チオノドクサみたいな人になりたい
チオノドクサとは何かご存じだろうか。
チオノドクサとは、植物の一種である。北海道では雪解け後のほんの数日青~紫のかわいらしい花を咲かす。学名チオノドクサ(Chionodoxa)はギリシャ語由来。
chiono = 雪
doxa = 栄光、輝き
英名:Glory-of-the-snow
直訳すると「雪の栄光」。本当に名の通りだ。
私は長崎で18年過ごし、北海道で大学時代を過ごした。北海道に来て感動したことは、四季の鮮やかさである。何よりも春の鮮やかさ。夏は緑が深まり、秋に一斉に落葉するとすぐに冬が来て銀世界と化す。雪が解け春になると凄まじい勢いで草木が生い茂り、花が咲き誇る。真白だった世界に一気に色がつく。春の到来を実感する。雪も雪に染まった世界も大好きだが、その美しさは北海道に来る前も想像できていた(それでもリアルは得も言われぬ美しさである)。 長い冬を越えてやってくる春の勢いと色彩の鮮やかさは、北海道に来て初めて知った。春の到来は舞い上がるほどうれしいものだった。
チオノドクサのことは、大学の先輩から教わった。植物博士のような先輩で、足下に植物があれば解説が始まる。雪が解け始める4月、畑から学部棟へ向かう途中に青い花が咲いていた。チオノドクサだった。そして解説が始まり、名前について教わった。雪が解け、春を告げるように花を咲かせるチオノドクサは、名の通り「雪の栄光」だと思った。春がうれしいのは雪の季節があるからだ。
今は雪の下でじっと春を待つチオノドクサ。花言葉は、「栄光」「仲間思い」「たくましさ」「奥ゆかしさ」らしい。こういう人になりたい。