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「暗黒面の寓話・#39:That’s」

Sub: 《It》 is 《That’s》!! Did you know ?

《 That’s 》、ソレはいつ何処からやってくるのかわからない。
 
廊下の突き当りの暗がりから、、、
ベッドのわきのカーテンの後ろから、、、
部屋の押し入れの隙間から、、、
 
「やあ、、」、 「こっちに来てボクと一緒に遊ぼうよ!?」
 
そう誘う声がきこえてきたら、耳を貸してはいけない。
それは《 That’s 》なのだから。
 
《 That’s 》はいろいろな姿をしていると言われている。
小さな小人だと言う者もいれば、少年の姿だという者もいる。
また、北米では ”ピエロの姿” で現れると信じられている。
とにかく子供が警戒しないような姿で近づいてくるのだ。
 
だが、《 That’s 》のほんとうの姿は誰も知らない。
《 That’s 》の姿を見た者は誰ひとりとして戻ってこないからだ。
 
《 That’s 》は子供に近づき、不思議な技を見せて子供の興味を引き付ける。
そして、言葉巧みに自分の住んでいる “不思議の国” へ行こうと誘ってくる。
その国は、オトナの言いつけを守らなくてよい国だ。
 
“夜遅くまで起きていてもいい”
“お菓子を食べた後、歯を磨かなくてもいい”
“泥んこになって服を汚してもいい“
“友達とケンカをして悪口を言ってもいい“
 
《 Never - have to do !! 》
 
オトナが決めた面倒なルールを全て拒否できる “拒絶(Never)の国” だ。
 
そこに連れて行かれた子供は、勝手気ままに暮らすうちに家族や友達のことを忘れてしまい、しまいには自分が何処の誰だったのかも分らなくなってしまうという。
 
そして月日が流れ、子供が年頃に育つと、《 That’s 》はその子供をこっそりと連れ出してバリバリと頭から食べてしまう。

それまで散々わがまま勝手に暮らしてきた子供は、自分の思い通りにならない残酷な現実を目の前にすると癇癪をおこし、泣き叫んで暴れまわる。
そういった感情を爆発させた子供の魂こそが《 That’s 》にとっての “ご馳走“ なのだ。
 
“拒絶の国” は《 That’s 》の好物の “年頃の少年” を育畜するための ”牧場” なのだ。 だから、“拒絶の国“ には幼い子供しかいない。
彼らは大人になることなく《 That’s 》に食べられてしまうから、、、
 
年頃の子供を食べてしまうと、《 That’s 》はまた幼い子供を補充するために街にやってくる。
手下の蟲妖精を従えて、言葉巧みに小さな子供をかどわかすのだ。

蟲妖精の体からはぎ取った魔法の粉を子供に振りかけると、一時的に魔力が宿り子供は空を飛べるようになる。
それに夢中になった子供は、簡単に《 That’s 》のことを信じてしまうのだ。
 
その際、魔法の粉を奪い取られた蟲妖精はほどなく死んでしまうが、蟲妖精の替わりはいくらでもいるので《 That’s 》はそれを気にしたりはしない。
実は《 That’s 》は低級な悪魔であり、俗にいう妖魔のようなものなのだ。
 
かつては彼も人間の子供だったのだが、大人になることを拒み、子供のまま勝手気ままに暮らすことを望んだ末、他の子供の魂を喰らうことで歳をとらずに生き続ける魔物となったのだ。
自分が面白おかしく暮らし続けるためには他者の犠牲など厭わない我儘勝手の権化なのだ。
 
《 That’s 》は、東洋では “天邪鬼”、北欧では “飛行鬼”、などと呼ばれているが、自分では子供たちに《 ぺーター・パン 》と名乗るという。
 
この名を名乗る者が暗闇から現れても、けしてついて行ってはいけない!
ぺーター(That’s)は、あなたの魂を狙っているのだから、、、



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