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「未来人」の生存権

政治家および著名人が、ゴムマスク被りの演者かそっくりさんなどの、観察眼のある人が見れば偽物とバレてしまう代理を立ててでも、皆の前で健在を主張していることについて。
いきなり病死したか処刑したと、正直に皆に公開してしまうと、大混乱が起きてしまうから。そんな理屈を聞いてきたけど、今一つ納得しきれなかった。確かにそうなってしまうかもだけど、隠す労力と何より民衆からの信頼感の減耗を鑑みると、正直に公開した方がけっきょく負担が少ないのではと思っていた。
そこで――、「未来人」の生存権を確保するため。
そんな仮説が浮かんできた。

時間というのが、本当に実在するか否かは所説あるだろうけど、実感はできるものだとは思われる。過去から現在に未来へと一方通行で流れ、逆流はしないものだと。毎日生活している現実空間には存在している。
ただし、インターネット空間内では? 視聴している自分たちにとってはあると感じられるけど、ネット内そのものにはあるのか無いのか。
いつでもどこでも誰でも、過去の記録を地球の裏側の映像を他人の事情を検索して表に出せる。つまり、すべてはフラット、ネット内では時間は存在しない。現実空間の「今」投稿した情報も、過去に投稿された情報と混ざり合い同じフラットな土俵にのっけられて、未来人に視聴される。

ネット内に時間は存在しないが、現実世界にはある(かもしれない)。
無いのならば、どんな仮説も成立してしまうのが、論理的
あると思い込んでる人たちに、ネット内には情報格差があると唆すことも論理的。そんな自分たちは、今の人々よりも未来に住んでいるのだとも。
未来人ならば、無知な過去人たちを支配し導くことは、権利以上の義務。序列が誕生する。

ただし未来人の最大の弱点、親殺しのタイムパラドックス
自分を紡ぎあげる親族が過去で死んでしまったら、未来の自分は存在できなくなる。未来の自分の富と地位も、過去にたどったはずの道を変えられてしまったら消滅してしまう。
未来人が過去人を支配するのは、義務である以上に生存権の確保のためでもある。何としてでも、今の自分たちが成立するように、過去を維持しなければならない。

生きるか死ぬかの瀬戸際。
ゆえに、追い込みすぎればしっぺ返しを食らう。戦局すらひっくり返されてしまう怖れがある。悪党であれ生存権はある。
そんなカウンターを発動させないために、影武者をたてる。代理人に筋書き通りの動きを演じさせる。
未来と現在は、時空間的にも隔絶してしまっているのだから、そうしてやらねば彼らの生存権を保護してやれない。

ただし前述のとおり、一方通行の時間の流れは仮説でしかない。現実世界では不在証明もできていないので確かなことは主張できないけど、ネット空間ではできる。未来人だと思い込むのは、信じてしまった本人に責任がある。
そもそもそんな配慮は、現実空間では不要。彼らがネット空間の住民である証拠。「未来人」でありつづけるためには、現代人に寄生しつづけるしかない。現在と未来の価値はもう、逆転してしまった。

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