサービスで漸くまともな環境になるんじゃないかと思って。

中平:広告のデザインってある種パターン化できるものなので、毎回ゼロイチで作るより、まとめてやっちゃった方が全体効率が良い。そういう世界観を目指しています。

中山:デザイナーも寝られるし、給料も上がってみんながハッピーな世界ですね。

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デザインのモノサシをつくり、デザイナーを自由に

中平:もう1つ課題に感じるのは、「デザイナー」を指すジャンルがあまりに広い、ということです。洋服から建築から、グラフィックデザインまで。幅が広すぎる弊害は、成長ステップが描けないことなんですよ。その道筋が見えるようにしたい。モノサシこそが成長ステップを明らかにすると思っているので、それを作りたいですよね。

中山:例えばデザイナーの求人も、エンジニアほど構造化されていませんよね。

中平:デザイナーが能力を示す方法が現状だとポートフォリオしかないんです。問題は、多くの人がデザインの教育を受けていないということで。指標がないからポートフォリオを見る側がジャッジできない。

中山:正当な指標がないと、給与も上げにくいですしね。

中平:そう。その結果、40代で平均388万円という、驚くほど低い給与水準なんです。それを600万円まで上げたい。だって、モノを生み出せるってすごく尊いことですよ。AIR Designでは、その状況をテクノロジーで変えること、生産性を高めることによって変革しようとしているんです。

中山:定量的に評価できると、地方の原石的な方もジョインしやすいですよね。

中平:そう、まさに今僕たちが証明しているのが、距離が遠くても仕事ができるということなんです。現状98%リモートワークで、出社比率2%。ほぼ社員がオフィスに来ないという形式で。それでも事業は300%成長しているのが、揺るぎない事実です。

中山:モノサシがあれば、どの地域にいようが、ちゃんと質を保てる。どこに工場をつくっても品質を落とさない自動車メーカーの組立と同じですね。

中平:僕らは「品質」という言葉を大事にしていて、デザイナーのモノサシと同時に、アウトプットへのモノサシをつくらないといけないんですよね。「この条件下でこのデザインであれば80%の確率で、80点だよね」というような。そこまでの自信があれば、マーケットに出せる。今はそのモノサシがないから時間がかかるし、不安になるんです。

中山:長い時間をかけることでなんとか対応してる状況から、モノサシをつくることで迅速かつ正確に解決できる状況に変えていこうと。

中平:それがAIR Designの本質で、実現すれば様々な課題の解決ができると思います。

中山:地方に「出社して働かなきゃ」と思い込んでいるデザイナーの方って実はたくさんいる気がするんですが、ふたを開けてみれば地方から一人で参加しても、問題なく成り立っているのはさすがですよね。

中平:オンボーディングにはかなり気を遣っています。ユニットにはリーダーがいてメンバーがいて、組織としてちゃんと機能していることを伝える。1on1もちゃんとあって、「ここに私は存在していいんだ」としっかり実感してもらうということですね。

中山:素晴らしい。我々DIMENSIONとしては、これまでSMBの人達には手が届かなかったクリエイティブ改善をリーズナブルかつ質高く提供しているところがイケてると思ってます。皆さんに知ってもらいたいし、使ってほしい。

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中平:そうですね。ちなみに、DIMENSIONさんに仲間になってもらいたいと思ったきっかけは代表の宮宗さん。ですが、決め手になったのは中山さんなんです。

中山:お、そう言っていただけると嬉しいです。

中平:投資前の交渉段階で、一回来社された際、ちゃんとあの分厚いピッチデック(300ページ以上あります)を読んでいただいていることが伝わったんですよね。

中山:リモート率の上昇で採用母集団が広がって「仕組み化の拡大」が成り立つのでオフィスに人がいちゃいけないんだけど、実際にがらんとしたオフィスを見て「しっかり実現されてますね」って、そんな話をしましたよね。

中平:「こういう人だよな、仲間になってもらいたいのは」って思ったのを覚えてます。

中山:もっと集約してまとめるケースも多いですけど、説明責任として情報すべてをピッチデックにまとめている姿勢が印象的でした。僕たちも分析するだけでなくもちろん手も動かしながら、自分たちのカラーを出していきたいと思ってます。

中平:元々母体はコンサル会社らしく分析力もお持ちなので、芯食ったことをまっすぐ言っていただけるよう、同じ船に乗る仲間としてお願いしたいです。

バリューチェーンを横断改善し、答えが出るまで伴走できるやりがい

中平:少し採用の話をしたいのですが、うちにはどんな人が合いそうだと感じますか?

中山:例えば設計段階の話で。いつ誰に何のメッセージを訴求したいのかを、突き詰めてキャッチボールできる人が必要なように思います。私がやっていたコンサルティング業務に結構近いかもしれない。

中平:設計段階の仕事を担うのはCS、いわゆるカスタマーサクセスですね。クライアント側の情報をまずしっかり知る必要があるので、引き出す力がすごく重要ですね。その材料を元に分析をして、設計図を描き、それをクライアントと握った上で、製造工程に入る流れです。そういう意味ではコンサルタントの仕事と近いですよね。

中山:そうですね、ほぼ一緒です。

中平:CSにはマーケター、セールス出身の人も、コンサル出身の人もいます。そういうバックグラウンドの方は活躍できると思いますね。

中山:通常のコンサル業務と比べて、ガラパゴスさんのCSはコンバージョンを見ることができますよね。コンサルタントが会社を卒業する理由の1位は、必死にお客さんのために働くんだけど、結局正しいのか、実行されるのかわからないことだと思うんです。ガラパゴスであれば、お客さんとキャッチボールした3ヶ月後には、数値で答え合わせができる。

中平:確かに、それは面白いところですね。

中山:三振かホームランかは教えて欲しいじゃないですか。そういう切り口で見るとコンサル会社出身の人は、向いてる気がします。

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中平:同じ観点で考えると、クリエイティブのプロセスって決まっているように見えて全然完成してないんです。うちにはマーケ、セールス、CS、クリエイティブのバリューチェーンを横断的に改善するチームがある。これもコンサルタントの仕事に近い。

中山:まさに。バリューチェーンの構築・改善ですもんね。

中平:彼らの改善活動によって受注率も上がるし、継続率も上がる。そういう役割を担える人がもっと必要です。

中山:PDCA回したい人、バリューチェーンを横断的に見てみたいとか、改善に興味がある人とかにはフィットする環境ですよね。

中平:そうですね、即時にフィードバックされますからね(笑)

中山:だからこそ成長するし、来年とか来月の目標に向かって、明日何する?って、逆算できる状況がすごく素敵だと思います。答え合わせができる環境を求めるコンサルタントの方にも、ぜひご参加いただきたいですね。

ーー本日はありがとうございました!

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▲DIMENSIONは21年9月にドリームインキュベータからMBOで独立し、起業家起点での事業支援を加速させます。中山さんは若手のエースとして、益々忙しい日々になりそうです。

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(文責:武石綾子・髙橋勲)