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グローカルコラム241218|外為法の事前届け出について

今週は、関西支部長・認定専門家(会社設立手続き)
井上 佐知子によるコラムをお届けします。
https://glocal-solutions.org/expert/expert-1667/

外国投資家が日本企業に対して一定の投資を行う際に、
事前に届出を求める制度について、お伝えします。

是非ご一読ください。


外国為替及び外国貿易法(外為法)に基づく事前届出制度は、
外国投資家が日本企業に対して一定の投資を行う際に、
事前に届出を求める制度です。

これは、健全な投資を促進しつつ、
国の安全や重要技術の流出を防ぐことを目的としています。
海外の企業と合弁会社を設立しようとする場合にも
この外為法の届け出について事前に検討しておかなければなりません。

事前届出が必要となる主なケースを見ていきます。

1,外国投資家の定義は以下のとおりです
① 非居住者である個人
② 外国法令に基づき設立された法人や団体
③ これらの者が50%以上出資する日本の法人
④ 非居住者が業務執行組合員の過半数を占める組合

2,対象となる業種
国の安全等の観点から指定される業種(指定業種)を営む企業が対象です。
具体的には、武器、航空機、宇宙開発、原子力関連の製造業、軍事転用可能な汎用品の製造業、サイバーセキュリティ関連業種、インフラ関連業種(電力、ガス、通信など)などが含まれます。
注意すべきはIT関連の分野は通信に関する業種となり
ソフトウェア開発なども対象となる業種に含まれる点です。

3,どんな投資が対象となるか
① 上場会社の1%以上の株式取得
② 非上場会社の株式取得(1株から対象)
③ 外国投資家やその関係者の取締役・監査役への就任同意
④ 指定業種に属する事業の譲渡や廃止の提案・同意

4,手続きの流れ
投資等を行おうとする日の前6か月以内に、
日本銀行を経由して財務大臣および事業所管大臣宛てに事前届出を行います。
届出受理日から30日間は、届け出た取引や行為を行うことが禁止されます(禁止期間)。

ただし、この期間に審査が終了すれば投資は可能となります。
審査の結果、 国の安全等を損なうおそれがあると認められた場合、
投資内容の変更や中止の勧告・命令が行われることがあります。

5,事前届け出をしなかった場合
事前届出を行わずに投資等を実施した場合、
罰則や措置命令の対象となる可能性があります。
場合によっては登記した会社をいったん閉鎖して
投資を引き上げなければならないことがあるので、
影響はとても大きいものがあります。

このように海外居住の外国人や海外の企業が
日本法人を設立しようとするときには、
この外為法の届け出についても
スケジュールに盛り込んで準備しなければなりません。

失念すると大変な影響があることを考えると、
このような案件に精通した専門家に依頼することが大切です。
一般的な司法書士事務所では対応できないことも多いのでご注意ください。

司法書士事務所神戸リーガルパートナーズは
司法書士・行政書士が在籍する事務所で国際的な法律手続き、
相続・事業承継に強い事務所です。
その他会社設立、在留許可申請、許認可申請など
会社設立の際に必要な手続きをワンストップでサービス提供しています。

認定専門家 司法書士井上佐知子
https://kobelp.com

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