ヴィーヴル#1 平和の音
昼の14時、河川敷で寝転ぶ。
親子がキャッチボールをしていたり、自転車に乗ってどこかに向かう人を見たり…この時間がたまらない。
「ノア、課題は終わったのか?」
彼はルイだ。私と一緒にアルへ研究しにきている。
「無理無理、一生昼寝しときたい」
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「アル・ブルーム・ソニア」三つの星が大きなトンネルで繋がっている。アルは科学が発達していて、大きな鉄の塊が道を走ったり空を飛んだりしている。
ソニアは、動物の星だ。よそのものはあまり好きではないようで行っても除け者扱いされるという噂から行ったことはない。
ブルームは私たちの故郷。魔法の星だ。
移動は箒…服も黒のローブで地味…授業も退屈……
何もいいところはない。
それに比べてアルはなんていいところなんだろう!!河川敷で寝転んでてもイタズラされないし、魔法も使わないで車や自転車に電車…どうやって発明したんだ!?
あとみんなが持っているスマートフォンってやつ…あれは画期的だ。魔法使わず画面を触れば遠くの友と話せる。手紙でのやり取りをしている人なんて見たことがない。
アルの世界で魔法を使うことは禁止されている。
もちろんソニアでも。お互いの星で争いが起きないようルールが決められている。アルの素晴らしい発明も他の星での使用は禁止だ。
しかしお互いの星の行き来は自由なため旅行をしたり私のように調査で勉強しにくるものは多い。
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ルイ「レポート出さないと学校からお金もらえないけど…」
ノア「知ってるよーっ。河川敷に生えてる草についてでも書こうかな。」
そんな冗談を交え、いつものように会話をする。
そんな日が続くって思ってたんだ。
「ルイさん!」
黒髪で胸元までまっすぐな毛の高校生がルイに話しかけてきた。ルイは慌てた様子で
「ごめんあとでな!」
その女の子の元へ駆けつける。
ルイは話すのが上手で、アルにはいろんな友達がいる。だから何も不思議には思わなかった。
そろそろ真剣に課題でもするか〜っと体を起こしたその時…
ドサッ
女の子が倒れた。
何が起きたかわからない。
ルイは膝から崩れ落ち、震えている。
倒れた女子高生の後ろにはフードを被った血まみれの包丁を持った男が立っていた。
「死んじゃった死んじゃった。
ずっとずっとずっと2年前からずっとずっとずっと好きだった。好きだったのに。男なんていなかったのに。俺のものにならないから殺してやった。アハハハハハ」
フードの男は笑いながら、女子高生の患部を撫でる。
その時嫌な予感がした。
「ルイ!ダメだよ!!」
必死に叫んだ。
平和な日常が一転するそんな音がしたから。
ルイが、杖を持ち男に死の呪文を放った。
ルールを破った。1番やっては行けないこと
魔法でアル人を殺したんだ。
そうこの日から
平和の均衡が崩れたんだ。