『ペインキラー』が怖すぎる
※2023年7月11日 23:33追記
前書き
まだ全国的に梅雨明けには至っていませんが、酷暑の気を見せ始めた太陽が日本列島を焼いていますね。皆さまご機嫌いかがでしょうか。
私は7月8日、9日とAICHI SKY EXPOで朝7時半から物販並んでたせいで思いのほかスリップダメージ食らっていたようで、ライブ後にやってきた月モノに体が耐え切れず寝込みました。
で、寝込んでたらHMVさんで頼んでいたB'zの54枚目のシングル『STARS』のバランスゲーム付きとBD付きが届いたので、ぺりっと開けてCD取り込みながら6年振りにシングルCDの歌詞カードを開いたら硬直しまして、その動揺からこんなものを書いています。
なんで硬直したかと言いますと、収録曲4曲のうち3曲目、『ペインキラー』があまりに恐ろしい歌詞だったからです。
なにがそんなに恐ろしかったのか、私はどうこの曲を解釈したのかをちょっと整理しようと思いまして、柄にもなく歌詞考察なんかを書いています。
まあ、歌詞の受け取り方なんて人それぞれですからこれから書く歌詞考察が正しい解釈なわけではないですけど、「こいつはこんなふうに理解したんだな」くらいに捉えてください。
というわけで、ここからはごりごりの歌詞ネタバレを含んだ内容となりますので、まだ届いてないから読みたくないんだわという方は回れ右してください。忠告はしたので読み終わった後に「ネタバレすんな」とか言われても知りません。
『ワタシ、アナタのペインキラー』
さて、ここからは歌詞を順々に読み解いていきます。
まずタイトルの『ペインキラー』ですが、ペインキラーをそのまま英語にすると「painkiller」。痛みを和らげる薬のこと、痛み止め、鎮痛剤などの俗語です。
では歌い出しである1番のAメロの歌詞を抜粋します。
ワタシ、アナタのペインキラー
その頬が緩むのを見ては震え
生きてること噛み締めりゃ
惨めなんかじゃない
歌い出しの『ワタシ、アナタのペインキラー』とはどういう意味か。
そのまま意味を当て込むと「ワタシ、アナタの鎮痛剤」となるのでちょっと意味わかりませんよね。
では続く歌詞を見てみましょう。
その頬が緩むのを見ては震え
生きてること噛み締めりゃ
惨めなんかじゃない
ここ読んだ瞬間背筋に最初の悪寒が走りました。こっわ。
例えば恋に破れた時、仕事で辛いことがあった時。そういう何かしらの「痛み」を抱えた時、誰かに話を聞いてほしいと思ったことは少なからず皆さん経験があるでしょう。
この曲の「ワタシ」は「アナタ」になにか「痛い」ことがあった時にその話を聞く相手です。そこまではいいです。問題はここ。
その頬が緩むのを見ては震え
生きてることを噛み締めりゃ
これ、「アナタ」の「痛み」が「ワタシ」に話すことで和らいだことを認識する度に「ワタシ」は「喜んで」、「生きていると実感している」んですよ。「ワタシ」にとって「アナタ」の「痛み」を和らげることが生きがいになってるんです。
いるじゃないですか。人の悩みとか積極的に聞いてアドバイスして自己満に浸るタイプ。「ワタシ」がそのタイプの人間だとはこの時点では断言できませんけど、少なくとも「アナタ」の「痛み」を和らげることに悦びを覚えてるわけです。この時点で怖えよ(じゃあ「ワタシ」はどんな人間なんだよ、なに考えてんだよって話はこのあとします)。
続く『惨めなんかじゃない』は、ここではちょっと意味が見えてきませんが、このあとの歌詞を読む限り、「アナタ」に「痛い」ことがあった時だけ頼られる存在が「ワタシ」で、「ワタシ」もそれを理解しているんです。そして、「ワタシ」が「アナタ」の「痛み」を和らげることで「アナタ」から何か見返りがあるわけでもないのでしょう。本当にただ、「アナタ」にとっての「ワタシ」は「痛み」を和らげてくれて傷付いた心を修復してくれる「だけ」の存在。
ある意味では血の通った人間とすら思われていないかもしれない。「痛み」を打ち込めば何かしらの返答をしてくれるAIと同列ですらあるかもしれない。
それでも「ワタシ」は惨めでもないんです。だって嬉しいんだもの。そういう時に「アナタ」が選ぶのは他の誰でもなく「ワタシ」なんだから。って思ってるんでしょうね。ひええ。
『ハマってくださいどっぷりもっと』
止めてくれマジで怖い。
とりあえず1番のサビ全文書き出します。
ハマってくださいどっぷりもっと
どうでもいい思いだとわかっていても
愛に溢れる日々を
うかつにも夢見る
やーーーだーーーー怖いいいいいいいいいい。
怖い怖い言ってても始まらないので読み解いていきますよ。
ハマってくださいどっぷりもっと
そのまま「ワタシ」にもっとハマって、という意味ですが、これ「もっとワタシに依存して」ってことですよね。ほら、ペインキラー(painkiller)は鎮痛剤、薬物です。薬物なんですから使いすぎれば依存症になりますよ。だから「もっとワタシに依存して」と読み替えることができるわけです。
どうでもいい思いだとわかっていても
愛に溢れる日々を
うかつにも夢見る
上記は『ハマってくださいどっぷりもっと』に続く歌詞ですけど、「ワタシ」は「アナタ」に恋愛感情に近しいものを抱いているのでしょう。それが正しい恋愛感情かと聞かれると疑問が残りますが。
恋愛感情に「近しい」ものと書いた理由は、このあと書きますけど「ワタシ」は既に「アナタ」に依存していると思っているからです。「アナタ」が「ワタシ」にじゃなくてね。
で、『うかつにも』という言葉を使っているので「ワタシ」にとって「アナタ」に対しての愛だの恋だのといった感情は意味のないものなのでしょう。望んでいるのは「アナタ」が「ワタシ」に依存することなので。それでも「ワタシ」と「アナタ」の間に愛情が芽生えることを夢見てしまうことがある、ということなんでしょうね。歪んでるねえ。
『心のヒビ埋めるフィラー』
フィラーってなんだ? と思って調べました。
フィラー(filler)
《「埋めるもの」「詰め物」の意》
1 放送時間の穴埋めに使われる、風景・風物や音楽などが流れる比較的短い番組。埋め草番組。
2 充塡剤のこと。
3 「ええと」「あの」「まあ」など、発話の合間にはさみこむ言葉。
この場合は1~3の意味よりも「埋めるもの」「詰め物」の方がしっくりきます。
ではフィラーの意味も分かったので2番Aメロの歌詞ですどん。
心のヒビ埋めるフィラー
期限付きの魔法を捧げましょう
アナタから漏れ出る歌
それこそワタシ
2番Aメロね、未だにどう解釈すればいいかなって悩んでいます。
『心のヒビ埋めるフィラー』はそのまま、「ワタシ」は「アナタ」の心についた傷、ヒビを修復するための詰め物だよ、と言っています。
ですから「アナタ」にとって「ワタシ」は鎮痛剤であり心を修復するための存在ということでしょう。「ワタシ」が思ってるだけかもしれんが。いや、実際そうなってるんだろうな。恐ろしい。
期限付きの魔法を捧げましょう
これは一回「ワタシ」が「アナタ」のフィラー、心を修復するための詰め物であることを忘れてください。で、「ワタシ」が「アナタ」の鎮痛剤であることを思い出しましょう。
鎮痛剤は薬ですから、当然一定時間が経てばその効果が切れます。薬の効果が切れればまた痛み出しますよね。だから期限付き。魔法は薬が効いていて「痛み」を感じないこと。でも切れたら「痛み」はぶり返すんです。
「痛み」がぶり返せばまた「痛み」を和らげるために鎮痛剤を飲む。その繰り返しです。ですから、「アナタ」が「痛み」を感じれば「ワタシ」に頼る。延々とそれを繰り返し続けるんです。「痛み」を感じるたびに。心にヒビが入るたびに。悪循環じゃーーーーーん。
アナタから漏れ出る歌
それこそワタシ
言葉にする、アウトプットするって大切ですね。
つい数行前で2番のAメロの歌詞をどう解釈すればいいか悩むって書きましたが、書いててようやくこの意味が分かりました。
『アナタから漏れ出る歌』は、「痛み」を感じた「アナタ」の口から紡がれる「痛み」、要は「アナタ」が「ワタシ」に打ち明ける悩み事とか相談こととかのことを指しているのでしょう。恋愛事か仕事か身内の話かは知らんけど。
そして「ワタシ」にとっては「アナタ」の話を聞いて「アナタ」の「痛み」を一時的にでも収めること、「アナタ」の心にできたヒビを修復することが悦びであり生きがいなんですから、「ワタシ」にとって「アナタ」の「痛み」こそが「ワタシ」が生きる理由。「ワタシ」が存在する理由なんです。
だから『歌』なんですよ。ちょっとどう表現すればいいかわかりませんけど、よくゲームなんかでサイコパスが悲鳴を「歌」に例えますよね。あれと一緒。
「アナタ」が紡ぐ、「ワタシ」にとって甘美に響くもの。
お前マジ人の心の痛みを何だと思ってるんだよ怖いよママーーーーっ!!
『いなくて済むならその方がいいなんて』
ここまで書きましたが、もうそろそろ放り投げてこの歌詞考察をなかったことにしたくなってきたぞ。
とはいえ、書きたいところを先に書いたせいで今書いてるこのブロックが最後なのでしょうがなく書きます。書くけど泣きそう。怖い。ホラー映画かよ。
では、2番のサビの歌詞考察に移ります。
ハマってくださいどっぷり今は
いなくて済むならその方がいいなんて
I know 時間とともに
波のように消える
ちょっと正気に戻んなや。
2番のサビはこれで1つの意味になってるので特に分割せずに解釈書いていきます。
『ハマってくださいどっぷり今は』は、そのまま「今は心の治療に専念してください」という意味でしょう。
次、残り3行。
繰り返しになりますが、ペインキラー(painkiller)は鎮痛剤、薬です。薬に頼る生活はしない方がいいことは当然なので、「アナタ」にとっての鎮痛剤である「ワタシ」に頼るような生活をしなくて済むならそれに越したことはない。「ワタシ」がいなくても「アナタ」が自ら「痛み」を和らげ、心を修復できるのならそれに越したことはない。
「ワタシ」だって正気に戻ってそう考えることが少なからずあるのでしょう。というか『I know』なのでそんなこと「ワタシ」だってわかっているんです。
ですが、そんな考えが頭をよぎっても、わかっていても、その考えは時間とともに、波が引くように消えていく。消えて、また「アナタ」が「ワタシ」に依存してくれればいいという考えが「ワタシ」を支配する。
そういうことですよね、これは。
怖いって。ねーーーー!!!!!!
余談ですが、歌詞カード見たはずなのに『I know 時間とともに/波のように消える』を『愛は時間とともに/波のように消える』と暫く勘違いしてました。どっちにせよ怖えよ。
『誰もが同じ場所なんて見ちゃいない』
Cメロ(であってるよね?)の歌詞読んだ時に、スゲー! って私は感動したんですけど、これ読んで「意味わかんない」っていう人がいたらどうしようとちょっと悲しくなった歌詞でもあります。ほら、最近国語能力の低下というか、どうしたらそんなふうに読めるんだよって悩むくらい読解力低い人いるじゃないですか。別に稲葉さんが「この歌詞はそういう意味だよ」って言ってるわけじゃないですけど、一応私の解釈で説明します。
夕暮れは偽りなく
ふたりを染めた
覚えているのはたぶんひとりだけ
誰もが同じ場所なんて見ちゃいない
1番の歌詞考察でも書きましたが、「ワタシ」は「アナタ」に恋愛感情を抱いています。
空を焼く夕日が「アナタ」と「ワタシ」を染めている。そんな美しい風景を自分にとって特別な人と一緒に見たら? どんな些細な風景だったとしても覚えておきたいと思うのが人の心でしょう。
ですが「アナタ」は「ワタシ」に「ワタシ」が抱えるような感情を抱いてはいません。そもそも「アナタ」が「ワタシ」のところに来るのは「痛み」を抱えている時なわけですから、心ここにあらず状態なわけで、「アナタ」にはそんな美しい夕暮れの風景なんて見えていないんです。
だから二人とも間違いなく夕暮れに照らされているのに、この美しい風景を見ているのは「ワタシ」だけで、覚えているのも「ワタシ」ひとりだけ。いつか「ワタシ」が「アナタ」にこの瞬間の話をしたところで、「アナタ」は覚えちゃいない。
滅茶苦茶悲しい話ですよね。空しいなとも思います。
一緒にいるのに見ている世界は全く違う。当たり前のことですけど、この4行、特に最後の『誰もが同じ場所なんて見ちゃいない』の一言でここまで「ワタシ」の空虚さを表せるのはスゲー! と素直に感心します。
あと、個人的には最後の『誰もが同じ場所なんて見ちゃいない』はダブルミーニングじゃないかなと思っています。
ひとつ目の意味は先に書いた通りで、この夕暮れを見ているのは「ワタシ」だけ。
ふたつ目は、「アナタ」が「ワタシ」を見ることは未来永劫ありえない。
同じ場所にいても見ているものは違う、感じるものも違う。
同じ空間で「ワタシ」と「アナタ」が向かい合って立っていても、きっと「アナタ」には「ワタシ」は見えていないんです。
そして、同じ空間で「ワタシ」と「アナタ」が同じものを見ていても、「アナタ」のその空間の中に「ワタシ」は存在しないんです。
どういうことかというと、「ワタシ」は「アナタ」を見ている(恋愛感情の意味で「アナタ」を見ている)けれど、「アナタ」にとっては「ワタシ」は「痛い」ことがあった時に話を聞いてくれる相手としか認識していない。それ以上でも以下でもない。100歩譲って友人くらいには思ってるかもしれませんが、正直怪しい。「アナタ」にとって「ワタシ」は都合のいい相手でしかないんです。
だって人の悩み聞くのって体力も精神力も削られますもん。小さい悩みならいいですけど、重い話なんてそう何度も相談に乗りたくないし、聞きたくもないし。私だったらビールピッチャーで消費しまくって半分酩酊状態じゃないと聞きたくない。それを「ワタシ」は好き好んで聞いてくれるんですから、「アナタ」にとっては都合いいですよ。
そういう、平行線以下の存在。これから先、天地がひっくり返ったらワンチャンあるかもしれませんが、「ワタシ」が「アナタ」の特別になることは、「アナタ」が「ワタシ」が抱くものと同じものを抱くことはありえないんです。
なんとなく、そんなふうにも聞こえてしまいます。
『いつか傷だらけで抱きしめあえたらね』
もうここまで読み進めたせいで寒イボ出まくりなんですけど、最後のサビ行きましょうか。
触れない場所があってもいいよ
映えない包帯の役割でもいい
ほんの束の間でいい
こっちに手を伸ばして
ハマってくださいどっぷりずっと
ワタシ無しではダメになって欲しい
いつか傷だらけで抱きしめあえたらね
「ずっと」とか言ってんじゃねーよ!!!!
やめろやめろーーーー!!!!!!!!!ゼェハァ……。
はい。まず最初の二行ね。
触れない場所があってもいいよ
映えない包帯の役割でもいい
『触れない場所』は肉体的な話ではなく精神的、心の話でしょう。「ワタシ」が「アナタ」に恋愛感情を抱いているのなら、『触れられない場所』は恋愛感情、恋心、愛情、その類のもの。だって「アナタ」が「ワタシ」に恋愛感情を抱くことはないんです。だから「ワタシ」がどれだけ望んでもそれには絶対触れない。「アナタ」の恋愛感情は「ワタシ」に向けられることはないのだから。「ワタシ」の知らない誰かに向けられるのを、いつも外から見ているだけです。
『映えない包帯の役割でもいいよ』。これはペインキラー(painkiller)とフィラー(filler)の意味から、「心の傷を塞ぐだけの一時的な包帯・絆創膏の役割としか思われていなくたっていい」ということでしょう。既に書きましたけど、「アナタ」にとっての「ワタシ」は「痛み」を緩和させる鎮痛剤であり「アナタ」の心の傷を修復するための詰め物でしかないんです。
「アナタ」が「ワタシ」に望んでいるのはその役割でしかない。それでもいいよ、ということです。
『映えない』っていうのは、SNS映えの「映え」と一緒。「えーん怪我したー」みたいなコメントと一緒に妙にキメた顔と処置された患部の写真をあげるようなことができるほど綺麗なものじゃない。そもそも「アナタ」は「ワタシ」にそこまでの価値すら見出されていない。そーいうこと。書いてて辛くなってきたぞ。
はい次。
ほんの束の間でいい
こっちに手を伸ばして
け、健気ーーー! って言うと思ったか? 確かに健気だけど怖いんだって。怖いけどこの歌詞の中で唯一「ワタシ」にちょっとだけ健気さを感じる部分であることは認めます。怖いけど。
この部分はそのままとっていいと思います。
束の間でいいから、「ワタシ」を見て、「ワタシ」を欲して、「ワタシ」を求めて。
「ワタシ」が「アナタ」に愛される日が来なくてもいい。来なくてもいいから、少しだけでいいから、「ワタシ」は「アナタ」に必要とされたい。
これは依存云々の話ではない、この歌詞の中で唯一の純粋な感情だと思います。愛しているから求められたい。それだけの至極単純な欲求の話です。
では最後。
ハマってくださいどっぷりずっと
ワタシ無しではダメになって欲しい
いつか傷だらけで抱きしめあえたらね
読んだ瞬間「ひぃっ」って叫びました。怖い怖い。待ってマジで怖い。
まず『ハマってくださいどっぷりずっと』って、『もっと』『今は』が『ずっと』になってる時点で恐怖です。恐怖過ぎて飲んでたコーヒーが変なところに入ってむせました。
ここは1番と同様なので割愛しまして、続き行きましょう。
私無しではダメになって欲しい
もう完全に依存じゃん。「アナタ」が「ワタシ」の依存者になってるじゃん。『君がいないと生きられない』みたいなこと定期的に書くな。『LOVE PHANTOM』の男が可愛く見えるじゃん。『LOVE PHANTOM』と『HINOTORI』混ぜて煮詰めて濃縮したような一文だな。何倍希釈しないと飲めないんだよ。
いつか傷だらけで抱きしめあえたらね
えーーーーーーーーーーーー。
この曲で一番ぞっとしたのはここです。
ちょっと2番のAメロの歌詞思い出しましょうか。
『心のヒビ埋めるフィラー』って歌ってますよね? 人の心は傷が付けばその傷が完全になくなることはありません。「ワタシ」は「アナタ」のペインキラー(painkiller)、鎮痛剤であり、フィラー(filler)、傷付いた心を修復する詰め物です。
「ワタシ」が「アナタ」の傷を埋めても、埋めても、埋めても、埋めても、ひび割れた心を金継ぎのように止めているだけで、「アナタ」の心が傷付きすぎればいつか心は修復不可能なほどに壊れてしまう。
その時は、「アナタ」が完全に壊れてしまった時は、壊れてしまった「アナタ」を「ワタシ」が抱きしめてあげるから、「アナタ」は「ワタシ」を抱きしめ返してね。
ひぃっっっっっ。
いやいや、あの、稲葉浩志さん? ええと……? ってなるわよそりゃ。
これ、『抱きしめあえたらね』で切れてるのでここに続く言葉があるわけですけど、続く言葉は『愛してあげる』じゃないですよね?
「アナタ」が完全に壊れてしまったら、その時は「ワタシ」がそんな「アナタ」を愛してあげるから、「アナタ」も「ワタシ」を愛してね? って意味じゃないですよね?
「アナタ」が完全に壊れてしまったら、その時は「ワタシ」のところまで落ちて来てね。その時は「ワタシ」が「アナタ」を受け止めてあげる。
って言ってますよね???
ヤダ怖いよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!!
この「ワタシ」が「アナタ」を受け止めてあげるってどういうこと? っていうのはこのあと詳しく書きますのでここでは書きませんけど、怖すぎて涙目。
結局この歌詞どういう意味なの?
さて。これまでの考察を踏まえてこの『ペインキラー』という曲はどういう曲なのかをまとめていこうと思います。
ここで1点注意点があります。書いてる人は精神科関係に明るい人ではないので、言葉の使い方、そもそもの言葉の意味を間違えている可能性があります。一応調べて書いてますけど、専門家が読んで「意味ちげーんだけど」ってなる可能性があります。その時は素直に謝罪と訂正を入れますけど、素人目でこういうことなのかなって理解したんだってことを忘れずに読んでくださいね。
はい、前置き終了。
ではこの歌詞の意味とその先に待っているものをまとめていきますよ。
まず『ペインキラー』の歌詞そのものは、簡単にまとめると『いつか「アナタ」が「ワタシ」に依存して離れられなくなるのを待ってるよ』です。
ここで出てくるキーワードが「共依存」です。
では共依存とはなんでしょう。ちょっと厚生労働省のサイトから引用します。
依存症者に必要とされることに存在価値を見いだし、ともに依存を維持している周囲の人間の在り様。
例えばアルコール依存症の妻は、依存症に巻き込まれた被害者と言えます。一方で家族研究から、妻はアルコール依存症者のそばで病気の維持に手を貸している面があり、間接的にアルコールに依存しているという「共依存」ではないかという考えがでてきました。共依存者は被害者であるとともに共犯者でもあり、相手(依存症者)に必要とされることで自分の存在価値を見いだすためにそのような相手が必要であるという、自己喪失の病気であるといえます。
共依存の例として以下が挙げられます。「1. いつも飲まないように口うるさくして、本人の否認を増強させている関係」「2. 世話焼きをし過ぎることで、本人がアルコール問題に直面しないようにしている関係」「3. 夫のアルコールによる失敗の後始末をして、世間にはアルコール問題がないかのようにふるまっている関係」「4. 性格の問題とみなして、 アルコール問題を否認している妻」「5. 夫のしらふの時にはお互いに緊張してよそよそしく、飲むと互いに感情が爆発する関係」「6. 夫のしらふの時には妻が支配的で、飲むと暴力で夫が支配する関係」「7. 夫から離れられず、いつも犠牲者としての悲劇のヒロインを演じ続けている妻たち」などです。
もちろん依存症者がどの立場であるかによって、「夫や親」「親戚」「友人」「上司」などに共依存が生じ得ます。
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/alcohol/ya-058.html
大事なところは太字にしておきました。頭の片隅にでも置いておいてください。
さて、ペインキラー(painkiller)が鎮痛剤と訳せることから、「アナタ」を薬物依存者と見立てます。
1番の歌詞で「ワタシ」は「アナタ」に頼られることに生きがいを感じていることが読み取れますので、「ワタシ」は「アナタ」に必要とされること で自分の存在意義を見出していることになります。
ですから、「アナタ」が薬物である「ワタシ」の依存者になり、「ワタシ」が依存者である「アナタ」に必要とされることに存在意義を感じたら、この時点で共依存の関係が成立します。
やっかいなのは、「ワタシ」と「アナタ」の関係性における薬物は「ワタシ」であり、上記引用の被害者もまた「ワタシ」であることです。つまり、「ワタシ」は「ワタシ」のために「アナタ」を「ワタシ」の依存者にしたくて、「ワタシ」は「ワタシ」のために「アナタ」の被害者の立場にいたい。「アナタ」が「ワタシ」に依存していることで自分の存在意義を感じていたいんです。
「ワタシ」が「アナタ」に抱く感情を恋愛感情に「近しいもの」と書いたのはこれが理由です。もう、恋愛感情としては破綻しているんです。
卵が先か、ニワトリが先かの話になりますけど、「ワタシ」も「アナタ」に対して依存しているのでしょう。だって「アナタ」の「痛み」を和らげて心を修復することに生きがい感じてるんですもん。
じゃあ「ワタシ」のために「アナタ」が「ワタシ」から離れないようにするにはどうしたらいいか。
簡単じゃないか。「アナタ」を「ワタシ」に依存させればいい。人が一番弱っている時につけこめばいい。
「アナタ」が「ワタシ」に依存すれば、「ワタシ」なしでは生きていけなくなる。
そうすれば、「アナタ」は、「ワタシ」から、離れていかないでしょう?
こっっっっっっっっっっっっっわ。
書いててぞわぞわした。クーラーつけてる部屋の室温が10度くらいしかないんじゃないかと思う程身の毛がよだつってもんよ。
とかく、この歌詞はそういう狂気的な想いを歌ってるんですよ。
ちょっと書いてて着地点を見失いつつあるので無理やり纏めますけど、『ペインキラー』は「ワタシ」と「アナタ」が最終的に共依存の状態に陥り、「ワタシ」から「アナタ」が離れていかない日が来ることを待っているよ、という意味の歌詞だと思います。思いますというかそういう歌詞なんだと私は解釈しました。
稲ソロか? なんかすごく稲ソロみたいな歌詞じゃないか?
そう思う程に、汚泥のような、タールのように粘着質で醜い感情を含んだ狂気的な歌詞だと思います(褒めてるよ)。
ドラマティックでメロディアスな(個人的にはちょっと松本さんにしては珍しい感じの曲だなと思ってます)それに乗せて歌い上げられる狂気はどこかオペラのようにも思えます。オペラ詳しくないけど。
とまあ、なんだかすごく稲葉さんの心の仄暗い部分で頭ぶん殴られたような気分になったのでこんなものを書きました。
繰り返しになりますが、これは私が『ペインキラー』の歌詞を読んで解釈した内容なので、稲葉さんの意図はそうじゃないかもしれませんし、この解釈に同意できない人もいると思います。歌詞の解釈は人それぞれなのでそれでいいです。いいですけど「ちげーだろ」って石投げるのは止めてください。
あと稲葉さんからこういう歌詞なんですって公言があった時に「違うじゃねえか」って石投げるのも止めてくださいね? お願いしますよ?
もしこれを読んでくださった非B'zファンの方で『ペインキラー』に興味を持ってくださった方がいらっしゃったら、是非聞いてみてください。
購入店舗別で特典が違うので、一応Musingのリンクを貼っておきますが、ガーランドとかいらんのだが? という方はAmazonなりタワレコなりでご購入ください。
あと、『ペインキラー』を含むニューシングル『STARS』は7月12日リリースなのでまだサブスク配信始まっていません(2023年7月11日現在)。『ペインキラー』だけ聞きたい方は7月12日待ってください。7月12日に配信されるか知らんけど。
そしてこのnote読んでぞわぞわしたのでお口直ししたい人は、アラ還のおじさんふたりがジェn……げふん。バランスゲームして遊んでる動画でも見て癒されてください。
左のソファに座っているプラチナブロンドの人がB'zのギタリストで『ペインキラー』の作曲をした松本孝弘さんで、右のバランスゲームの棒? あれなんて言うの? を引き出そうとしている人がB'zのボーカルでこんな歌詞を書いた稲葉浩志さんです。
【INFO】B’z NEW SINGLE「STARS」数量限定盤予約受付中!
— B'z (@Bz_Official) July 8, 2023
今作でしか手に入らない『B’zバランスゲーム』封入のSTARS盤は数量限定となります!この機会にぜひお早目のご予約をお待ちしております。いよいよ来週7/12発売です!
※店舗別予約先着購入特典の対象外商品です。https://t.co/RWgavL0Az9 pic.twitter.com/4QkdB57kaN
もうひとつついでに、現在B'zはデビュー35周年記念のツアー、B'z LIVE-GYM Pleasure2023 -STARS-を開催中ですので、ちょっとB'zに興味持ったかもって方は是非ライブにも遊びに来てください。
B'zの真骨頂はライブなので、一度体験しておいて損はしないですし、人生最高の2時間半を過ごせることをお約束します。
8月から始まるスタジアムツアーならまだチケット取れますから軽率に遊びに来てください。今巡業中のアリーナツアーはチケット諦めてください。
https://t.pia.jp/pia/artist/artists.do?artistsCd=11011778
とまあ、ここまで散々「怖い」「恐怖」って言い続けてますけど、私個人としては非常に好きな曲なのでツアー表題曲の『STARS』を聞きこまなきゃいけないのに『ペインキラー』鬼リピしすぎて心が淀んでます。
好きよ。こういう曲。皆もそうでしょう?(巻き込むな)
では、最後にこんな中身のないnoteを最後まで読んでくださった貴方様に感謝申し上げます。Love Ya!!