「暗黒面の寓話・＃４４：ＯＢ」
（Sub：正面から堂々とぶつかってこそ漢！）
「どうだアスカ？」、 「スゴかろぅ！」
権田参謀の得意げな声がＴＰＣのトレーニング・センターに響き渡った。
そこには権田参謀が招集した２０名ほどの男達が集まっていた。
ざっと見、全員身長２ｍ前後、体重は９０から１５０キロといったところ。 そして全員が半裸だ。
「「「「「！押忍！」」」」」
権田参謀の声に応えて、重みのある低い挨拶が帰ってくる。
「全員、ワシの後輩だ」、 「よろしく頼むぞ、アスカ！」
《 日帝大・相撲部ＯＢ 》
権田参謀はかつて学生時代に日帝大・相撲部の主将をしていたらしい。
そして、そのツテで彼の後輩たちがＴＰＣの警務局に就職していたのだ。
権田参謀は少々傲慢なところもあるが、実は面倒見のよい漢だったのだ。
「いいか貴様ら」、
「ワシとアスカはこれまで二人だけで戦ってきた」
“？えぇ？”、
“権田参謀がデイナに（勝手に）合流してきたのは最近じゃん！？”
オレ（アスカ・チン）は心の中でつぶやいた。
「だが、敵はますます手強くなってきている」
「そこで貴様らの力を貸してもらいたい！」
「ワシ（！）と一緒に平和の為に戦ってくれ」
！「「「「「「！押忍！」」」」」」！
トレーニング・センターにドスの利いた “押忍” が響き渡った。
日帝大では先輩後輩は完全な縦社会らしく、それは卒業後も絶対らしい。
そこに集まっている男たちの目は完全に座っている。
「ご、権田参謀」、 「こんなに沢山集めてどうする気ですか？」
「うむ」、 「実はだな、、前から気になっていたのだが、、」
「アスカ、貴様の戦い方には重大な欠点がある！」
「格闘術の心得のない素人の戦い方だ」
「た、たしかに、、」、 「オレ、野球部だったし、、、」
「とくに問題なのが、戦闘スタイルにブレがあることだ」
「戦闘中にコロコロと流儀を変えるアレがいかん」
「アレって、デイナのモード・チェンジのことですか？」
「そう、それだ！」
「生きるか死ぬかの戦いの中で己にブレがあってなんとする！」
「漢なら、芯（心）をブレさせてはならんのだ」
“なんかわからないけど、今日の権田参謀は妙な説得力がある”
オレは心ならずも参謀の話にちょっと感心してしまった。
権田参謀は少々傲慢なところもあるが、実は頭のいい漢だったのだ。
（伊達にＴＰＣの参謀をしているわけではないのだ！）
「真剣勝負では飛道具（光線技）なんぞに頼っていてはいかんのだ」
「漢なら、、正面から “がぶって寄って張り倒す”、それが全てだ！」
「はぁ、、」、 “なんか話がズレてきてないか！？”
「そこで、こいつらの力を借りるのだ！」
「こいつらの力を借りて、デイナの ”変態” にブレをなくす！」
「そ、それはいったい、、、？！？」、 “そもそも変態って、、”
「まず！」
「赤と青のまじったどっちつかずのハンパなヤツはやめにして、、」
「赤い《ストロング》体を基本とする！」
「次に」
「強化変態で、よりパワーのある《ストロング皇帝ロイヤル》だ」
「こいつは “張り” の強さが元の３倍になる」
「そして」
「再度の変態で、究極パワーを発揮する《ストロング皇帝ファンティー》となる」
「こいつの力は元の《ストロング》の９倍だ」
「まさに大一番を決するための切り札だ」
「しかも！」
「この《ストロング皇帝ファンティー》には “金のまわし“ が付くのだ！」
「「「「「「！おぉオ！」」」」」」
集まっていた男達から低く響く歓声があがる。
「い、いや、、」、 “もう完全におかしな方向になってるから！？”
オレが何かを言おうとしたとき、男達の中から口々に声が上がった。
「主将！、俺達死ぬ気でガンバリます！」
「俺達の命は主将に預けます！」
「「「「「「アスカさんも、一緒に頑張りましょう！」」」」」」
「えぇェぇェ、、」、 「そ、、そうですね、、、」
オレも昔野球部にいたのでこういう ”体育会の乗り“ には逆らえない。
「よ～し」、
「そうときまれば早速、気合を入れるぞ！」、 権田参謀の檄が飛ぶ。
「皆で “四股“ を踏むぞ！」
「「「「「「「「「「！押忍！」」」」」」」」」」
その日、ＴＰＣのトレーニング・センターには、
熱い心を一つにした男たちの踏む “四股“ が響き渡った。
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その後、ウリトラマン・大名（デイナ）・《ストロング皇帝ファンティー》はソフィア合成獣との戦いに勝ち続け、白星記録を伸ばしていった。
小細工なしに真正面から怪獣にぶつかり、張り倒してゆくその姿に人々は歓喜し熱烈に応援した。
オレ（ゴンスカ＆相撲ＭＥＮ‘ｓ）はというと、身長：２１０ｃｍ、体重：１８５キロの巨漢となり、毎日、“ＴＰＣ特製ちゃんこ“ を食べて、”稽古” に励む日々を送っている。
平和を願う仲間（有志）と力を合わせ、文字通り一体となって地球の平和を守っているのだけれど、、、
なにかがチガウ気がしてならない！？
“なんでこうなってしまったんでしょう？！？、 ティンガ先輩！？”