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一生応援すると決めたから

11/6、福岡県北九州市。
ミクニワールドスタジアム北九州で行われた試合後、僕はスタンドで思わず泣いてしまうことになった。

自分と同じく浮田健誠選手を応援されていて、山口から西日本のスタジアムを中心に相模原にもいらっしゃっている方との試合後の挨拶。

6月に初めてお会いしてからは、全国各地のスタジアムでお会いする度に挨拶していた。


ミクスタでの一戦は、今季のSC相模原の西日本でのラストマッチ。
その方も今季のラスト観戦だと仰っていた。

試合後に握手をした時、ふと
「緑と黒の9番を着て挨拶するのは最後になるのかもしれない」
と思ったら、涙が込み上げてきた。

気付けば、普段スタジアムでは言わないようにしていた、今シーズンの辛かったことや苦しかったことが溢れるように口から出てきた。

「きっとまた会える」
「彼ならやってくれる」

感極まっていてうろ覚えだが、そんな事を涙ながらに話したような気がする。



明けて11月7日。
SC相模原は計13選手の契約満了・退団のお知らせをリリースした。
その中には、彼の名前もあった。


仕事の合間、Twitterの通知でその文字列を見てから、色々な思いが去来した。
選手個人に対する思い、クラブに対する気持ち、自分自身のこれからくるオフシーズンの計画の見直し、来季の行動指針。

自分の全てが急に無重力になって、けれど進む先も分からなくなっているような、もどかしさと苦しさ。

一日経った今でも、この気持ちとどう向き合えばいいか分からない。そしておそらく、正しい答えは見つからない。


幸いなことに、僕は彼が出場した今年の公式戦27試合を全てスタジアムで見届けることができた。

良い日も悪い日も、悔しい日や空しさを感じる日、嬉しい日もあった。


今年一年、自分なりに全力で彼を応援してきて、一つ後悔していることがある。
それは、いわゆる"良くない日"の試合後の挨拶で、彼の顔を見れなかったこと。

上手くいかなかったり出し切れなかった試合の後、スタンドの目の前にやってきたチームに拍手を贈ることが僕は出来ない。
当人達が一番それを分かっているから、称えられたり励まされると、余計に難しい気持ちにさせてしまうかもしれないと思って、チームとしても個人としても良くなかった時は、スタンドでじっと挨拶が終わるのを待っていた。

けれど、そこで一瞬でも彼の顔を見てしまうと、ついつい絆されて拍手をしてしまうのが目に見えていた。

自分なりの熱量をもって、一年間彼のことを応援してきた。
日々頑張ってること、毎日試行錯誤してること、どうチームに貢献できるか考え続けていること。
一年間ずっと応援してきたから、痛いほど分かる。

時には数十人になってしまう応援スタンド。
挨拶にやってきた時に、目を合わせない方が逆に難しい。

だから、彼の顔を見てしまうと、そういうことを思い出して、ついつい頑張った頑張ったと拍手を贈りたくなってしまう。
けれど、彼が生きているのは数字と結果が全てのプロの世界であって、そこに自分の感情が邪魔立てしてはいけないと思って、拍手をしない日は俯いていたりすることが多かった。


ミクスタでの試合、タックル・スライディング・ドリブル・キープ・シュート・アシスト、気持ちのこもった彼の良いプレーが随所に見られた。

試合終盤、しきりに足を伸ばして辛そうにする彼の姿を見た。
久しぶりのフル出場。全てが上手くいったわけではないが、彼の持てる力を出し切って、気力の限り戦ってくれたのが分かった。
チームは敗戦したが、彼個人のチャレンジし続けた内容と過程は惜しむことなく称えた。

チームへのアジャストを試みて、プレースタイルも幾分変わったかと思う。
それがついにハマり始めてきた頃だった。


個人的に、クラブに対して思うところがないと言えば嘘になるが、結果や諸々の事情でドライに判断されるのがプロの世界。
SC相模原を応援する1人の人間としては、受け入れなければいけない現実だった。

けれど、好きなクラブで初めて本気で応援したくなった選手が、クラブから去ってしまうのは、言葉では言い表せないくらい寂しい。

来年も近くで見たかった。
もっと彼を応援するために色々なことを考えていた。たくさん応援したかった。
出来ることならば、相模原で同じ夢を見続けたかった。


それでも、別れはやってくる。
時間と共に、僕らは前に進まなければいけない。

6月、誕生日の彼に宛てた手紙に、
「一生応援しようと決意しました。」
と書いていたのを思い出した。

場所は離れてしまうけど、僕が浮田健誠というサッカー選手、そして一人の人間を応援し続けるということに変わりはない。


当然、今の時点では不安は尽きない。
次の所属先はどこだろうか、いつ決まるだろうか、
辛く大変な思いをしないだろうか、
上手くやっていけるだろうか。

フットボーラー浮田健誠と同等に、一人の人間としても彼を応援している分、とても心配になってしまう。

どうか、彼の行く道が幸福なものであって欲しい。


今季、この大変なシーズンの中で、喜怒哀楽を共にして過ごせたこと。彼を応援する方々との素敵な出会いに恵まれたこと。
何より、応援する中で彼から沢山の元気をもらったこと。

もはやこれ以上の理由は必要ない。

彼がどこへ行っても、何をしても、一生応援する。


「頑張ってください」ではなく、
「一緒に頑張ろう」と伝えたい。

ずっと信じているから、君が選んだ道がやがて正解になると僕は確信している。

君を応援するたくさんの人の中に、僕も混ぜてほしい。
頼りないとは思うけど、いつでもついている。


まだ、終わりでも区切りでも何でもない。
これから、君が選んだ道を一緒に正解にしていこう。

2022年のSC相模原で、浮田健誠選手と出会えて、僕は幸せでした。

新しい場所へ、皆で一緒に行こう。


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