回転死体

「いらっしゃいませ〜」今では一般的にある回転寿司果たして始まりはどこなのだろうか?
1932年に回転テーブルという中華料理屋によくあるものが発明された。それから28年後の1960年代にはラブホテルなどにある回転ベッドができた。その間の1958年に回転寿司はできたのだ。
では現在2023年では、回転寿司によく似たもので、死体を回す回転死体が流行っている。すでに回転寿司は魚の死体を回しているので、他の死体を回してもいいのではないかというものだ。
私は地方に住む30代のサラリーマンだ。毎日同じようなことを繰り返している。
2023年6月11日 7時に起床し、洗顔や食事をして会社に行く準備を整える。
7時40分に自宅から最寄りの駅に向かい、8時10分発の電車を待つ間に自販機でコーヒーを買う。電車に乗り、8時28分に会社最寄りの駅に着く。8時40分に会社に到着し、上司に挨拶をし、本日の準備をする。9時からは仕事を始め、メール確認や資料作成、顧客の電話対応などを12時まで行う。昼には近くのコンビニで菓子パンを買い、デスクで食べる。13時からは休憩が終わり、会議や打ち合わせを行い、資料のチェックなどもする。
18時には1日の日報を報告し、退社する。18時26分発の電車に乗り、18時50分に自宅近くのコンビニで夕食の弁当を買って帰宅する。19時30分には風呂に入り、明日の準備をする。22時には少し飲み物を楽しんだ後、0時前に就寝する。こんな感じで毎日同じことを繰り返している。
そしてまた1日が始まろうとしている。そして止めることはできない。身体は自由に動かせないし、決まった習慣に従って行動するようになっている。私には自由はなく、1日が回り続けるようになっている。暗闇の中で身動きも取れない。助けを求めることもできない。私は死ぬこともできず、暗闇に閉じ込められている。
ガチャ「お疲れさまでした。大丈夫ですか?アンケートはあちらでお願いしますね〜」と若い男性スタッフに言われた。私がしていたのは突入型VR「回転死体」という、実際の人間の1日を体験してアンケートに答えるという短期的なアルバイトだ。このアンケートで制作者は作品を改良し、完成した作品は漫画家や小説家などによって利用されるらしい。珍しい仕事もあるものだ。しかし、私はこの体験した男性のように同じような日々を過ごしていく死体にはなりたくない。


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